2025/11/06 特集

「カラオケ館」の新たな集客戦略!カフェ業態開発&グランピング事業でも成長を期す

全国各地に「カラオケ館」を展開する株式会社B&Vは、コロナ禍で大きな打撃を受けたカラオケ業界の中で、さまざまな集客の施策やカフェ業態の開発、さらにはグランピング事業への参入など、新たな分野への挑戦によって活路を見出してきた。従来のカラオケ事業の枠を超えた大胆な取り組みに挑戦し続けている。

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新業態でさらなる活路を切り拓くカラオケ館の成長戦略

ビリヤード・ビデオ事業で1983年に創業し、カラオケ業界大手の「カラオケ館」を全国展開する株式会社B&V。コロナ禍ではかつてない危機に直面したが、従来のカラオケ事業の枠を超えた施策を展開。「タイム珈琲店」や「KKラウンジ」などの別業態の開発や強化、グランピング事業への参入など多岐に渡る取り組みを実施し、売上は回復基調に。将来的にはAIやデジタル技術を活用した次世代店舗も構想している。

前職時代から35年にわたりB&Vとの深い関係を築いてきた専務執行役員の大沼 淳 氏に、これまでの歩みや激変する市場環境への対応策、エンターテインメント企業としての今後の展望について詳しく話を聞いた。

専務執行役員・大沼 淳 氏/サントリーグループに42年間勤務し、近畿中四国ペプシコーラ販売社長、サントリーコーポレートビジネス取締役などを歴任。1990年、サントリーの営業課長時代に「カラオケ館 赤羽店」への営業をきっかけに株式会社B&Vと接点を持ち、以降長年にわたる深いビジネス関係を築く。2017年4月の定年退職後、B&Vに入社

目次
繁華街の一棟建て戦略で店舗を拡大
コロナ禍が「カラオケ館」の可能性を広げるきっかけに
セルフ式の時間制カフェ「タイム珈琲店」を出店
グランピング事業参入&「カラオケ館」とのシナジー創出へ

繁華街の一棟建て戦略で店舗を拡大

――これまでの「カラオケ館」の歩みについて簡単に教えてください。

「カラオケ館」は家賃と駅近の条件が合致すれば出店する柔軟な方針。近年はプロジェクタールームやテレワークプランなど多彩なニーズに合わせた店舗を展開

当社はもともとビリヤードとビデオ事業から始まり、社名のB&VもビリヤードのB、ビデオのVに由来しています。その後、社長の先見の明でカラオケ事業に転換しました。1990年代初頭、空き地にコンテナを設置するカラオケ店が多かったのですが、当社は首都圏のビルに店舗を広げていきました。

転機となったのは、渋谷の井の頭通りの一等地にあった「カラオケ館 渋谷店」が大当たりしたことです。当時はトレンディードラマブームとカラオケブームが融合した時代で、「ヒット曲をみんなで歌いたい」という需要とマッチしたのです。シティーホテルをイメージした清潔感のある店舗デザインと、駅近の一等地という差別化戦略が功を奏しました。これが全国展開への確信につながり、「カラオケ館」は現在に至るまで「繁華街の一棟建て戦略」を続けています。

コロナ禍が「カラオケ館」の可能性を広げるきっかけに

――好調な中でコロナ禍が発生し、どのような対策を取ったのでしょうか。

コロナ禍で苦境に陥る中、「さまざまな形でカラオケボックスを使ってもらえるような集客施策に力を入れました」と語る大沼氏。コロナ禍が「カラオケ館」の新たな可能性を追求するきっかけになったという

「カラオケ館」では新幹線並みの換気システムを採用し、マイクなどの消毒も徹底して万全の感染対策を講じていました。しかし、「カラオケは“密”」というイメージが先行したこともあり、コロナ禍で大幅に売上が減少。特にビジネス層の2軒目需要が激減する厳しい状況が続きました。

緊急事態宣言では営業停止や時短営業を余儀なくされましたが、繁華街の一等地にある「カラオケ館」は、緊急事態宣言が解除されるとお客様が戻ってきて、ほとんどの店舗は閉店せずに乗り切ることができました。ただ、郊外にあるファミリーがメインの店舗は、外出自粛の影響をより強く受け、閉店せざるをえない店も少なくありませんでした。

こうした状況下で、さまざまな形でカラオケボックスを使ってもらえるような集客施策に取り組みました。テレワーク需要に対応したテレワークプラン、店内で飲食していただけるような低価格でのフード・ドリンクの提供、学生をターゲットにした低価格長時間プラン「カラ館ゼロ」「カラ館ロング」など、多様な利用シーンを想定したプランや設備を導入。コロナ禍明けには、旅行会社と提携したインバウンド向けプランや、観光客向けのスーツケースの保管サービスが好調です。近いうちにコロナ禍前までの水準まで業績が回復するのではないかと見込んでいます。

セルフ式の時間制カフェ「タイム珈琲店」を出店

――2024年、カフェの新業態を出店されましたね。

国際線の空港ラウンジをイメージした「タイム珈琲店」。喫煙可、30分単位の料金システムでビジネス層の憩いの場としても支持を獲得
タイム珈琲店のメニュー

当社は全国に自社ビルを多く所有しており、空きスペースを活用して新業態にトライできるという強みがあります。そのうちの一つが、銀座のビルに2024年5月にオープンしたセルフ式の時間制カフェ「タイム珈琲店」です。喫煙可でドリンク飲み放題、仕事の打ち合わせもできる空間でビジネス層を取り込むことが狙いでしたが、実際にビジネス層の男性から支持を得て売上も好調に推移しています。

新宿・歌舞伎町のビルでは、近年の若者のトレンドを捉えて、フランチャイズのボードゲームカフェ「JELLY JELLY CAFE新宿歌舞伎町店」を2025年7月にオープン。400種類超のボードゲームをそろえ、グループで楽しむ新しいアミューズメント空間として学生さんを中心に好評です。

これらの新業態は、売上を見ながら条件が合えば幅広く各地で展開していきたいと考えています。

「カラオケ館」の空きスペースを活用したネットカフェ「KKラウンジ」。満員で入れない客も取り込めるビジネスモデルを確立

グランピング事業参入&「カラオケ館」とのシナジー創出へ

――今後の会社としての展望をどう見ていますか。

当社の社是は「笑顔と元気」。エンターテインメント事業の会社として、お客様に夢や体験を提供でき、喜んでいただける店舗づくりに今後も注力していきます。同時に、AIやデジタルを積極的に取り入れてDX化した「カラオケ館」のデジタル店舗など、今の時代に即した体制づくりを進めていきます。

2023年8月オープンの「グランピングB&V 那須高原」(写真左)。エリア初の全棟プライベート温泉・サウナ・焚き火付きグランピング施設として人気に。2025年12月には「グランピングB&V 富士山河口湖」(同右)をオープンする

また、現在はグランピング事業にも重心を置いています。コロナ禍で屋外レジャーが注目される中、那須の国立公園内に約6,000坪の土地を確保。全12棟の「グランピングB&V 那須高原」をオープンして大成功を収めました。サウナやドッグランも完備した本格的な施設です。2025年12月には富士山麓に全22棟のプール付き施設をオープンする予定です。

今後もこうした多角的な事業と主軸事業の「カラオケ館」とのシナジーを意識しながら、カラオケ事業のポテンシャルを追求していきたいと考えています。

■会社情報
社名:株式会社B&V
創業:1983年12月1日
設立:2010年4月
代表取締役:渡部 記春 氏
事業内容:カラオケ事業、ネットカフェ事業、ダイソー事業、グランピング事業など

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