繁盛の法則 3カ条
- うどん業界での革命を目指して参入
- 有名店での修業後、試行錯誤して圧力鍋製法を開発
- 顧客の反応を見ながら軌道修正を図る
脱サラからの起業に際し、多様な可能性を持つうどんに着目
圧力鍋を使ってうどんを茹でるという独特の製法を考案し、もちもちした食感が際立つうどんでファンを増やしているのが、「功刀屋(くぬぎや) 新宿御苑店」である。
地下鉄新宿御苑前駅3番出口からすぐ、新宿通り沿いにある13坪16席の店舗で、店頭の食券機で食券を購入して入店する。最近では11時のオープン前からウエイティングができるほどで、平日は1日平均200人、週末には250人ほどが来店している。
店内で毎日製麺するオリジナルのうどんは、3種の小麦粉をブレンドし、通常の茹で釜より高温になる圧力鍋製法に耐えるように極太麺に仕上げている。同時に、この太さにより麺の中心部から表面にかけての食感の違いも楽しむことができる。
独特の力強いうどんに合わせるつゆは、北海道の日高昆布を中心に、瀬戸内海産のサバ節、ウルメ節を加えて取っただしに、かえしを合わせ、提供直前に自家製ネギ油を1滴加えてコクをプラスしている。これは、武蔵野うどんの代表的なメニューである肉汁うどんをヒントに、つゆに油を加えることで麺とのバランスをとったものだ。
圧倒的な人気商品である「明太子クリームうどん」(980円)は、うどんと濃厚なクリームソースとの相性の良さに加え、多様な風味や食感をもつトッピングにより食べ飽きないような工夫をしていることで支持されている。牛バラ肉をすき焼き風に煮てご飯の上にのせた「黒毛和牛ご飯」(590円)と合わせれば、ボリューム感もたっぷりだ。
暖かい季節になると、冷たいうどんの「ぶっかけ」が主流となり、中でも「天婦羅ぶっかけうどん&黒毛和牛ご飯」(1,690円)や「天婦羅ぶっかけうどん」(1,100円)の単品にオーダーがシフトしていく。客単価は1,150円で、平均月商500万円を上げている。
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今後は大型商業施設内での多店舗展開を狙う
経営者である株式会社功刀屋代表取締役社長の功刀(くぬぎ) 直人 氏は、1976年静岡生まれで、以前は広告代理店の営業担当として18年間勤務していた。その中で、会社やクライアントの指示を受けて働くより、自身が経営者になりたいと思うようになった。
では何ができるかと考えた際に、着目したのがうどんだった。サラリーマン時代からラーメン好きで、全国の有名ラーメン店を食べ歩いてはブログに書き込んでいた功刀氏は、ある時ふと、うどんの有名店も食べ歩いてみようと思い立ち、何店舗か訪ねてみた。
すると、ほとんどのうどん店でアピールしているのは「打ちたて、切りたて、茹でたて」という、いわゆる「三たて」であり、昨今のラーメンの多様性と比べると、うどんはかなり保守的なのではないかと実感したのがきっかけだった。
「うどん業界で何か革命的なことをやれば、私のような後発組でも何とかなるのではないかという思いが出てきたのです。同時に、うどんは子供から年配者まで食べられますし、これからさらに進む高齢化社会でも、海外でも通用する可能性が高い。それならば逆に最先端かもしれないと考え、うどんでやっていこうと決めたのです」と功刀社長は説明する。
そこで2012年に広告代理店を辞すると、まず2年間、タイプの異なるうどんの繁盛店4店舗で修業した。その後の半年ほどは、それまで学んできた製麺法をいったん白紙に戻し、いろいろな製法を試す期間とした。
「既成概念にとらわれずに、やみくもにいろいろな方法を試しました。生地に牛乳を入れてみたり、炊飯器や電子ジャーを使ってみたり、いったん揚げてから茹でてみるなど、まさに試行錯誤を繰り返しました。その中で、パスタを圧力鍋で茹でるともちもちした食感になるという話をどこかで見て、うどんでもやってみたら結構うまくできたのですね。これはおいしいと思い、そこから圧力鍋で茹でるという製法を突き詰めていきました」と、功刀社長は独自の圧力鍋製法にたどり着いた経緯を語る。
まず2017年6月に、東京・品川区の東急線旗の台駅から徒歩3分ほどの商店街に出店を果たした。自信を持っての創業だったが、当初は商店街でのニーズや付近の住宅街に住む高齢者層の嗜好とのギャップに直面した。
2020年にメニュー構成を一新し、お客様の要望を聞きながら軌道修正を図り、徐々に地元の人気店となっていった。新宿御苑店は2022年2月のオープンで、コロナ禍により撤退したカレー店の居抜き物件を使っての出店だったが、やはり当初は客数の少なさに悩まされた。
コロナ禍が収束して人流が戻るにつれ、うどんに惹かれる顧客も増えていった。2024年春頃には旗の台店をしのぐまでになってきたため、旗の台店は2024年11月末に閉店し、周辺人口も店前の流動人口も大きい新宿御苑店に集中する体制とした。
同店が圧力鍋で茹でる独特の食感のうどんで顧客を増やしている要因は、以下のようになるだろう。
- うどん業界に革命を起こしたいという高い志で参入している。
- 有名うどん店での修業の後、独自に試行錯誤を重ね、圧力鍋製法を開発している。
- 顧客の反応を見ながら軌道修正を図り、多様な客層に支持される商品構成としている。
功刀社長の下には、ここのところ大型商業施設からの出店要請が次々と届いている。数年後には実現する見込みであり、その後は小商圏での路面店より、大きな集客力を持つ商業施設内での多店舗展開を進めたい、という考えだ。そのためには、商品もオペレーションもブレない仕組みの確立が重要であり、功刀社長は現在、その仕組みづくりに真摯(しんし)に取り組んでいる。
(Text and shop photo by Food Biz, )
住所
東京都新宿区新宿1-7-2 コープ新宿御苑103
TEL 03-5919-2328
営業時間
11:00 ~ 19:30
定休日
無休(年末年始など休業日あり)
https://www.instagram.com/kunugiya/
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