2024/09/03 繁盛の法則

「EN別邸 中央林間店」(神奈川・大和市)厳選した素材を生かした料理で、地元に愛される和食レストランとは

小田急江ノ島線と東急田園都市線が乗り入れる中央林間駅から徒歩3分ほどの場所にある「EN(えん)別邸 中央林間店」は、「ちょっと贅沢」がコンセプトの和食レストラン。昼は地元の主婦層から圧倒的な支持を得て、客単価は1,500円で1日平均30~40人が来店。一方、夜は客単価5,000円で男性が4~5割を占め、フードとドリンクの売上比は6対4。週末には1日60~70人を誘引している。

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繁盛の法則 3カ条

  1. 地産地消と産地直送をテーマとする和食を提供
  2. 多様な利用が可能な落ち着いた空間を創出
  3. コロナ禍、コロナ後に対応した提供方法を工夫

別邸でくつろぐような「ちょっと贅沢」を表現

神奈川・大和市の「EN別邸 中央林間店」は、居酒屋と割烹の中間的な存在として、日常の中での「ちょっと贅沢」を感じられる和食レストランをコンセプトとする。地元・神奈川産の食材を使う地産地消と、全国各地の良質な素材を直接仕入れる産地直送を掲げ、季節感を生かした料理として提供する。

小田急江ノ島線と東急田園都市線が乗り入れる中央林間駅から徒歩3分ほどの場所にあり、テーブル席のほか小上がり、テラス席、個室も備え、35坪62席の規模がある。店名のENは、生産者と店舗とお客を結ぶ「縁」を、別邸とは自宅からちょっと離れた場所という意を込めて名付けたものだ。

ランチタイムは、定食メニュー7品目(1,078~2,178円)を提供しており、好みの主菜に加え、本日のそうざい6種、サラダ、ごはん、みそ汁、デザートが付く。この盛りだくさんの定食が主婦層からの圧倒的な支持を得ており、昼の客単価は1,500円で、1日平均30~40人、多い日は50人ほどが来店しており、女性が7割を占めている。

夜は、別邸名物と謳う横浜産豚肉を使った「はまぽーく つゆしゃぶ」(1人前1,848円、注文は2人前から)のほか、前菜、刺身、焼き物、揚げ物、注文が入ってから炊く「名物 炊き立て土鍋ご飯」など約40品目のフードメニューをそろえている。ドリンクは、神奈川の地酒のほか、生果実サワー、ワイン、焼酎、ビールなど約40品目を用意している。

2カ月ごとに変わる季節メニューや、コース料理も提供する。夜の客単価は5,000円で、フードとドリンクの売上比は6対4。最近は近くのサラリーマンの飲み会や会社関係の宴会利用も戻ってきており、週末には1日60~70人を誘引し、夜は男性が4~5割を占めている。

コロナ禍への対応を経て、分社による新体制に移行

別邸名物と謳う「はまぽーく つゆしゃぶ」(1人前1,848円、注文は2人前から)。さっぱりとしただしの風味が香るつゆと、柔らかくて甘みがある横浜産「はまぽーく」がよく合う。また、旬の素材を使う料理に合わせ、米の種類を毎月変えているのも特徴である。特に夜の人気商品で、注文を受けてから炊き上げる土鍋ご飯は、客席でスタッフが取り分ける際に、その月のお米の特徴をきちんと伝えている

オープンは2009年11月で、当初は2004年に創業した株式会社キープ・ウィルダイニングの直営店だった。当時の同社は、東京・町田市や神奈川の県央地区を中心に居酒屋業態を展開しており、和食レストランは初の試みだった。

出店に当たり、創業料理長が神奈川県内および全国各地を巡り、神奈川・三浦産の朝獲れ鮮魚、神奈川・秦野で無農薬栽培に取り組む小清水農園の野菜類、柔らかくて甘みのある横浜産豚肉の「はまぽーく」、宮崎産の日南鶏、淡路島産の甘みの強いタマネギ、新潟・南魚沼産の肉厚でジューシーな八色(やいろ)椎茸など、一つ一つの素材の仕入れルートを確立してきた。

2017年に入社した現料理長の宮本 晃嘉(みやもと てるよし) 氏も、その流れを受け継ぎながら、丁寧な料理を作り続けている。

その後、キープ・ウィルダイニングはカフェ業態、洋食業態、菓子製造・ベーカリーなどに事業を拡大してきた。また2020年からのコロナ禍も契機となり、近年は分社化して社員を独立させ、経営者として新たな道に進めるような制度を整備している。

2005年にキープ・ウィルダイニングに入社し、社内でも活躍してきた奥村 雅人 氏も、分社により独立を果たした1人である。奥村氏は2021年2月に株式会社GORILLA COMPANY(以下、ゴリラ カンパニー)を設立し、キープ・ウィルダイニングの和食事業部を継承した。

EN別邸もその1店であり、ほか、居酒屋業態の「獅子丸」(海老名総本店、町田店、新百合ヶ丘店、横浜・江田店)、「黒獅子 本厚木店」「白獅子 本厚木店」「八氣 さがみの店」の計5ブランド8店舗の経営を引き継いでのスタートだった。

また、コロナ禍では感染予防として飲食店に出された要請を遵守しながら営業を続け、一時は弁当や野菜類の販売に力を入れてしのいできた。さらに、コロナ禍前のランチタイムは、さまざまなそうざいを大皿に盛ってズラリと並べたビュッフェが人気だったが、コロナ後は現在のランチ定食のスタイルに変更した。

同店が郊外の私鉄の駅から近い立地で、少しぜいたく感のある和食レストランとしてリピーターを獲得している要因は、以下のようになるだろう。

  1. 地産地消と産地直送をテーマに良質な素材を仕入れ、それらを生かした和食を提供している。
  2. テーブル席のほか、小上がり、テラス席、個室を揃え、多様な利用ができる落ち着いた空間を創り出している。
  3. コロナ禍中は弁当販売や野菜販売に力を入れてしのぎ、コロナ後は一部の提供スタイルを変えて営業している。

「居酒屋業態では元気のいい、活気ある接客を行っていますが、ここでは“黒子のような接客”、“200%の説明力”をテーマに、商品説明を工夫し、生産者の思いをお客様に伝える縁結びの役割を果たすように努めています。季節メニューなどはアルバイトスタッフによる料理説明班が料理長にその素材や料理の特徴を聞きに行き、どのように説明したらお客様にきちんと伝わるかを考えてもらい、それを全員で共有しています」と、店長の佐藤 駿 氏は日々の取り組みを語る。このような自発的な接客がお客様の好感につながり、スタッフの定着率アップにも寄与している。

また2003年1月には、ゴリラ カンパニーのオリジナル業態として、和食ビュッフェレストラン「くちかほう」を出店した。小田急線相模大野駅に隣接する小田急ホテルセンチュリー相模大野7階にあり、60坪94席の規模がある。「くちかほう」の好調さを受けて、ひとつ上の8階への出店要請があり、牛しゃぶをメインとする新店舗をオープンする準備を進めている。

今後も和食業態、神奈川・県央地区を中心としながら、ゴリラ カンパニーとして独自の歩みを進めていく考えだ。


(Text and shop photo by Food Biz, )

EN別邸 中央林間店
住所
神奈川県大和市中央林間4-5-9
TEL 046-278-6622
営業時間
11:30~15:00、16:00~23:00
定休日
無休(1月1日と、1月2日のランチは休業)
https://r.gnavi.co.jp/m83j7fmn0000/map/

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