2025/02/05 繁盛の法則

「Fry家」(東京・高田馬場)少量多品種のフライをコースで楽しめる専門店とは

来店客の6割が外国人という、東京・高田馬場の「Fry家」(フライや)は、少量多品種のフライものをコース仕立てで提供、塩を付けて食べることを提案している。また、昨年発行された「ミシュランガイド東京2025」では、新たに加わったビブグルマン13軒の一つとして紹介されている。13.6坪16席の小ぢんまりした店舗だが、前の店がとんかつ店であったことから、地元では同じ揚げものの業態として、順調に認知を獲得できた。

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繁盛の法則 3カ条

  1. 1品ずつ揚げたてを提供するフライ専門店に挑戦
  2. 素材、揚げ方、調味料など細部まで吟味
  3. 夜はコースでゆっくり楽しむ利用を訴求

多種のフライを1品ずつ、提供する新業態を開発

天ぷら店のように、多種のフライものを揚げたてで1品ずつ出してくれる専門店はあまりないことに着目し、それならば作ってみようとオープンしたのが、東京・高田馬場の「Fry家」(フライや)である。高田馬場駅から徒歩3分ほどのビルの地階、13.6坪16席の小ぢんまりした店舗で、壁もテーブルもオフホワイトで統一され、揚げもの専門店らしからぬ清潔感を感じさせる。

オープンは2023年10月1日で、以前は人気とんかつ店「なりくら 高田馬場店」が入っていた物件である。同店が2023年2月27日に閉店したため、居抜きで使用することにした。開業後も、同じ揚げものの業態であることから、地元では比較的順調に認知されてきた。

経営は2014年4月設立の株式会社StyLe(スタイル)で、同社はグループ企業も含めると約30ブランド80店舗の飲食店を宮城、東京、千葉、埼玉、神奈川、静岡、山梨、福岡、鹿児島で直営およびフランチャイズで展開している。Fry家は新業態として、石川 瑛祐 社長、料理長を務める西山 道泰 氏らが素材選び、揚げ方、調味料、器使いまで、検討を重ねて作り上げた。

ランチタイムは「選べるミックスフライ定食」(3品2,400円、4品2,900円、5品3,400円)をメインに打ち出しながら、「特別メンチかつ定食」(1,600円)、「ミックス定食」(A、B各1,900円)といった、ランチ限定の1,000円台の定食も用意している。

また、少量多品種のフライより、しっかりととんかつを食べたいというニーズに合わせ、「ロースかつ定食」(ロース150g、2,600円)、「ヒレかつ定食」(一口ヒレかつ7個、2,600円)、「リブロースかつ定食」(リブロース250g、3,000円)も提供している。

定食にはサラダ、岩手産ひとめぼれを使ったご飯(普通盛りで約180g)、豚汁、漬けものが付く。サラダには自家製トリュフドレッシングが添えられ、漬けものは店内で漬けているダイコン、ニンジン、キュウリのぬか漬けを提供する。昼の客単価は2,000円強で、平日は平均30人、土・日曜日は40~50人が来店している。混雑時は利用時間40分制に協力してもらっている。

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それぞれの素材に合わせた、最良の揚げ方を徹底

サクサクで甘みのある衣と、柔らかくジューシーな具材の味わいを楽しめる。手前左が「極みのささみフライ」(600円)、手前右が「アジフライドック」(800円)、奥左が「特別メンチ」(500円)、奥右が「ロース」(750円)。価格はいずれも、夜のコース料理の追加単品メニューとしての設定。肉類は銘柄鶏、銘柄豚を使用しているが、信頼できる東京・墨田区の精肉卸業者に一任し、数週間熟成させてうま味や柔らかさが増した、その時々で一番状態のいいものを納入してもらっている

独特の少量多品種の揚げたてのフライをじっくり楽しんでもらうために設定しているのが、夜のコースである。一番よく出ているのが「B」(8,000円)で、ササミ、ロース、ヒレ、アジのほか、その日の野菜や魚介類のフライが加わり、サラダ、ご飯、デザートも付く。「C」(4,000円)は、ササミ、ロース、ヒレ、メンチ、野菜や魚介のフライなどベーシックなアイテムをそろえたもので、追加で単品のフライやご飯、デザートなどを組み合わせて完成させる。さらに、アワビ、車エビ、和牛といった高級食材を加えた「A」(12,000円)を新設し、2024年12月から提供を開始した。

夜の予約は、1品ずつ提供するため2時間ほどかかるコースのみ受け付けている。単品はあくまでコースへの追加メニューであり、アラカルトとしての注文はできない。ただし、夜も席が空いていれば、2,000円台以上の定食類での利用も可能である。夜の客単価は6,000円で、平日は10~15人、週末は20人ほどが訪れている。

少量多品種のフライの一つ一つを最良の状態で提供するには、細心の注意が必要とされる。2槽のフライヤーを装備し、ラード主体で140℃の油で肉類を揚げ、ゴマ油主体で160℃の油で魚介類や野菜類を揚げる。揚げ時間、揚げた後の寝かし時間も細かく設定し、16個のタイマーを駆使して管理している。

またパン粉も2種を使い、肉類には粗めのもの、魚介類や野菜類は細かめのものと使い分けている。いずれも糖度の高い高級生パン粉を選んでおり、衣までおいしいフライとなるように工夫している。

この甘めの衣との相性から、おすすめの食べ方として塩味を勧めており、昼はご飯とよく合うピンク色の岩塩を、夜はアルコール類とともに食べ進められるように沖縄産のサラサラした塩を添えている。もちろん、ウスターソースやとんかつソースも用意しており、好みで選べるようになっている。

同店が少量多品種のフライものをコース仕立てで提供する専門店として、認知度を上げている要因は以下のようになるだろう。

  1. 天ぷら店のように、1品ずつ揚げたてを提供するフライもの専門店という業態に挑戦している。
  2. 素材選びから揚げ方、調味料など、細部にまでこだわったフライを提供している。
  3. 夜はコースをメインに打ち出し、じっくり楽しんでもらう利用法を訴求している。

主な客層は30~60代で、男女比はほぼ半々だが、昨秋から特に増えているのが海外からの観光客である。「ミシュランガイド東京2025」の英語版に掲載されたことから、外国人客が約6割を占めるようになっている。

「多品目のフライものを提供するのは、パン粉付けだけをとっても、普通のとんかつ店の5~6倍の手間がかかり、毎朝の仕込み作業も大変です。このフライもの専門店という業態は、海外からのお客様にも人気があるので、今後もいろいろな展開ができるのではないかと思います」と、浅田 大介 取締役副社長は述べている。

(Text and shop photo by Food Biz,


Fry家
住所
東京都新宿区高田馬場1-32-11 小澤ビル B1F
TEL 03-3200-0565
営業時間
11:00 ~ 14:30(LO. 14:00)、17:30~21:30(LO. 21:00)
定休日
不定休(年末年始など休業日あり)
https://fryya-tokyo.com/


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