更新日:2024.4.17
挽き肉のトリコ 渋谷店
Key Point
- 牛肉100%使用、250gの独特のハンバーグを開発
- 定食2品目と多彩な薬味、トッピングを提供
- 愛知の食材や食べ方で差別化
名古屋店で好反応を得て2号店を東京に出店
東京・渋谷にある「挽き肉のトリコ 渋谷店」のメインのメニューは「究極のハンバーグ定食」(1,500円)と「至福のハンバーグまぶし定食」(1,800円)の2品目のみ。そこに6種の薬味や定番および季節のトッピングを加えて変化を楽しめるようにし、SNSで話題を集め、20~30代の女性を中心に集客している。1号店は2021年6月に開業した愛知県・名古屋にある栄店で、渋谷店は2号店として2022年1月にオープンした。
経営元は、2021年9月に創業したばかりのBWコンサルティング株式会社。東京でIT関連の事業を展開している青木涼太氏と、名古屋でコンサルティング事業などを手掛ける壁谷翔(かべやしょう)氏が意気投合し、一緒に事業展開していこうと設立した企業である。本社は東京・板橋区に置き、2人が代表取締役を務めている。ハンバーグ専門店の出店は、もともと別の企業として名古屋で10年ほど経営していたカフェの業態変更がきっかけだった。カフェのスタッフの中に有名ハンバーガー店での勤務経験者がいたことから、オリジナリティーの高いハンバーグメニューの開発に着手。カフェでの期間限定メニューとしてテスト販売しながら改良を重ね、メニューはハンバーグ定食のみの専門店に切り替えた。コロナ禍にあっても連日行列ができるほどの好反応を得て、1、2階計25坪34席で平均月商1,000万円を上げるようになった。そのためBWコンサルティングの飲食部門として2号店は東京に出店することを決め、名古屋店の経営も2021年12月に同社の運営に移行させた。
ハンバーグは牛肉100%で、国産牛とカナダ牛のさまざまな部位を独自に配合し、スパイス類、タマネギ、卵のほか、砕いた麩を加えて肉汁を閉じ込めている。牛肉ならでは風味と肉感が特徴で、さらに250gというボリューム感にもこだわった。商品開発の過程では付け合わせなども検討したが、次第に原価をハンバーグに集中させていき、商品提供時には皿の上にハンバーグのみを乗せるシンプルなスタイルに変えていった。また、ハンバーグは名古屋店では最近まで手ごねで仕込んでいたが、渋谷店を出店する際に品質の安定化を図ろうと、東京の食品工場にOEMで発注することにした。発注先での生産体制も整備されてきたため、2022年7月から名古屋店にも供給されるようになった。
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愛知産の食材やSNS映えするトッピングで集客力をアップ
渋谷店でオーダーの約9割を占める「究極のハンバーグ定食」は、ハンバーグのほか、愛知県産の米「あいちのかおり」を羽釜で炊き上げたお替り自由のご飯、信州みそと八丁みそをブレンドして作るみそ汁、愛知県産のブランド卵「岡崎おうはん」の生卵が付く。「岡崎おうはん」はコクのある卵黄が特徴の赤玉卵で、締めとして卵かけご飯にする際は、薬味の1つの自家製酸辣醬(サンラージャン)を加えることを推奨している。トッピングは、アボカドとチーズの「アボチ」(+300円)、温めたチーズをからめながら食べる「チーズフォンデュ」(+300円)など、女性やSNS映えを意識したものが多い。実際に来店客は女性が約7割を占め、SNSが集客に大きく貢献している。
もう1品の「至福のハンバーグまぶし定食」は、名古屋で親しまれているうなぎのひつまぶしのハンバーグ版として考案した商品である。まずはそのまま、次に薬味を加え、最後に牛だしをかけてお茶漬けのように食べてもらう。素材や食べ方で愛知や名古屋らしさをアピールし、差別化につなげている。また、当初は名古屋店と渋谷店ではトッピングなどにも違いがあったが、2022年7月に2店ともいったん同じメニューに統一し、名古屋店でも「至福のハンバーグまぶし定食」の提供を開始した。
渋谷店は20坪30席の店舗規模で、客単価は1,600円。平日で1日平均140~150人、週末は200人以上を誘引し、名古屋店と同様に月商平均1,000万円を上げている。
同店が名古屋発のハンバーグ専門店として東京でも認知度を高めている要因は、以下のようになるだろう。
- 牛肉100%使用、250gという、味もボリュームもインパクトのあるハンバーグを開発している。
- メニューは定食2品目に絞りながら、多彩な薬味やSNS映えするトッピングで変化を出している。
- 愛知産の食材を使い、「ひつまぶし」という食べ方で愛知らしさをアピールし、差別化している。
コロナ禍で創業した同社では、コロナとは上手に付き合っていくしかないという考え方である。テイクアウトやデリバリーは手掛けずに、感染予防に配慮しながらイートインを主体に営業している。今後もさまざまな業態に挑戦していく考えだが、当面は居酒屋業態は避け、食事利用主体の業態で展開する方針だ。2022年は「挽き肉のトリコ 渋谷店」に続き、3月にラーメン店「中華そば二兎(にと)」、8月に新たな中華業態「タイヨー軒」を、共に名古屋に出店した。
「基本的にはいろいろな業態で多店舗展開していきたいと考えています。将来的には上場させたいという希望もあり、その頃までには50~60店舗くらい全国各地に出店したいですね」と、渋谷店総料理長の木俣紀昭(きまたのりあき)氏は述べている。
(Text and photo by Food Biz)
住所
東京都渋谷区宇田川町36-2 ノア渋谷B102
TEL 03-6433-7433
営業時間
11:00〜22:00(LO.21:00、変更の場合あり)
定休日
無休
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