2024/06/05 繁盛の法則

「じげもんちゃんぽん Esola池袋店」(東京)独自の麺、スープの“新グルメちゃんぽん”で、全国展開を目指す専門店とは

鶏とんこつスープともちもち感のある多加水麺、1人前に250gの野菜類を使う、新しいタイプのちゃんぽん専門店として急成長している「じげもんちゃんぽん」。東京・池袋の直営店「じげもんちゃんぽん Esola池袋店」では、来店客の約8割を女性が占め、平均月商600万円を売上げる。また経営母体の株式会社大髙商事が、2024年1月31日付けでGOSSO株式会社と資本提携。今後は全国各地へ出店、さらには海外進出を目指すという。

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繁盛の法則 3カ条

  1. 独自のスープと麺で新たな味わいのちゃんぽんを開発
  2. たっぷり使う野菜類でヘルシー感を訴求
  3. 自由な発想で多彩なバリエーション商品を提供

長崎出身の経営者が、地元への貢献を目指して、ちゃんぽんに着目

長崎を代表する料理の一つであるちゃんぽんは、とんこつ主体の白濁したスープと、唐あくというかんすいの一種を使った太めの麺に、たっぷりの具材を加えた栄養バランスのいい麺料理である。長崎ちゃんぽんの全国チェーンも登場しているが、長崎以外の地方では専門店の数はまだまだ少ない。

長崎ちゃんぽんをベースにしながら、鶏ガラを加えたコクのある鶏とんこつスープ、そのスープに負けないもちもち感のある多加水麺(唐あく不使用)、自由な発想で創り出す多彩なバリエーションメニューで躍進しているのが、「じげもんちゃんぽん」である。経営元は株式会社大髙(だいこう)商事で、2017年に前身となる「じげもんとん -champon style-」を東京・武蔵境にオープンし、2019年から「じげもんちゃんぽん」ブランドに統一してライセンス展開を開始した。じげもんとは地元民の意で、地元の人たちのみが知る食材や食文化を日本中に広める「地産都消(ちさんとしょう)」を掲げている。

大髙商事代表取締役の髙階宏一朗(たかがい こういちろう)氏は、1975年長崎・大村市生まれで、18歳で上京し、当初は新聞奨学生として大学進学を目指したが、その後、方向を修正してアメリカ・サンフランシスコに短期留学し、そこで観た舞台に感動し帰国後は役者生活を経験。27歳で不動産会社に就職してサラリーマンとなり、マンション販売などで頭角を現わし、トップセールスマンとして活躍した。

34歳のときに故郷の長崎に帰る機会があり、以前よく行っていたアーケード街でシャッターを下ろしたままの店舗の多さを目の当たりにし、自分自身がふるさとに貢献できることはないだろうかと考えるようになった。そのようなタイミングで、宮崎地鶏を使った「塚田農場」などを展開する株式会社エー・ピーカンパニーの関係者と出会い、農業や漁業などの第一次産業を活性化させながら、飲食店を経営する「生販直結モデル」に感銘を受けた。

エー・ピーカンパニーに関わることで、将来的に自分の地元に貢献するヒントになるのではないかと考えた髙階氏は、2009年8月、34歳で脱サラして大髙商事を設立し、まずエー・ピーカンパニーがライセンス展開する「じとっこ」に加盟し、同年10月に立川店、2010年に経堂店、2011年に下北沢店を出店し、順調に軌道に乗せていった。残念ながら3店ともコロナ禍で閉店したが、立川店は12年に渡って経営し、その経験が現在の髙階氏および大髙商事の基盤となっている。

地元のお客に愛される、街の食堂としての展開を目指す

左がベーシックな「白ちゃんぽん」(910円)で、プライベートブランド化している鶏とんこつの濃厚なスープ、魚介類のうま味を加えたかえし、数十回試作を重ねて完成した多加水麺を使用している。右がグルメちゃんぽんの「牛ホルモンちゃんぽん」(1,450円)で、発酵熟成させ、濃厚な味噌だれで仕上げた牛シマチョウを加えたもの。ちゃんぽん特有の仕上げ作業として、茹で上げた麺と炒めた具材をスープで30秒ほど煮込むことにより、特有のうま味が生まれる。同店ではこれを「30秒の魔法」と呼んでいる。麺は1人前に生麺で150g(茹で上がりで約230g)を使用し、小盛75g(-60円)、大盛225g(+110円)を選べる。野菜の量は普通250gのほか、野菜増(350g、+110円)、野菜W増(450g、+220円)を用意しており、来店客が好みでカスタマイズできるのも特徴

長崎ちゃんぽんになれ親しんで育った髙階氏だが、上京後は東京のラーメンの種類の多さやその人気ぶりに衝撃を受けた。この東京のラーメン文化の中でも受け入れられるようなちゃんぽんを作れないかという、漠然とした思いを長年持ち続けていた。地産都消というコンセプトに沿って、ちゃんぽんを東京で提供してみようと考えた際、長崎で一般的なちゃんぽんそのままではなく、長崎出身者が東京で考案した、新グルメちゃんぽんを作ることにした。東京の人気ラーメン店と同様、独特のスープと麺だけでもおいしいが、近年は野菜不足を感じている人が多いことを鑑み、野菜類を1人前に250gを使い、「野菜日和」というサブキャッチをつけた。

この新たなちゃんぽんの味が各地の飲食店経営者から好評を得、2024年5月現在で直営6店舗、ライセンス店27店舗、プロデュース店2店舗を擁し、出店予定も続々と決まってきている。髙階氏は「じげもんちゃんぽんは、地元の方々に必要とされる、街の食堂という位置づけになればいいなと思っています」と語る。

東京・池袋駅西口直結の「じげもんちゃんぽん Esola池袋店」は2021年11月にオープンした20坪34席の直営店である。平均的な店舗でも女性客が6割ほどを占めているが、Esola池袋店は女性客の比率が約8割と高いのが特徴で、客単価1,100円で平均月商600万円を上げている。

同店が新しいタイプのちゃんぽん専門店として急成長している要因は、以下のようになるだろう。

  1. 独自に開発したスープと麺だけでもおいしい、新たなちゃんぽんを作り出している。
  2. 1人前に通常で250gの野菜類を使用し、野菜不足を感じている層に選ばれる商品としている。
  3. 自由な発想で期間限定商品や、地域限定商品を打ち出している。

順調に成長してきた同社だが、今後のさらなる発展を期して、「0秒レモンサワー  仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭」など約100店舗を展開するGOSSO株式会社と資本提携した。2024年1月31日付けでGOSSOが大髙商事の全株式を取得し、じげもんちゃんぽんの全国各地への出店、さらには海外進出を目指していく。

「大髙商事単独でも50店舗はいけると思うのですが、50店舗から100店舗を目指したときに、今の私たちだけでは足りないものがたくさんあると思ったのです。そこで、実績のあるGOSSOさんと組もうと。私自身はこのじげもんちゃんぽんという地元で愛される店舗を増やし、麺もスープもおいしくて、野菜も食べられるちゃんぽん文化が広がっていけば本望なのです。これが私の至上の命題であり、GOSSOさんというアライアンスパートナーとともに、より価値の高い業態にできればと思っています」と、髙階氏はさらなる挑戦を続けている。

(Text and shop photo by Food Biz, )

じげもんちゃんぽん Esola池袋店
住所
東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋 6F
TEL 03-5924-6080
営業時間
11:00~22:00(LO.21:45)
定休日
無休(施設の休館日に準ずる)
https://r.gnavi.co.jp/gjc6m72g0000/map/

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