目次
・鉄板焼店×フィットネスジムのコラボ弁当で客層が拡大し、売上&集客アップにも貢献!
「鉄板焼TSUKINOUSAGI」(栃木・宇都宮)
・輸入車販売店と組み、高級車を眺めながら食事を楽しめる特別な空間を創出
「オリベート」(千葉・ユーカリが丘)
・アート集団とのコラボでイラストを展示。集客、フォロワー数、売上が上昇!
「金のバル SALVA-サルヴァ-」(東京・吉祥寺)
「飲食業×他業種」によって、強みを生かし、弱みを補い合う取り組みの成功の秘訣とは
コロナ禍で集客力が落ちる中、事業戦略の一つとして、飲食店が他業種とコラボして、集客力や認知度を高める取り組みが増えている。互いの強みを生かし弱みを補完し合って効果を出し、資金的なリスクを軽減するには、どのような考え方や工夫が必要なのか。フィットネスジムと組んで免疫力向上を目指す弁当を開発した鉄板焼き店や、高級輸入販売店とのコラボ出店で他にはない空間づくりに成功したイタリア料理店、イラストレーターが多数所属するアーティストの団体と協力して、店内で個展を開催することで集客などに成功した事例を紹介する。
鉄板焼店×フィットネスジムのコラボ弁当で客層が拡大し、売上&集客アップにも貢献!
栃木県宇都宮市鶴田2-14-6
https://r.gnavi.co.jp/gdy1r6vf0000/
栃木の東武・宇都宮駅から車で約10分の場所に2016年2月オープンした「鉄板焼TSUKINOUSAGI」。とちぎ和牛や地場産の有機野菜などを使い、来店客の目の前で前菜からデザートまでを料理人が調理して提供。鉄板焼きならではの臨場感と落ち着いた雰囲気、素材を生かした絶妙な味付けが好評で、接待や記念日を中心に、幅広い年齢層に利用されている。ランチは平均客単価4,000円で来店客の8~9割が女性、ディナーは平均客単価2万円で男性ビジネス層やカップル、ファミリーが多い。
そんな同店では、フィットネスジムとのコラボに取り組んでいる。きっかけはコロナ禍。「デリバリーやテイクアウト弁当の需要が伸びてきたため、もともと販売していた弁当以外に話題性のある弁当も開発することにしました」と、マネージャーの田中ともみ氏は振り返る。検討を重ねる中で浮上したのが、宇都宮市内でフィットネスジムを3店舗経営するMESSI株式会社とのコラボ弁当の企画だった。もともと「鉄板焼TSUKINOUSAGI」のオーナーが、MESSIのジムに通っており、代表の横山翔太氏がパーソナルトレーナーを務めていたことがきっかけ。話を聞いた横山氏は、「食とフィットネスは密接に関係する分野ですし、相乗効果でお互いの集客につながるのではないか」と考えて、コラボに踏み切ったという。
弁当の開発では、分子栄養学に詳しい横山氏が弁当のコンセプトと、コンセプトに合った栄養素や食材の提案などをして、「鉄板焼TSUKINOUSAGI」の料理長・小林徹也氏がその提案を基にメニューや調理法を考案。コロナ禍のニーズを踏まえて、免疫力向上に必要な栄養素であるビタミンC、ビタミンD、ビタミンA、亜鉛などを多く含む食材を用いた「免疫力応援弁当」(2,150円)を開発し、2021年4月から販売開始した。「栄養素に気を配るのはもちろんのこと、見た目も鮮やかでおいしい弁当を心掛けました。横山さんから栄養素や食材に関するレクチャーを受けつつ、時間が経ってもパサつかずおいしく食べられる低温調理や発酵食品の活用など、新たな調理法にもチャレンジしました」と小林氏は語る。
「免疫力応援弁当」は店頭のほか、MESSI株式会社のジムでもチラシやポスターで告知。地元で横山氏の知名度が高いこともあって注目を集め、2021年4~6月には計577個を売り上げた。「健康に気を配っているジム会員の方や、コロナ禍で外出を控えていたご家族、取引先との話題作りの一環としてお買い求めくださる企業など、幅広い層からの注文がありました」と田中氏。
さらに、2021年8~10月には第2弾として、疲労回復に効果的なビタミンB1を豊富に含む豚肉がメインの「疲労回復応援弁当」(2,150円)を販売。同年10月~2022年2月には第3弾として、目的に合わせて選べるようにと「免疫力応援弁当」(2,300円)と「糖質制限応援弁当」(1,800円)の2種を販売した。そして、2022年3月末からは、第4弾となる「免疫力応援弁当」(2,500円)とハーフサイズの「免疫力応援弁当ハーフ」(1,600円)を販売。「それぞれの販売開始時には、ぐるなびの「レストランメール」で情報発信するほか、Instagramで告知を行ったことも売上に結び付いたと思います」と田中氏。横山氏も情報発信に協力し、MESSI株式会社のジム3店舗の会員7,000人へのLINEで弁当の情報を送ってアピールした。
今回のコラボ戦略の効果について、田中氏は「コラボ弁当で認知度が上がったせいか、若いお客様の記念日利用が増えてきたと感じています」と新規客獲得の手応えを語った。横山氏は「体づくりには毎日の食事が影響します。当社にとっては、おいしくて健康的な罪悪感のない“ギルティフリー弁当”をコラボで提供できるという大きなメリットがありました。『TSUKINOUSAGI』さんにとっても、今後ますます“健康を意識して運営している安心・安全な店”という信頼感につながればといいなと思います」とコラボの意義を述べた。さらなる相乗効果を目指して、第5弾のコラボ弁当の企画も進行している。
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輸入車販売店と組み、高級車を眺めながら食事を楽しめる特別な空間を創出
千葉県佐倉市西ユーカリが丘6-12-3 イオンタウンユーカリが丘の東街区1F
https://r.gnavi.co.jp/c19tgsw40000/
千葉の京成・ユーカリが丘駅から徒歩数分の「イオンユーカリが丘」の1階にあるイタリア料理店「オリベート」は、輸入販売店とコラボというユニークな形態で出店している。もともとローマ法王が来日した際の昼食会を担当したこともある人気店で、約20年前から同駅近くの半地下物件(約50席)で営業を続けてきた。しかし、コロナ禍で集客力が急落したことから、「より広くて、集客力の高い場所への移転を考えるようになりました」と代表取締役の萩原勇作氏は語る。
そんな中、「イオンユーカリが丘」1階にある大箱のテナントが空いていることを知り、移転に向けて動き出した。ただ、このテナントは店内に2階に上がる階段があり、2階にも1階と同程度のスペースがある吹き抜けの構造で、2階を全て客席にすると席数が増えすぎてしまう。「2階にも店の出入口が作れる構造だったので、2階は別店舗にすることも可能です。そこで、他社と共同出店することでお互いにコストを抑えながら、集客できる道を考えました」(萩原氏)。
そして、相乗効果を生み出せる共同出店相手として萩原氏が声を掛けたのが、千葉・八千代緑が丘で輸入車販売店「オートカフェ」を運営する株式会社オートカフェジャパンの代表・秋葉英貴氏だった。「秋葉氏とは、2018年に地元の経営者の会合で知り合い、価値観が似ていて、同世代ということもあり頻繁に連絡を取り合っていました」と萩原氏。
「オートカフェ」は、自社が運営する輸入車販売店の横に、別会社が運営するスリランカ料理店を併設したコラボ業態。「高級輸入車店は入店のハードルが高くなりがちですが、日常的に使う飲食店を併設することで、気楽に入っていただきたいと考えました」と秋葉氏は狙いを語る。「オートカフェ」の存在や秋葉氏の考え方を知っていた萩原氏は、すでにコラボで出店経験のある秋葉氏とであれば一緒に出店できるのではと考え、1階を「オリベート」、2階を「オートカフェ」にした共同出店を提案。秋葉氏も2つ返事で快諾し、2020年12月に「オリベート」が移転、1カ月後の2021年1月に「オートカフェ」(2号店)も出店した。
2階の「オートカフェ」には半分のスペースにはポルシェやベンツなどの輸入高級車と商談用のテーブルがあり、残り半分のスペースに「オリベート」の客席(約40席)を用意し、高級車を眺めながら食事を楽しめるようにした。「店内にディスプレイしている車は700万~800万円で中には2,000万円以上のものもあるため、気軽に買う商品ではありません。どちらかというと売上より認知度を高めることが目的で、本店にご来店いただくきっかけの場になればと考えています」と秋葉氏は語る。
オープン後は、“珍しい高級車が並ぶイタリアン”という話題性で注目を集め、メディアでも多く取り上げられた。「個店のイタリアンが商業施設に入ると、カジュアルダウンして気軽に利用できるようになる一方で、高級感や特別感が薄れがちです。しかし、高級車が店内に並んでいることが特別な空間演出になり、来店のきっかけにもなっていると感じます」と萩原氏。秋葉氏も「『オリベート』さんは特別な日にゆっくり食事を楽しむお店なので、高級感とカジュアル感のバランスもちょうどよく、相性がいい」とメリットを語る。
コロナ禍での出店にもかかわらず「オリベート」の業績は上々で、移転前より客層の幅も広がり客単価もアップ。30~50代の女性を中心に普段使いや記念日などで利用されており、移転前も含めた過去最高月商も記録した。
萩原氏はこれ以外にも、元俳優で現在は焙煎士として活動している坂口憲二氏とコラボしたコーヒーの販売やジムに併設した飲食店の出店、JALとANAのコラボイベントのプロデュースを手掛けるなど、幅広く活動している。
「苦しい状況だからこそ、業種や企業規模に関係なく、それぞれの強みを生かせるコラボはこれからますます重要なるはず。ポイントは“本物と本物を組み合わせること”。それぞれがプロとしての強みを最大限生かせる方法を探すことが成功への近道だと思います」と萩原氏は笑顔を見せる。今後も強みを活かし、弱みを補完し合って、「お互いの価値観を尊重し合って、1+1が3にも4にもなる」(秋葉氏)ような取り組みに力を入れていく。
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アート集団とのコラボでイラストを展示。集客、フォロワー数、売上が上昇!
東京都武蔵野市吉祥寺南町1-1-3 イケダビル2F
https://r.gnavi.co.jp/rcy15kmb0000/
東京・池袋にあった「金のバル SALVA-サルヴァ-」が、吉祥寺駅至近に移転・リニューアルオープンしたのが2019年4月。多くの飲食店が立ち並ぶ駅前の激戦区だが、ブラックアンガス牛や岩手県産の岩中豚を使った肉料理と特製パエリアなどが人気を博し、若者を中心に学生、ビジネス層、ファミリー層など老若男女が訪れる人気の店だ。カウンターや個室もある100席の大箱で、テーブル席のメインフロアは広々とした開放感がある。
この「SALVA」の壁面には、複数のイラストレーターによる作品が展示されている。「当店のスポンサーの1人から、イラストレーターの大原一寿さんを紹介され、2021年夏より展示を開始しました」と、SALVA料理長の熊谷直人氏は振り返る。
大原一寿氏は、イラストレーター兼デザイナーとして活動しながら、若手イラストレーターの作品を発表する場を開拓している人物。「私も含めて若いイラストレーターは、個展を開催する資金も知名度もありません。そこで、飲食店など人が集まるスペースに作品を展示して多くの人に見てもらおうと考えました」と大原氏。その活動の足場として、アートコミュニティ「current(カレント)」を設立し、店内での展示を受け入れてくれる店を探していた。
そんな中、前述した「SALVA」のスポンサーをしている人物からお互いを紹介され、実際に「SALVA」を訪れた大原氏は、「イラストを飾るのに適した壁と空間」と感じ、店内にイラストレーターの作品を飾らせてもらえないか提案。熊谷氏も「店内がやや殺風景だと感じていたので、イラストによって空間が和らぐのではないか」と期待感を高め、両者のコラボレーションが実現することになった。
最初の展示を行った2021年の夏から、ほぼ1カ月サイクルで展示作品を替え、毎回10人前後のイラストレーターによる作品が「SALVA」の壁面を飾るようになった。すると、イラストレーター本人はもちろん、その家族や友人、知人、ファンなどが作品目当てに来店するようになった。彼らの多くが来店後にSNSでイラストとともに店の情報を発信し、熊谷氏も店のSNSで展示について情報を発信。フォロワー数も着実に増加しており、店の認知度が高まっているのを感じている。
熊谷氏は「これまで当店と接点のなかった人たちに店の存在を知ってもらうことができ、集客も売上も増えています。作品が店内空間とマッチしている点もうれしい。メリットしかありません」とコラボの成果を語る。大原氏も「作家としては、作品鑑賞が目的でない人にも見てもらえること、単なる展示会場と違って店の空間の一部として鑑賞してもらえることが、とても新鮮」と、飲食店での展示に手応えをつかんでいる。
展示する作品の選定や搬入・搬出はすべて「current」が行い、「SALVA」は壁面の提供のみ。「current」としては「店のじゃまをしない」(大原氏)ことを大前提として、作品サイズを30㎝×30㎝以下に限定するとともに作品数も絞り込んでいる。このコラボは両者の間に金銭的なやり取りが発生しないことも特徴の1つで、それぞれが有する“資源”を合わせることで新たな価値創出を目指すチャレンジングな試みといえる。
最近は、「ワイン」「8月」など事前に設定したテーマに合わせて制作してもらったイラストを展示する取り組みも開始。さらなるコラボレーションを追求していく考えだ。
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