月商1,500万円「酒場 つむぎ堂」を生んだ馬淵和也氏の“成功者に学ぶ力”

株式会社LINK STYLEの代表取締役社長 CEOの馬淵(まぶち)和也氏。東京・西新宿の繁盛店「酒場 つむぎ堂」などを運営しており、2024年4月に新店「酒場 ひまり堂」を出店した彼にこれまでの歩みや展望を聞いた。

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「成功者の共通点」を捉える分析力で、「鶏の吉助」「つむぎ堂」など、月商1,000万円超の人気店を続々展開!

株式会社LINK STYLEの代表取締役社長 CEO・馬淵和也氏は、大学時代にキャッチのアルバイトから飲食の道に入ったユニークな経歴の持ち主。キャッチ時代から「うまくいっている人をまねる」ことで成果を上げてきた彼は、コロナ禍での逆境にも「今、成功している人には共通点があるはず」と考えて、生き残るための道を模索し続けた。

こうして、時代に合った、エリアに合った業態開発を追求するなかで、東京・西新宿の「酒場 つむぎ堂 新宿店」が月商1,000万円超の繁盛店に成長。2024年4月には恵比寿に「酒場 ひまり堂」を出店した馬淵氏に、これまでの歩みと今後の戦略・展望をうかがった。

目次
キャッチ時代からの習慣は“うまい人をまねすること”
2号店での教訓とコロナ禍で見つけた繁盛店の共通点
都内への初進出店「つむぎ堂」が大ヒット!
新店「ひまり堂」で恵比寿に進出
普遍的に強い「口コミされる店」を目指す
「リーダー×一問一答」&「COMPANY DATA」

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――飲食業界に入ったきっかけは。

大学時代のアルバイトで、新宿の居酒屋でキャッチの仕事をしていました。当時は出来高払いの完全歩合制で、自分が頑張った分だけ給料に反映されるのが面白かったですね。うまくいっている先輩が何をやっているかを観察、真似しているうちに成果が上がり、気付いたらトップセールスを記録していました。

特に飲食業をやりたいわけではなかったのですが、大学2年生の頃から、漠然と起業したいとは考えていました。周りの先輩たちが飲食店を複数経営していて、しかも成功している人が多かったので、飲食業界での起業を決めました。

1993年、茨城県生まれ。学生時代のアルバイトで開業資金を貯めて2017年10月に独立。埼玉、千葉での「個室居酒屋 鶏の吉助」出店を経て、2021年から都内で店舗展開をスタート。2024年4月に恵比寿に「酒場ひまり堂 恵比寿店」をオープン。現在6店舗を経営している。

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キャッチの仕事で稼いだ額は2,500万円くらい。それを元手に、地元の友人2人を誘って起業しました。1店舗目に埼玉県川越市を選んだのは、自分が生まれた場所だったことと、競合がいなくてなるべく家賃が安い場所にしたかったからです。川越駅からわずか1分の物件でしたが、にぎやかな繁華街とは反対側だったので家賃は格安。飲食業界の先輩から「場所は関係ない。宴会客をメインターゲットにした業態なら、Web広告で十分集客できる」とWeb戦略のノウハウを教えてもらい、個室居酒屋を売りに2017年10月、「鶏の吉助 川越店」をオープンしました。

2017年当時の川越は個室居酒屋の競合がいなかったので、ぐるなびなどのグルメサイト経由で大勢のお客様が来店。連日満席で、平均月商は800万円超、最高月商は1,000万円超で坪月商37万円の人気店になりました。ただ、その後は競合がどんどん出店してきたことから、“ボーナスタイム”は1年ほどでひと段落しました。とはいえリピーターの方も多く、現在も好調な売上を維持しています。

創業店の「鶏の吉助 川越店」。個室居酒屋の競合が少なく、ぐるなびなどでの販促も奏功して最高月商1,000万円超をたたき出す繁盛店に成長

――川越店の成功を得て、2019年8月には2号店「鶏の吉助 千葉駅前店」を出店しました。

千葉の物件の家賃が安かったことから出店しましたが、1号店と違ってエリア内に個室居酒屋の競合店が多く、Web戦略がうまくいかずに苦戦しました。業績は悪くなかったのですが、近隣の競合店と比べると業績は物足りなく、しかもオープン1年足らずでコロナ禍に突入してしまいました。

コロナ禍では1号店を含めてランチ営業やテイクアウト、デリバリーなどいろいろなことに取り組みましたが、全くうまくいきませんでした。特にランチ営業は薄利な上に、混雑によるオペレーションの不備から顧客満足度が大きく下がってしまい、リスクとリターンが見合わないと判断して3日で辞めました。

そんな中、コロナ禍でも次々に出店している企業や流行している店は何が違うんだろうと思い、都内などの繁盛店を見て回りました。その中で気付いたのが、「宴会や予約頼みではない業態」の強さです。

例えば企業の宴会で「30人で予約できる店」を探すなら、「キャパ」「エリア」「予算」が最重要事項になり、料理の優先度は下がります。川越の1号店はまさにそういったニーズを取り込めるエリアでしたし、大人数にも対応する個室を用意していたので、料理のクオリティー以上に「コース料理のボリューム」や「ドリンクの提供スピード」といった宴会で重視されるポイントに重きを置いていました。しかし、コロナ禍に直面してからは「料理へのこだわり」「雰囲気の良さ」「サービスの良さ」など、細部のポイントまでこだわる店が繁盛していることを知り、そちらに重心を移すことにしたんです。

ちょうどそのタイミングで、川越中心部の商店街沿いの路面物件が空いたので、3店舗目として「ネオ大衆酒場 サワマル 川越店」を2021年3月にオープン。これまで視察してきた繁盛店を参考に、BGMやスピーカーの音質、お皿一枚に至るまで雰囲気づくりにこだわりました。料理はコースではなくアラカルトでの利用を想定して、一品一品に独自のアレンジを加え、「鶏の吉助」よりも原価率を5%ほどアップ。その結果、20~30代の女性のお客様に多く来ていただき、SNSでも拡散されたことで、平均月商800~900万円、最高月商は1,000万円に。同じ川越エリアでありながら、「鶏の吉助 川越店」とは全く違う客層を獲得できたことに手ごたえを感じました。

2021年3月にオープンした3号店「酒場 サワマル 川越店」。レモンサワーやフルーツサワーを10種類以上ラインナップするなど、トレンドを意識。この後に出店する「つむぎ堂」でも名物となる「超ホロホロの茹でたん」など、ネオ大衆酒場系の“ちょっとこだわった一品”がSNSで話題に

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――2022年には東京に初進出しましたが、どういう経緯だったのでしょう。

オフィス街の西新宿はJR新宿駅から徒歩圏内ですが家賃も安く、特徴的な個店が増えて話題になっていることから以前から注目していたのですが、いい物件が空いたので満を持して出店しました。

2022年3月オープンの「酒場 つむぎ堂 新宿店」は“ワンランク上の大衆酒場”がコンセプトで、ライブ感を重視したオープンキッチンの空間です。原価率50%を超える「超ホロホロの茹でタン」(605円)など、手作りのおいしさを大事にした三大名物料理を打ち出したところ、インフルエンサーの来店で情報が拡散し、集客アップにつながり最高月商は1,500万円、坪月商57万円を記録しました。客単価4,000円で、飲み会などの普段使いが多いのが特徴です。

【つむぎ堂が繁盛している理由はこちら】
名物「茹でタン」とライブ感ある空間がSNSで拡散され、坪月商57万円の人気店に!~「酒場 つむぎ堂 新宿店」(東京・新宿)~

2022年3月オープンの「酒場 つむぎ堂 新宿店」。近年の大衆酒場のトレンドであるオープンキッチンで店の外からも活気が伝わる作りにしており、三大名物の「超ホロホロの茹でタン」「国産鶏の肉汁焼き」「呑める餃子」をフックに月商1,500万円をたたき出している

「つむぎ堂」と同じ西新宿エリアに2023年4月にオープンした「めしや ヒロキ倶楽部 新宿」は、“小料理屋の入り口”がコンセプト。客単価6,000円と高めの価格設定で、デートや記念日などの利用が多いですね。こちらも三大名物料理を打ち出しており、特にレアで提供する「本気のアジフライ」(1,280円)は仕込みやオペレーションが大変ですが、お客様に確実に「おいしそう」と思ってもらえるジャブとしての一品です。コロナ禍が落ち着いたこともあり、オープン1年で月商1,000万円と好調です。

同じく西新宿エリアに2023年4月にオープンした「めしや ヒロキ倶楽部 新宿」。客単価6,000円と「つむぎ堂」よりやや高めの価格設定で、デートや記念日などの利用を獲得している

――2024年4月には西新宿を飛び出して、恵比寿に出店しました。

駅の乗降者数が多い山手線内の西側をターゲットに物件を探していたのですが、ちょうど恵比寿駅近くでミシュラン星付きの蕎麦店が退店した物件を見つけて、「酒場 ひまり堂 恵比寿店」をオープンしました。

西新宿の2店舗よりも家賃比率は高いのですが、普段使いできる居酒屋路線で想定の客単価は4,000円。名物料理やライブ感重視のレイアウトなど、これまでの成功モデルを詰め込み、どの年代、どのエリアにも通用する業態にしました。今後の各地への店舗拡大も視野に入れ、ひとまず月商1,000万円超を目指しています。

新宿を飛び出し、恵比寿駅近くに出店した「酒場 ひまり堂 恵比寿店」。普段使いできる居酒屋路線で想定客単価は4,000円。どの年代、どのエリアにも通用する業態として期待しており、このモデルが軌道に乗ればほかのエリアへの出店も視野に入れている
(写真左から)トッピング(いぶりがっこ/しばづけ)を選べる「ひまり堂のポテサラ」、特製だしで作った「おでん」、国産和牛を低温調理し自家製ダレと濃厚な卵黄で食べる「和牛のユッケ」が三大名物

――今後の目標は。

新宿は集客のポテンシャルが高く、西新宿や新宿三丁目などを含めて10店舗は出店できると考えています。そのほかの都内エリアでは、商圏が大きい山手線内の駅、特に池袋、渋谷がターゲットです。逆に自由が丘や学芸大学など個店が強いエリアは、完全に現場スタッフのマンパワー勝負なので、「型」を作って広げていく当社の方向性とは合わないと感じています。まずは新宿を中心にしつつ、周辺エリアでも探していきたいと思います。

今後の店舗展開を考えると、人材、特にマネジメント層の獲得と育成が課題です。売上や店舗数はもちろん増やしていきたいのですが、具体的な数字は掲げていません。まずはクオリティーをしっかり維持していくために「良い口コミを増やす」「口コミされる店になる」ことが時代のトレンドに関係なく重要だと感じています。

以前はSNSに載せれば拡散されて「とりあえず行ってみよう」という流れでしたが、最近ではお客様の側でも良い店を吟味する傾向にあります。これまでの経験を生かして手を抜かずに、改めて接客サービスや料理に力を入れて、お客様に満足してもらい、思わず誰かに教えたくなる店を追求していきたいと思います。

リーダー×一問一答

■経営者として一番大切にしていること
自責の念、常に学び続けること。

■愛読の雑誌や書籍、Webサイト
特に無し

■日課、習慣
サウナ

■今一番興味があること
事業の多角化

■座右の銘
仕事の結果=熱量×行動量×知識量

■尊敬している人
ローランド

■最近、注目している店舗・業態
もんじゃ

■COMPANY DATA
株式会社 LINK STYLE
東京都新宿区西新宿7-18-18 新宿税理士ビル別館411
https://linkstyle-group.com/
設立:2017年
ブランド数・店舗数:5ブランド、6店舗

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