CASE2持ち帰り可能にして、店を思い出すきっかけに
【福岡・南福岡駅】竹丘町 海晴れ
価格の値上げに合わせて、全体に高級感を打ち出す
2012年7月のリニューアルを機に、居酒屋業態からより鮮魚と寿司を売りにした店へ一新した「竹丘町 海晴れ」。心が晴れるおもてなしをコンセプトに、地域密着の店を目指して、店名に地域名も冠した。現在、特に力を入れている企業の宴会では、予約をしてくれた会社のロゴや理念などを、敷紙に印刷するサービスを実施。事業部マネージャーの神尾秀和氏は、「当日までお客様もご存知ないので、とても驚き、喜んでもらえます。宴会のリピートにもつながりました」と語る。
リニューアルと同時に変えたのは、メニューブックだ。「お客様の生活の中に入り込みたい」(神尾氏)と、自宅や会社で店のことを思い出すきっかけとなるよう、持ち帰り可能なメニューブックを導入。裏表紙には来店ごとにシールを貼る、ポイントカード機能も設けた。「ポイントを貯めるスペースは、すぐに捨てられないために考えたアイデア。シールも時節ごとに絵柄を変え、これを見れば来店頻度が確認できます」と、神尾氏は胸を張る。
メニューブックの制作は社内のデザイン部が担当。春夏版と秋冬版の年2回、各4000部ほど印刷する。当初は、見た目のワクワク感を打ち出そうと写真を多用。料理は、カテゴリーごとに屋号をつける遊び心でアピールしていたが、昨年10月に完成した最新版からは、スタイルも内容も大きく変更。持ち帰り可能はそのままに、厚みのある上質の紙を使い、白を基調にしたデザインに。屋号は取りやめ、写真を掲載するメニューも、数点に絞り込んだ。変更の大きな理由は、同時に行ったメニュー価格の値上げだ。「料理のクオリティとともに価格を上げ、それに伴い、それまで使っていたメニューブックよりも、高級感があるものに変えました」と、神尾氏は話す。
3つ折りの最新版は、表紙でコース料理を紹介。中を開くと、まず目がいく左上に売りの刺身、その下に寿司を掲載している。刺身は、「板さんおまかせ七種」(1人前1058円※2人前より)、「選べる刺身 三品盛」(2160円)、「選べる刺身 五品盛」(3240円)の3種に絞り、わかりやすさを強調。自社に水産部門があるため、毎日豊富に仕入れる鮮魚は、グランドメニューとは別に、日替わりのおすすめに集約する。「その日の魚を楽しんでもらえるよう、接客の際におすすめのシートで案内しています」と、副店長の廣瀬実氏。また、魚を前面に打ち出してからは、それに合う日本酒の注文も増えたため、おすすめシートの裏面には、日本酒を中心にドリンクメニューを掲載。そのほか、コース料理のみを掲載したメニューブックも作り、こちらはポスティングにも使用している。
「高級感を持たせたことで、商品の値上げについてもすんなり受け入れていただけました」と話す神尾氏。また、持ち帰りの意外なメリットとして、電話での予約時に注文する料理が先に確定し、当日のオペレーションがスムーズになることもあるという。さらに、来店した人が友人や同僚にメニューブックを渡し、新規客の獲得にもつながっている。メニューブックというツールの大切さを実感する毎日だ。