2025/09/04 繁盛の法則

伝説のスパゲッティ「ハシヤ」の味を継承! 東京・九段下に誕生した新星「SPAGHETTI SHŪ」の挑戦

“和風スパゲッティ”の名店として知られた「ハシヤ」。その味を忠実に受け継ぐ「SPAGHETTI SHŪ」が、東京・九段下にオープン。27年間ハシヤ一筋で修業を積んだオーナーが、多くのファンを魅了した味をそのまま再現。昼はビジネスランチ、夜はクラフトビールとスパゲッティを楽しむ客層を集客。わずか10坪に8席と小規模ながら、長年愛された味と清潔感あふれる空間で、早くも多くの常連客の心をつかんで好調に推移している。

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繁盛の法則 3カ条

  1. ハシヤ一筋での修業を基にした商品を提供
  2. 卓上調味料での「味変」に個性をプラス
  3. 新築ビルの1階に清潔感ある店舗を創出

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大学時代のアルバイトから始まり、27年間の勤務を経験

東京・九段下に2024年4月8日にオープンした「SPAGHETTI SHŪ(スパゲッティ シュウ)」は、60品目以上のアイテムをそろえたスパゲッティ専門店である。看板等に小さく「BY HASHIYA (バイ ハシヤ)」と入れているのは、都心に最多で3店舗あった和風スパゲッティの人気店「ハシヤ」の流れをくむことを示唆している。ハシヤでは、しょうゆ味や、タラコ、ウニ、納豆、キムチなどを使った独特の商品を打ち出し、多くのファンをつかんでいた。

「SPAGHETTI SHŪ」のオーナーは渡辺 裕司 氏、いくさん夫妻で、渡辺氏は1997年から2023年12月までの27年間、ハシヤで働いていた経歴をもつ。1974年東京・本郷生まれの渡辺氏は、23歳だった大学在学中に「ハシヤ赤坂店」で食べたスパゲッティのおいしさに感動した。アルバイト募集という貼り紙を見てすぐに働き始め、大学卒業とともに24歳で入社し、以降は赤坂店のほか代々木八幡本店、新宿野村ビル店の3店舗を適宜異動しながら修業を積んだ。

渡辺氏はコロナ禍が落ち着いてきた2023年始めに独立開業する意向を固め、同年末まででハシヤを退職することにした。なお、最後まで営業していたハシヤ新宿野村ビル店は、2024年7月に経営者および店名が変わった。

本格的に物件を探し始めた渡辺氏は、自転車で数十件を見て回り、2023年12月に新築ビルの1階、8.2坪のスペースの現物件を契約した。ハシヤの代々木八幡本店の施工業者と面識があった渡辺氏は、本店をモチーフに、白壁と自然な木の温もりを生かした店舗にしたいと、その業者に施工を依頼した。オープンキッチンを囲むL字型のカウンターに8席を配した、明るく、清潔感のある店舗が出来上がった。

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昼はビジネスランチに徹し、夜はクラフトビールで差別化

不動の人気商品の一つで、“特製おしょう油味”の「ミックスのスパゲッティ」(1,650円)。アサリ、エビ、シメジ、シイタケ、ベーコン、ソーセージ、タマネギ、トマト、ピーマンがのる具だくさんの一品。スパゲッティは、オーダーごとに40リットル容量の特注のそば釜を使い、9分強で茹で上げる。“特製しょう油”は、みりんや日本酒などを加えて調整したもの。具材を炒めるときには、香りの強いオリーブ油ではなく、クセの少ないサラダ油を使用している。全体のバランスを取りながら、一つ一つの商品を独自の味わいに仕上げているのが、ハシヤ系スパゲッティの特徴となっている

長年の勤務中にハシヤの商品はどれを食べてもおいしいと思い、全商品の作り方を習得していた渡辺氏は、独立後もハシヤで学んだ通りのレシピを踏襲している。

「使用するスパゲッティは太さ1.7ミリのバリラNo.5ですし、ソース類も、使用している調理器具も、三つ折りのメニュー表とその字体も、すべてハシヤと同じです。ハシヤ出身で、独立してスパゲッティ専門店を経営している先輩は何人かいますが、独立後は自分なりのオリジナリティを加えている人がほとんどです。『BY HASHIYA』と名乗っている中では、私が一番年下になりますが、私はハシヤの味をそっくりそのまま、お客様に食べていただきたいという気持ちです」と渡辺氏は語る。

メニュー表に記入しきれていない追加トッピングの組み合わせなどを含めると、100種類以上の商品が提供可能である。その中で不動の人気商品といえば、バターであえた「タラコとウニとイカのスパゲッティ」(1,650円)、しょうゆ味で具だくさんの「ミックスのスパゲッティ」(1,650円)などがある。

また、いくさんがInstagramでの発信を担当し、商品選びの目安になるように月間の「人気ランキング」を毎月発表したり、文字だけのメニュー表からは想像しにくい商品の写真を掲載するなど、情報提供に努めている。さらに、卓上にはお客様が好みで使える調味料を用意しているが、塩、コショウ、粉トウガラシ、チリソース、乾燥バジルなどのほか、いくさんのアイデアでユカリ、サンショウ、酢も加えた。

「スパゲッティはハシヤの味そのままですけれど、トッピングや卓上調味料は多少変わってきてもいいかなと思います。実際に、特に女性のお客様がユカリやサンショウで“味変”を楽しまれているのを見ると、置いて良かったなと思います」と渡辺氏は笑顔を見せる。

オープン後は事前に希望した通り、昼は周辺に勤務するビジネスマンやOLを中心に集客し、夜は近隣の住民が家族連れで来店することも多い。さらに、渡辺氏の実家の酒販店から仕入れるクラフトビールでも差別化を図っている。客単価は昼1,500円、夜1,700円で、昼は平均4~5回転、夜は平均2回転しており、お客様の男女比はほぼ半々となっている。

同店が夫妻で営むスパゲッティ専門店として、順調に軌道にのせてきた要因は、以下のようになるだろう。

  1. かつての人気店ハシヤでの修業を基に、ハシヤの味そのもののスパゲッティを提供している。
  2. 卓上調味料には個性をプラスし、「味変」を楽しむお客様に喜ばれている。
  3. 妥協せずに物件を探し、新築ビルの1階に清潔感のある店舗を創り出している。

「1人でも多くの方にハシヤのスパゲッティの味を楽しんでいただきたいです。2人で切り盛りしながら、自分たちが働けなくなるまでこの店をやっていくつもりです」と真摯(しんし)に語る渡辺氏。そのためにも、2人とも健康管理に一番気を付けているという。

(Text and shop photo by Food Biz,


SPAGHETTI SHŪ
住所
千代田区飯田橋2-1-6 レクロシェット 1F
営業時間
11:00~15:30 (LO. 15:00)、18:00~21:00 (LO. 20:30)
土曜日 11:00~15:30(LO. 15:00)
日曜日・祝日 11:00~20:30(LO. 19:45)
定休日
日曜日・祝日
https://r.gnavi.co.jp/8jzvmd090000/



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