2023/10/06 特別企画

”ワイン”の新しい楽しみ方「wine@EBISU」

近年、若者層にワインファンが増加傾向。これからワインを入れる飲食店へ「wine@ EBISU」のワインディレクター林やよい氏がアドバイス。キーワードは、「好み」という切り口が生み出すワインの新しい楽しみ方だ。

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ワインは身近なお酒になった

 「この店に飲みに来る若い人たちを見ていると、ワインが身近なお酒になっていることを感じますね。私がワインの勉強を始めた頃は、ワインは勉強して飲むものと言うイメージがありましたし、高級な憧れのお酒でした」と語るのは、wine@ EBISUのワインディレクターを務めるシニアソムエリエの林やよい氏だ。25年以上、ワイン業界で仕事をしてきた経歴を持つ。

 「彼ら、彼女らの両親はおそらくワインブームを経験して、ワインを日常的に飲んでいた世代なのではないでしょうか。だから子どもの頃から食卓にワインがあるのは普通で、特別なお酒ではなかったのでしょう」。

パーソナライズワイン診断の質問画面

 wine@ EBISUは、2022年の2月にオープンしてすぐに「パーソナライズワイン診断」で自分の好みを見つけて、試飲しながら楽しめるスタイルが評判を呼び、人気店となったワインショップ&テイスティングバーだ。「パーソナライズワイン診断」は、Web上でいくつかの設問に答えるだけで、38種類の味わいタイプの中で、どれが自分に合うかを選んでくれる。設問もチョコレートの香りやイチゴの香りといった、誰もが日常生活の中で嗅いだことのある香りの中から好みを答えていく形なので、ワインの知識が全くなくても直感的に答えられる。

 自分のタイプとして選ばれるのは一つだけでなく、いくつかのタイプがマッチ度の高い順に表示される。店に置いてある850種以上のワインは、全てこの分類のどれに当たるかがわかるようになっている。だから、実際に自分の好みと表示されたタイプのワインを飲んで確かめることができる。気に入ればもちろん買って帰ることもできる。うれしいのは、30種以上のワインを一杯250円(20㎖)で試飲できること。まずは、ここで表示されたいくつかのタイプを試飲してみるのもいいかもしれない。

ゲーム感覚で楽しみながら、ワインを知る

 一度診断すると、Web上に自分のカルテが作られるので、そこに試飲したワインの点数をつけると、その結果をAIが判断して、順位は変わり、どんどん自分の好みに近づいていける仕組みになっている。「試飲できるワインはwine@ EBISUのWebサイト内でわかるので、それを見て変わるたびに来店するお客様もいます。点数をつけたワインが増えれば増えるほど、好みに近づいていけるので、みなさんゲーム感覚で楽しんでいらっしゃるようです」。

 ワイン好きは、産地やブドウ品種などで好みを語ることが多いが、ここではそんな小難しいことを覚える必要はない。38のタイプは国もブドウ品種もバラバラ。純粋に香りや味わいだけでタイプを分類している。それぞれのタイプには「キレありシャープ系白ワイン」「穏やかドライ系白ワイン」「重厚スパイス系赤ワイン」などといった味わいの名前がついている。これを覚えていれば、他の店でも、ソムリエにそう言うだけで、自分の好みに合ったワインをおそらく飲める。これはとても便利だ。

いろいろ飲みたくなる試飲マシン。1枚250 円のコインを入れて目当てのワインのボタンを押すと20ml出てくる

 ソムリエたちは、「ワインの知識がなくても、好みを教えていただければ、おすすめを選びますよ」とよく言うのだが、その好みの伝え方がわからない。味わいや香りの表現は、ワインをある程度知っていないと難しい。その問題を、このシステムは解決してくれる。

 「この分類を決めるのが、一番大変でした。味わいや香りを、何を軸にして分けるかは、かなり悩みました。ネーミングをわかりやすくすることも意識しました。自分の好みを知ることって、意外と難しいんです。でもそれがわかると一気に敷居が下がるというか、興味を持ってもらいやすくなる。たくさんの人にワイン好きになってほしいと思って、ここは安易に妥協せずに考えました」。

 この店が人気店になったのは、分類のわかりやすさだけでなく、「好み」のデータを蓄積していける仕組みがあったからだろう。つまり、診断システムのカルテ。ワインへの親近感を高め、店へのリピートを促すことにもつながる。「好み」と言う観点でワインと触れ合うというコンセプトが、今までありそうでなかったのは、ここができなかったからだろう。ワインの専門家とITの専門家が手を結んだことで、それが実現した。

これからワインを入れる飲食店へのアドバイス

カウンターでは少し高め(コイン2枚)のワインも試飲できる

 昨年、アサヒビールが発表した「ワインに関する消費者動向調査」によると、「1年前と比較してワインを飲む量に変化はありますか?」という質問に「増えた」と答えたのは、全体の平均が25.7%なのに対し、20代は36.5%、30代で33.5%と、他の世代に比べて多い。若い層にワインファンが増えていることがわかる。全体の25.7%も決して低い数字ではない。

 最後に、林氏にソムリエとして、新たにワインをメニューに加えようと考えている飲食店オーナーへのアドバイスをしてもらった。「自分の好みで選ばないこと。お店の価格帯に合わせて選ぶことが大切です。グラスワインがたくさんあった方が出ます。飲み比べセットなどを用意するのもいいですね」。普通の飲食店では、たくさんそろえられるわけではないので、ワインの品ぞろえにストーリーがあることも大切だと言う。

 「それは、たとえば焼き鳥に合うワインとか、そういうシンプルなことでいい。悩んでいろいろな種類をたくさん入れてしまう人をたまに見ますが、広げすぎるのはだめです。むしろ絞り込んでください。テーマを決めて、卸業者やインポーターなどに相談するのがいいと思います。私たちの会社もやっていますが、飲食店向けにその店の料理に合うワインを提案するサービスも最近は増えています。そういうサービスを使うのもいいと思います」。

取材協力:「wine@EBISU」 ワインディレクター 林やよい氏
https://r.gnavi.co.jp/hv6y5mga0000/
東京都渋谷区恵比寿南1丁目4-12 岩德ビルⅡ3階 
03-6303-3164

※株式会社テンポスホールディングス刊「スマイラー」87号より転載

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