ダブル主役「かに・ふぐセットメニュー」が旅行客に大ヒット
札幌市内の中心部を東西に貫く老舗のアーケード商店街「狸小路」は人が集まる人気のスポット。この商店街から近いものの、1本離れた通りのビル地下1階に「かにとふぐ 北海道料理 喜多川」(以下「喜多川」)はある。2003年の開業から20年以上になる和食店だ。
売上向上の転機は、”店名変更”から始まる。コロナ禍となる少し前、スタッフからの提案を採用し、店名の頭に「かにとふぐ」を追加した。この変更のタイミングで、メニュー構成も大きく改変。従前のコース料理に加え「他店とは競合しないスタイル」をテーマに、かにとふぐなどを組み合わせたセットメニューを設定した。
加えて、仕入れや調理の工夫、インバウンド客・国内団体客など観光客への積極的な対応で、料理の平均客単価が6,000円から11,000円へと、倍近くアップしたという。
70席(最大90席)と席数の多い店の仕入れから料理を一手に担うのは、店主の平野 直則 氏。豊富な経験から生み出すメニューの力で、満足度をあげながら客単価アップも可能とする方法について教えていただいた。
北海道札幌市中央区南2条西5 アイビル2・5 B1
https://r.gnavi.co.jp/ft749ydu0000/
目次
満足度&客単価アップへの道
1.原価率を下げる
独自の仕入れ・調理の工夫で高級料理をリーズナブルに
2.インバウンド獲得
客がSNSで発信。ウェブ情報を契機に来店
3.豊富なコース・セットメニュー
国内外の団体客に、旅先ならではの食の楽しみを提供
4.料理+飲み放題付コース
価格の明確化で、インバウンド客の飲酒を誘引
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1.原価率を下げる
独自の仕入れ・調理の工夫で高級料理をリーズナブルに
まず、店名変更とメニュー構成の刷新と同時に、仕入れも変化させた。「喜多川」は北海道・知床半島に位置する羅臼漁業協同組合の推奨認定店となっている全国でも数少ない店舗ということもあり、この羅臼からの仕入れを大きく増やした。
近年、漁獲量が激減し価格が上昇している真イカに代え、今はメインで仕入れているドスイカもその一つ。地元では食べられるものの市場にはあまり出回らないドスイカは、鮮度落ちが早いため、前日に獲れた新鮮なものを仕入れる。天ぷらなどの揚物にしても身が固くならず、味も良いのが特徴だ。
そのほか、身が柔らかすぎるサクラマスは塩と砂糖でシメサバのように漬ける、スケトウダラは地元の郷土料理であるルイベに仕立てるなど、調理に工夫を凝らすことで、未利用魚に近い食材も取り入れている。その結果、原価率は従来の2%程度下がった。
羅臼は、鮭・マス・ホッケ・真ふぐ・オヒョウ・ドスイカ・サメガレイなど、水揚げされる魚種の多さでも他域を圧倒している。仕入れは羅臼をはじめ全国から行っているが、羅臼のふぐなどは安く仕入れられることが強みだという。「仕入れた食材をいかに有効活用するか、料理の幅を広げられるかが原価率を下げ、売上を伸ばすポイントです」(平野氏)。
カニとふぐ、そして北海道ならではの食材をふんだんに使った豪華絢爛な料理が比較的リーズナブルな価格で食べられるとあって、ご当地グルメを目当てに札幌を訪れる観光客の間でヒットしているというわけだ。
2.インバウンド獲得
客がSNSで発信。ウェブ情報を契機に来店
「この場所は中心である狸小路から少し離れているので、通りがかりで入店する人はあまり多くありません」と話す平野氏。そのため、早くからぐるなびでの情報発信を進めてきたが、潮目が変わってきたのはインバウンド需要が急増してきたコロナ禍直前の時期で、にわかに外国人観光客の来店が増え始めたという。また、ホテルの建設が相次ぎ、現在は両隣、裏手にもホテルが開業した。
「香港から来たというお客様に来店理由を尋ねると、この店が自国のSNSでバズっていますと。ウェブ情報の思わぬ効果を実感しました。自分はPC作業が不得意ですが、情報発信の重要性を強く感じているので、ぐるなび、食べログ、ホットペッパーなどのWEB広告媒体の細かい情報は若手スタッフに任せて更新しています」(平野氏)。来店する外国人はアジア圏の人が中心で、香港、台湾、韓国の順に多く、最近はタイからの観光客も増えてきている。
こうした外国人に対して分かりやすい情報を伝えるため、料理画像を多く掲載しているほか、来店時には英語・韓国語・中国語のぐるなび外国語メニューをプリント・ファイルして提供している。また、スタッフは飲食店の運営経験があるなど、いずれも経験者を配置。料理の質の高さとともに接客対応の良さも、SNSで評価されているという。
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3.豊富なコース・セットメニュー
国内外の団体客に、旅先ならではの食の楽しみを提供
国内団体客の利用が年間を通して一定数あることも「喜多川」の特徴だ。1年のうちでも6、7、9、10月がピークで、大手旅行エージェントが手配する社員旅行などが多くを占める。平野氏は「旅行での食事は、最大級の楽しみ。その時間を大切にしたいというニーズに自信を持って応えられる料理を用意しています」と話す。
全7品以上で構成する「コース」、品数を3~4品にしぼった「セットメニュー」を豊富にそろえ、しかも内容が実に豪華。目玉食材が一度に楽しめるスタイルは、他店とは一線を画す「喜多川」ならではである。
近頃季節問わず需要があるのはしゃぶしゃぶで、今一番注文率が上昇しているのは「蟹、ふぐ、キンキ北の贅沢しゃぶセット」だという。客単価アップに貢献している一品だ。
宴会が終わると、食べ残しが多い料理を分析。コースやセットメニューの構成内容を微調整するといったきめ細かな対応を行っており、その繰り返しが、旅行エージェントの信頼獲得につながっている。
料理の原価率は35~40%。在庫の多い食材を臨機応変にメニューに取り入れるほか、食材が安いタイミングで大量に仕入れ、加工しておくことで利益率を高めるなど工夫を凝らす。また、年間の魚類の時期を把握し、スタッフ総出で仕入れを行うことでも効率化を図っている。
4.料理+飲み放題付コース
価格の明確化で、インバウンド客の飲酒を誘引
「インバウンドのお客様は、あまり飲酒をしないのですが、新たに設定した料理+飲み放題付コース(7,600円~)が人気になっています。ドリンク込みで予算が明確につかめれば、飲んでくれるということに気づきました」(平野氏)。また、セットメニューでも嫌いな食材があれば別のメニューに変えるなど、柔軟に対応できるサービスと、それを支える技術力も強みとなっている。
「食材は高騰し、小ロットでの仕入れもなかなか難しい時代。今飲食店にとって安い価格設定だけが武器ではないと思います。また、この場所で旅行客を集客できなければこの店は生き残れません。立地とお客様ニーズから仕入れや食材の仕込みを工夫し、メニューを組み立てる。この繰り返しで満足度の高い食の楽しみをこれからも提供していきたいと思います」と平野氏。
客単価アップで売上を上げる戦略にシフトした理由には、人員不足があったという。20時すぎからの予約は無理に取らないなど、労働時間を緩やかにすることでバランスを取っている。今後も魅力的なメニューで安定した集客を目指していく。
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