2024/07/02 繁盛の法則

「レストラン MOMO」(東京・根津)幅広い年齢層に支持される、街角のカジュアルフレンチとは

東京・根津にある「レストランMOMO」はオーナーシェフ夫妻と従業員1人で営業する小ぢんまりした店舗だが、オープンから通い続けてくれている70~90代の得意客はじめ法事後の会食として、少人数のグループで利用する人が増えているという。店内に飾られた優しい色合いの絵画や壁画が独特のアットホームな雰囲気を醸し出し、親しみやすいカジュアルフレンチとして、地元の顧客に愛され続ける。

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繁盛の法則 3カ条

  1. 17年の修業を経て独立開業
  2. 日常的な利用から記念日まで多様な動機に対応
  3. コロナ禍を機に少人数での稼働に転換

10代から料理に興味を持ち、恩師の紹介で修業を開始

東京・根津で2006年4月から営業している「レストランMOMO」は、地元の常連客に愛されるカジュアルフレンチである。13.5坪16席の小ぢんまりした店舗で、店内に飾られた優しい色合いの絵画や壁画が、独特のアットホームな雰囲気を醸し出している。

「フレンチというより、気さくなビストロ、洋食店のような店ですね。おかげさまで、周りの方たちに支えられながら続けています」と、オーナーシェフの大桃 秀勝 氏は語る。

客単価は昼2,000円、夜6,000円だが、昼は「ワンプレートランチ」(1,298円)を30分足らずでさっと食べていくこともできれば、折り畳み式テーブルを入れて最大24人までの貸切りパーティーにも対応可能で、幅広い利用ができるレストランとしても認知されている。

大桃氏は1974年9月新潟生まれで、中学卒業と同時に東京・千石の「スクアールビストロ」に入り、皆川 豊秋オーナーシェフの下で料理修業を始めた。母子家庭で育った大桃氏は、留守がちな母親に代わって料理を作ることが多く、また新聞配達をして家計を支えていた。進学より料理の道に進みたいと希望したところ、中学の校長が皆川シェフの知り合いだった縁で、スクアールビストロを紹介してくれた。

「絶対に迷惑はかけるなよ」という、校長の戒めを胸に修業に励み、20歳から3年間はフランスでの修業を経験した。帰国後もスクアールビストロに戻って勤務しながら独立の準備を進め、同じ文京区内の現物件を見つけ、31歳で独立開業を果たした。皆川シェフやフランス修業から学んだ技術・技法を生かしながら、旬の素材を駆使して鮮やかな料理を作り続けている。

コロナ禍中はテイクアウトを強化しながら営業を継続

ランチタイムの人気商品「ワンプレートランチ」(1,298円)で、鶏の骨付きもも肉のコンフィ、ハンバーグ、スペイン風オムレツ、季節のサラダの盛り合わせ。パンまたは雑穀米入りごはんを選べる。以前はメイン料理を日替わりにしていたが、鶏もも肉のコンフィとハンバーグを目当てに来店する人が多いことから、現在はメインを固定しており、季節野菜を使用するサラダは随時変更する。鶏もも肉のコンフィは、200gほどのサイズの骨付きもも肉を仕入れ、塩、コショウ、砂糖、ブランデーを合わせた調味液で2日間マリネした後、85℃のラードで2~3時間かけて火を入れ、柔らかく仕上げる。オーダーが入ってから皮面だけパリッと焼いて提供する。外側は香ばしく、内側はしっとりと柔らかい肉が骨からスッとはがれ、独特の食感を楽しめる

ランチタイムは、ワンプレートランチのほか、「Menu A」(2,728円)、「Menu B」(5,148円)の、2種のコース料理を提供している。ワンプレートランチは、コース料理の予約客の合間の時間に来店し、さっと利用することもできるため、タイミングがよければ60食ほど提供することもできる体制としている。

現在、ワンプレートランチのメインにしている「鶏の骨付きもも肉のコンフィ」は、仕込みに数日間かかるが、オーダーが入った後は表面を焼くだけですぐに提供できるように用意している。そのため、大桃氏は定休日も含めて毎日店舗に来ており、丁寧に仕込み作業を行っている。

夜はアラカルトも用意しているが、「Menu A」(3,278円)、「Menu B」(5,148円)のコースの利用が9割近くを占めている。客層は幅広く、オープン以来通い続けてくれている70~90代の得意客も少なくない。

また、新潟の母親が毎日のように送ってくれる新鮮な野菜類や山菜をメニューに組み込んでいるのも同店ならではの特徴である。時には近隣の常連客にお裾分けで配ることもあり、それがお客様とのつながりを強めている。

2020年からのコロナ禍でも、その時々の要請を守りながら営業を続け、テイクアウトに力を入れて乗り切ってきた。しかしながら、以前は数人雇っていた学生アルバイトは卒業等のタイミングで辞めてもらい、学校や企業の行事等の際に受注していたパーティー料理のケータリングもしばらく休むことした。現在は大桃氏、奥さんの順子さん、従業員1人の計3人体制で、無理し過ぎない営業に切り替えている。

一方、2023年5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行してからは、店内での飲食が戻ってきており、中でも周辺に寺社が多いことから、法事の際の会食として、少人数のグループでの利用が増えている。

同店が親しみやすいカジュアルフレンチとして、地元の顧客に愛され続ける要因は、以下のようになるだろう。

  1. 都内およびフランスでの計17年の修業を経て独立開業を果たす。
  2. 日常的な利用から記念日などの会食まで、多様な利用動機に対応している。
  3. コロナ禍を機にケータリングなどを縮小し、少人数での稼働に切り替えている。

店内で目を引くカラフルな絵は、常連客の1人であるイラストレーターの鯰江 光二(なまずえ こうじ)氏の作品で、一部は販売もしている。オープンして5年ほど経った頃、よく大きな段ボール箱を持って来店する鯰江氏に、大桃氏が「何が入っているのですか?」と声をかけたところ、「実はこういうイラストを描いているのです」と、自身の作品を見せてくれたことがきっかけだった。

鯰江氏は1968年東京生まれで、小説や絵本など多数の挿画を手がけており、独特の柔らかい色調のイラストが多い。この雰囲気が自店によく合うのではと感じた大桃氏が、「店内に飾らせていただけませんか」と申し出ると、「それはこちらとしてもありがたい」と鯰江氏も快諾してくれた。数年後には壁にも直接イラストを描いてくれ、「絵画を楽しめるレストラン」という側面も持つようになった。

「今後もこれまでと変わらず、一生懸命に料理を作って行きたいです」と、大桃氏は笑顔で語っている。


(Text and shop photo by Food Biz, )

レストラン MOMO
住所
東京都文京区根津2-15-15
TEL 03-5814-1039
営業時間
11:30~14:00、17:30~21:00
定休日
水曜日
https://r.gnavi.co.jp/prfgzkpy0000/

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