【目次】
・大久保伸隆氏プロフィール/株式会社ミナデイン企業情報
・コロナ禍での融資を前向きに捉え、会社の未来を見据えて積極的に出店
・“ワクワク”をテーマに、飲食業の強みを生かしたイベント事業にも取り組む
2023年の戦略について、注目の経営者5人にインタビュー。コロナ禍での取り組みを振り返ってもらいつつ、今後の出店・事業計画や人材不足・食材高騰といった課題への対応、インバウンド対策などについて聞く。
【2023年、飲食企業トップの戦略】
(1)~株式会社鳥貴族ホールディングス 大倉忠司氏~
(2)~有限会社たるたるジャパン 齊藤崇氏~
(4)~株式会社マックスフーズジャパン 西田 勇貴 氏~
(5)~株式会社浜倉的商店製作所 浜倉 好宣 氏~
第3回は、株式会社ミナデインの代表取締役・大久保伸隆氏。さまざまな名店の料理を楽しめる「烏森百薬」など、東京・新橋を店舗展開の拠点にしつつ、コロナ禍では積極的に店舗展開を進めており、今後は商業施設や道の駅、公園などでの出店も計画している。「ミナデイン」という社名に込めた思いや今後の事業戦略などについて聞いた。
協業によるシナジーで新たな価値を生み出し、「またミナデインが面白いことをやっている」と思われる存在になりたい。
■企業情報
株式会社ミナデイン/2018年設立。創業店としてさまざまな名店の料理を楽しめる「鳥森百薬」(東京・新橋)を出店。その後、カフェやレストラン、居酒屋などを都内を中心に展開。2022年11月には“茨城のアンテナショップ”をコンセプトにした「食堂HEY」(茨城・水戸)をオープン。
外食にとどまらない柔軟な協業を進めて、コロナ禍でも積極的に出店
――2020年春の段階で、東京と千葉で3店舗を運営されていましたが、この3年間で8店舗に増えています。コロナ禍で出店を進めた経緯や戦略を教えてください。
コロナ禍の影響でデリバリーやECを始める店舗が増えましたし、ニーズに合わせて当社も参入する選択肢はありましたが、飲食業とはノウハウが大きく異なります。借り入れができてキャッシュに余裕もあったので、「自分たちの強みを生かせて、10年、20年と長く続けられることをやりたい」という方向性を再確認して、出店を進めることにしました。
まず、ディナー営業のみだった創業店「鳥森百薬」(東京・新橋)のランチ業態として、2020年7月に「烏森 絶メシ食堂」を出店。コロナ禍で苦境にあえぐ全国の飲食店の力になりたいと思い、販売代理店のような形で各地の名店の“絶メシ=絶滅の危機にある飲食店の味”を提供し、売上の5%程度を各店に還元するビジネスモデルです。この取り組みがメディアでも取り上げられて話題になり、好調を維持しています。
また、2020年9月には元「The Burn」(東京・青山)の米澤文雄氏(現・No Code<東京・西麻布>オーナーシェフ)や「CRAFTALE」(東京・中目黒)の大土橋真也氏など、有名店のトップシェフ考案の料理を味わえる立ち飲みビストロ「STAND BY Mi」(新橋)、2021年9月には「鳥森百薬」が定休日の日曜日限定で同店のスペースを使ったカフェ「烏森珈琲」の営業も開始しました。
このほか、2021年2月には、廃業を余儀なくされた名店のレシピを残すためのWebメディア「まぼろし商店」も立ち上げました。
――コロナ禍で、昼業態や食事・カフェへの需要が増加しました。そのあたりも意識されたのですか。
いえ、2018年に地元ディベロッパーと提携してオープンしたレストラン「里山transit」(千葉・ユーカリが丘)で、すでに昼業態のノウハウは蓄積していたので、特に意識していませんでした。
“ミナデイン”の社名の由来でもあるのですが、当社は“皆で力を合わせて自社だけの価値を出す”ために、ほかの企業と協業しながら出店するスタイルを掲げています。ソフトやハード、行政、ディベロッパーなど、飲食企業に限らずさまざまなプロと組んで長期的に大きな価値を残そうという考えがありました。それがたまたまコロナ禍に適した業態を生み出すことにつながったのかもしれません。
【飲食企業のコラボ事例】
飲食店のコラボ戦略に勝機あり!~他業種との相乗効果で集客力や認知度をアップ~
2022年11月にオープンした「食堂HEY」(茨城・水戸)は、地元の飲食店オーナーと組み、こだわりの食材や地元の名店の料理を提供するビストロ居酒屋です。妻の実家が茨城県にあり、足を運ぶうちに「日本一の生産量を誇る食材がたくさんあるのにアピールが上手にできていない」と感じるようになりました。そこで、「観光客や出張中のビジネス層が立ち寄れる観光案内所のような飲食店が駅前にあったら面白そう」と考えたんです。
コンセプトは、「“よそ者”が作る勝手にアンテナショップ」。実は茨城の人でさえ、地元の良さに気付いていない場合があります。だから“よそ者”が見た茨城の良さを徹底的にアピールして、県外の人はもちろん地元の人にも茨城を好きになってもらいたいと考えました。茨城・竜ケ崎の人気店「しゃりま」の名物で、タマネギをまるごと使った「いのちのスープ」(528円)や、名産の納豆を使った「NATTOリゾット」(748円)や茨城のブランド豚・梅里豚(ばいりとん)を使った「梅里豚BBQスペアリブ」(1,078円)など、茨城食材を自分たちならではの素材を生かした調理法で提供しています。オープン当時は全く告知をしませんでしたが、初月の月商は想定の1.2倍で、お客様の8割が地元の方でした。
公園、道の駅、都心の複合施設など、さまざまなスタイルの出店を予定
――2023年3月には、飛鳥山公園(東京・王子)での出店が予定されていますが、どういう経緯で決まったのでしょうか。
コロナ禍でも変わらず人気だった場所は、テラスなどの開放的な環境やロードサイドです。そんな中で公園への出店の話を知人経由でいただいたのですが、飛鳥山公園は日本最古の公園という歴史があるだけでなく、公募設置管理制度(Park-PFI)で民間に施設の管理を委託するという流れもありました。街に広く影響力を残せる店舗を作るには最適な場所だと考え、出店を決めました。
業態としてはカフェレストランを予定していますが、具体的な店づくりについては、現在検討中です。地域住民の方々にアンケートを取りながら、街と一緒に育っていく店舗にしたいと考えています。
――人材不足や食材高騰といった課題やDX導入については、どのような対応をしていますか。
幸い、当社には紹介で多くの人材が来てくれているので、人材不足にはなっていません。食材高騰については、当社は特定の食材に特化した専門店などはやっていないですし、接客などで付加価値を付けられる自信もあるので、仮に値上げをしても大丈夫だと考えています。
DXに注力している店舗は今のところありません。ただ、「人がいない」「効率的」といった店側の都合でモバイルオーダーにするのではなく、「モバイルオーダーによって創出した時間でどう顧客価値に転換できるか」まで考えてから始めるべきだとは思っています。
――これから先、どういった目標や戦略を考えていますか。
2023年は、長野県の道の駅や東京・森ビルの虎ノ門ヒルズなどに、新たに8店舗を出店予定です。共通するのは、話題やトレンドで集まってくる「消費者」ではなく、あくまで地元の方やビジネス層などの「生活者」が集客できる店であること。広告で呼び込むなど消費者中心の店舗にしてしまうと、店が消耗して売上に波が出てしまうからです。
「100店舗出店」のような具体的な目標数値はありませんが、「ミナデインがまた面白いことをやっている」という期待感や可能性を感じさせる存在でありたいですね。ありがたいことにこれまで多くのメディアに取り上げていただいていますが、これからも1店舗1店舗をしっかり有名にしていき、「会社自体はそれほど大きくないし、店舗数もそれほど多くないのに、世界的に知られている会社」を目指していきます。
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