CASE3おいしく食べるための「食べ方指南書」を接客時の説明でも活用!
【大阪・天王寺】やきにく 萬野 本店
「肉のプロ」としての知識と想いを伝える構成
食肉卸業などを営む株式会社萬野屋が運営する「やきにく萬野本店」。JR大阪環状線の高架下にあり、周辺の地元住民や天王寺などで働くビジネス層を中心に愛されている。同店のコンセプトは「本当においしいお肉の味や食べ方を伝え、お客様のお腹と心を満たす食事を提供すること」。現在のメニューブックにも、この想いが随所に表現されている。同店は昨年10月、牛肉の高騰を受けて価格を変更。また、盛り合わせメニューの数を増やすのに伴い、メニューブックをリニューアルした。その際、ABC分析を行い、追加や削除するメニューを検討。人気が高かった「盛り合わせ」などのメニューは、以前より写真を大きく使って目立たせるほか、各ページの内容がわかるインデックスタブを作った。
そんな同店のメニューブックで目を引く工夫が「食べ方指南書」。店がおすすめする食べ方をはじめ、焼き時間や焼き方などを掲載しており、ここに書いてある内容を接客時に説明することでより関心を引き、オーダーにもつながっているという。ホール主任の萬野敏輝氏は「例えば『赤身』のページに掲載している『食べ方指南書』では、味付けせずに焼く『素焼き』と『塩焼き』『たれ焼き』という3つの焼き方について紹介しています。当店では、肉ごとに焼き方を選んでいただいているので、ファーストドリンク提供後に3つの焼き方についてメユーブックを見せながら説明をするようにしています」と話す。「素焼き」した肉をオリジナルのだし醤油で食べるのがいちばんのおすすめだが、「塩焼き」や「たれ焼き」が合う部位もあるので、オーダーのたびに来店客の好みを聞いたり、各スタッフのおすすめの焼き方を伝えて、よりおいしく食べてもらえるように工夫している。
一方、メニューブックの構成やレイアウトにも、食肉卸業を基盤とする同店ならではのこだわりが感じられる。表紙を開いた最初のページには「萬野和牛」の言葉とともに、同店で扱う肉のコンセプトを提示。「未経産牛で30カ月以上の長期飼育をしたもの」など、牛肉へのこだわりをアピールしている。次の見開きでは、店が「もっとも食べてほしい」と考えている「盛り合わせ」メニューを掲載。その後、人気が高い「赤身」「塊焼き/焼しゃぶ」のページへと続く。「赤身」を目に止まりやすい前半に掲載しているのは、写真の色鮮やかさとインパクトで期待感を高める狙いもある。
また、「ホルモン」のページには豊富な種類が伝わるよう、各部位を写真と文章で紹介。「日替わりホルモン盛り合わせ」(45g×4種/1000円)には“お得です”の表示を付け、コストパフォーマンスの高さをアピールし、高い注文率を誇っている。「お客様にお得感を感じてもらえると自信を持っているので、お得マークをつけました」と萬野氏は笑顔を見せる。
そのほか、紙や黒板にその日のおすすめ部位などを書いており、こちらも接客時に会話のなかでお得感をアピールし、オーダー数をアップ。牛肉の知識を凝縮した「牛図鑑」も制作するなど、こだわりを伝える取り組みで多くのファンを生んでいる。