繁盛の法則 3カ条
- 土鍋で炊き上げるご飯を大盛りもお代わりも無料で提供
- 家庭的な料理を主菜とする定食を手ごろな価格で販売
- 多店舗展開を念頭に創業し、着実な成長を目指す
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自社製造の干物とふっくらご飯で、右肩上がりの客数、売上を伸ばしている定食店
「魚恵」(東京・町田)自社製造の干物を主力とする水産会社直営の定食店とは
コロナ禍後の情勢を考慮し、家庭料理をメインとする定食に着目
店名からもパッとわかるように「土鍋炊きご飯 おこめとおかず」は、土鍋で炊き上げるご飯と手作りのおかずを組み合わせた定食店である。
1号店は東京・銀座2丁目のビルの地階に2022年10月19日にオープンし、27坪40席の規模で月間約6,000人が来店している。早くも2号店の東銀座店を2025年7月17日に出店しており、地下鉄東銀座駅から徒歩2分ほどのビルの2階、30坪49席の店舗で月間約4,000人を誘引している。
経営元は2024年3月設立のChest Nut Field株式会社で、代表取締役の栗原 健太郎 氏は、以前は東京・六本木の東京ミッドタウンの斜め前という一等地で、鉄板焼きと豊富な酒類で人気のあった「産直鉄板 くり」を11年間経営していた。
しかしながら、2020年からのコロナ禍による打撃は大きく、客数9割減という厳しさを経験し、2021年1月30日に営業を終了した。周辺の企業が次々とリモートワークを導入し、若年層のアルコール離れも進む中、栗原氏はコロナ禍が収束しても、酒類への需要は元には戻らないのではないかと考えた。また1店舗で、栗原氏自身の魅力で集客するスタイルでは、売上に上限があることも実感していた。
「私が店内にいようがいまいが、お店の立地と価格とオペレーションでお客様が来てくれるお店をブランディングしたいと思ったのです。それには何がいいかと考え、お酒に頼る業態よりも、ご飯と普通の家庭料理の定食を1,000円ほどで食べられるお店はどうかと思いつきました。肉じゃがやサバのみそ煮などの家庭料理を、1人暮らしの若者が一から作るとなると、時間も手間もかかりますし、実際にだんだんしなくなってきています。そこで、炊きたてご飯と、具だくさんのみそ汁、おかずがそろった定食店であれば、日本人なら週に1~2回は食べたくなるのではないかと考えたのです」と栗原氏は説明する。
そこでまず、オペレーションを学ぶために定食店で3カ月ほど修業させてもらうことにした。その修業先で導入していたのが、土鍋炊きのご飯だった。保温性のいい土鍋であれば、浸漬しておいたお米と水を入れて強火にかけ、沸騰したら火を止めて15分ほど蒸らせばおいしく炊き上がる。この土鍋での炊飯方法が、30分後の客数を予測してこまめに炊き、常に炊きたてのご飯を提供する現在のスタイルの基本となっている。
しかも、この土鍋で炊いたご飯はオープン時から大盛り無料、何杯お代わりしても無料とした。その後の米価格高騰の中でも変更せずに踏襲していることが、お客様の信頼にもつながっている。
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自身の最後のチャンスと考え、銀座での1号店出店を敢行
栗原氏は1979年、東京・月島生まれで、蔵前工業高校から日本デザイナー学院に進み、もとは建築士を目指していた。高校時代に釜飯とやきとりのお店でアルバイトを始めたことから飲食業に興味を持ち、当初はホール担当だったが、調理も手がけるようになった。専門学校修了後は飲食企業に就職し、バーテンダーや鉄板焼き店を経験した。
コロナ禍を機に新たに定食店を立ち上げることにした栗原氏は、当初から多店舗展開を念頭に置いた。1号店の出店場所は、今後の主要客層を探る意味も含め、多様な層が行き交う銀座、有楽町、東京駅周辺などの一等立地を狙った。また客単価は1,000円台になることから、30席以上ないと利益が出にくいと概算した。さらに女性が抵抗なく利用できる定食店にするため、外からも客席が見えるような路面店ではなく、専用階段で入店できる地下1階、もしくは2階の物件を探した。
折しもコロナ禍により人通りが激減していた銀座に、大手居酒屋チェーンが撤退した地下1階、40席の居抜き物件が出たことから、一か八かで出店に踏み切った。この定食店が受け入れられなかったら数カ月で撤退する覚悟を決め、また40代になっていた栗原氏には、自身の最後のチャンスだという思いもあった。
1号店はオープンキッチンで、カウンター席の目の前で調理し、土鍋でご飯を炊き上げるライブ感や活気も魅力となっている。また、午後のアイドルタイムも休憩時間を設けずに通し営業し、定食類は終日提供している。2号店もメニュー構成、営業スタイルは1号店と同様だが、元はイタリア料理店だった物件の構造から、厨房は奥まった場所に配している。
「唐揚げ定食」(1,045円)、「豚の生姜焼き定食」(1,210円)、「肉じゃが定食」(1,100円)などの定番商品に、本日のおすすめメニューが加わり、17時からは「夜のお刺身定食」(1,980円)などの夜専用定食や、おつまみ各種を提供している。客単価は17時までが1,200円、17時以降が1,500円で、客層は幅広く、狙い通り女性が多く、約6割を占めている。
同店が家庭的な料理を定食として提供し、銀座という一等立地で支持されている要因は、以下のようになるだろう。
- 土鍋で炊き上げるご飯を大盛り、お代わり無料で提供している
- 家庭的な料理を主菜とする定食を1,000円台の手ごろな価格で販売している
- 多店舗展開を念頭に創業し、着実な成長を目指している
直近では2店舗で月商1,500万円を上げているが、2026年は年商2億円を目標に置く。また、比較的近距離に3店舗めを出店して基盤を固めたら、興味のある街への出店や、フランチャイズ展開も検討していく考えだ。
「最低でも10店舗、年商10億円を上げたいと思って始めた業態です。また日本食はすばらしい文化なので、この業態を海外に持っていけたらおもしろいのではないかと思います。まずは一歩一歩、歩みは遅いかもしれないですが、日々お客様においしいといってもらえる商品を出し続けるしかないと思っています」と、栗原氏は真摯(しんし)に語っている。
(Text and shop photo by Food Biz, )
住所
東京都中央区銀座4-14-15 サントル銀座四丁目 201号
営業時間
11:30~23:30(LO. 22:30)
日曜日・祝日11:30~22:00(LO.21:30)
定休日
無休
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