2025/01/10 繁盛の法則

「麺 銀座おのでら 本店」(東京・表参道)フレンチの要素を取り入れた新感覚のラーメン店とは

日本の国民食の一つであるラーメンに、フレンチの要素を取り入れた「麺 銀座おのでら 本店」の新感覚ラーメンが、トレンドに敏感な層が多い表参道でファンをつかんでいる。客単価は1,500円と少々高めだが、オープン以来売上を伸ばし続けている。土・日曜日には1日300人ほどが来店するが、その半数を外国人が占めているのも特徴だ。

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繁盛の法則 3カ条

  1. フレンチのシェフとラーメン職人が独自の商品を開発
  2. トレンドに敏感な層が多い立地に出店
  3. 「銀座おのでら」のグループ店としての相乗効果を期待

「鮨 銀座おのでら」を中核にしながら「日本の国民食」に業容を拡大

高級江戸前すし店「鮨 銀座おのでら」を中核とする株式会社ONODERAフードサービスは、近年、業容を急拡大させている。回転すし店、天ぷら専門店、薪で焼く料理をメインとするフレンチ、国産うなぎ専門店などとともに、ラーメン店「麺 銀座おのでら 本店」も、その存在感を高めている。

オープンは2024年5月1日で、地下鉄表参道駅から徒歩3分ほどの場所だが、路地の突き当りといった隠れ家的な立地にある。店舗規模は12.75坪19席で、キッチンを囲むL字型のカウンターに9席、2人がけテーブル3卓、4人用個室1室を備えている。木を多用した明るい和風の店内で、落ち着きと清潔感を感じさせる。

ラーメンは、鶏をベースに取った清湯(ちんたん)スープのしょうゆ味で、あっさり、すっきりした中に深いコクを感じさせる。「銀座おのでら」ブランドならではの吟味された素材、ていねいな調理、全体のバランスの良さから、スープ麺の「ラーメン」(980円~)、「つけ麺」(1,300円~)、「まぜそば」(1,200円~)という、ラーメン店としてはやや高めの価格設定も、トレンドに敏感な層が多い表参道では顧客によく受け入れられている。

「銀座おのでら」ブランドからのラーメン店の出店、特徴ある商品の開発を担当したのは、フレンチの「薪焼 銀座おのでら」料理長の寺田 惠一 氏と、ラーメン業態で10年以上の勤務経験があり、「麺 銀座おのでら 本店」の料理長を務める大野 雄志 氏である。寺田氏は1985年埼玉生まれで、「ミシュランガイド東京」の星付きフレンチレストランや、和食店、炭火焼き店での修業を経て、2019年に「薪焼 銀座おのでら」の料理長に就任した。料理ジャンルにこだわらない独創的な薪焼き料理を提供し、「ミシュランガイド東京」では2021年版から2025年版まで連続で1つ星を獲得している。一方、大野氏は1989年神奈川生まれで、しょうゆ系のラーメンを得意とし、個人店およびチェーン店で働く中で、新店の立ち上げにも携わってきた。

「『銀座おのでら』ブランドからラーメン店を新規出店するので、来ないかという話をいただいたときは驚きましたが、ミシュランの星付き店のシェフと一緒に働ける機会はなかなかないですから、ぜひやってみたいと思いました」と、大野氏は入社のいきさつを振り返る。2024年1月に入社すると、寺田氏との二人三脚で、まさにゼロからラーメンの商品開発や店づくりをスタートさせた。

「寺田シェフとともに何十種類とラーメンを試作し、いろいろな人から意見をいただいて開発を進めました。寺田シェフのアイデアは本当にユニークですし、そこに私が加わることによって、他にはない、フレンチの要素を取り入れた新感覚のラーメンができたのではないかと思っています」と大野氏は自信のほどをのぞかせる。

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外国人客にも支持され、オープン以来売上増を継続

ラーメン3品目の中でオーダーの約7割を占める「麺 銀座おのでら 特製醤油」(1,480円)。豚肉を燻製にした燻チャーシュー、ローストした鴨チャーシュー、鶏皮を揚げて砕いたもの、ネギ、ゴロッと大きいメンマ、セロリ、煮玉子、ハーブバターをトッピングしている。中央のハーブバターは、食べ進むうちにスープの中に溶け出し、「味変」を楽しめる。また、カウンターやテーブルの下部には、席ごとに引き出しをつけ、箸やレンゲなどを収納している。衛生的であるとともに、テーブル上をスッキリさせる効果がある

スープは、長時間かけて取った鶏ベースの清湯スープ。味の決め手となるしょうゆダレは、本醸造しょうゆ、丸大豆しょうゆ、たまりじょうゆを独自にブレンドして使っている。麺は、北海道産小麦粉の「きたほなみ」を使用し、スープ麺はコシの強い低加水の細麺とし、1人前に生麺で130gを使用する。つけ麺とまぜそば用の麺は、きたほなみを使うのは同様だが、もちもちした食感を持つ多加水の中太麺とし、ともに1人前に生麺で220g、大盛は1.5倍の330gを提供する。

トッピングもユニークで、国産豚肉をナラの木で燻製にした燻チャーシュー、塩と砂糖で下味をつけた鴨肉をフライパンで焼いて余分な脂を落とし、さらにオーブンで焼き上げた鴨チャーシュー、鶏皮を揚げて砕いたもの、ゴロッと大きなメンマ、トリュフを加えたトリュフワンタンなど、一つ一つにこだわりを見せる。また、数種のハーブを練り込んだハーブバターは、食べ進むうちに溶け出し、絶妙な「味変」を楽しめる。

オーダー比率は、ラーメンが7割、つけ麺とまぜそばが各1.5割で、ラーメンの中では「麺 銀座おのでら 特製醤油」(1,480円)が7割、「麺 銀座おのでら 至高~supreme~」(2,300円)と「麺 銀座おのでら 醤油」(950円)が各1.5割となっている。客単価は1,500円で、土・日曜日には1日300人ほどが来店しており、オープン以来ずっと右肩上がりで売上を伸ばしている。また外国人客が多く、平日は約3割、土・日曜日は半分近くを占めているのも特徴である。

フレンチの要素を取り入れた独創的なラーメンで、着実に認知度を高めている要因は、以下のようになるだろう。

  1. フレンチのシェフとラーメン職人の二人三脚により、他店にはないラーメンを開発している。
  2. 表参道というトレンドに敏感な層が多い立地に出店している。
  3. 「銀座おのでら」ブランドのネームバリューを活かし、グループ店としての相乗効果を上げている。

母体である株式会社ONODERA GROUPは、グループ会社数30社を数え、グループ売上高1,309億円(2024年3月期)の規模に拡大している。飲食事業においては、「銀座から世界へ」をスローガンに、日本食を世界各国に伝えていこうと積極的に動き出しており、2024年12月現在の総店舗数は20店舗で、国内に15店舗、海外はアメリカに4店舗と中国に1店舗を出店している。

日本の国民食の一つとして着目したラーメンは、本店では商品のさらなるブラッシュアップを続けており、今後は国内および海外への出店を進める意向である。

(Text and shop photo by Food Biz,


麺 銀座おのでら 本店
住所
東京都港区北青山3-5-40 PRYME CUBE 表参道1F
TEL 03-6721-0910
営業時間
11:00~21:00
定休日
不定休(年末年始など休業日あり)


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