食事はシメから逆算してもらい、日本酒は興味を抱く入り口に!
【神奈川・横浜】酒とったり
「和」のテイストでスッキリしたデザイン
横浜駅西口、地下鉄の出口から徒歩1分という好立地にある「酒とったり」。料理人が手がける和食と厳選された日本酒のマリアージュが売りで、平日は近隣で働くビジネス層、土・日曜日は買い物などで横浜を訪れたカップルやファミリーなど、幅広い層を集客している。もともと香川・高松で飲食店を運営していたオーナーが、2017年11月にオープン。横浜駅西口の活性化と、横浜で日本酒文化を広めることを目標に掲げ、隣には100種の日本酒が楽しめる、スタンディングスタイルの「AKATSUKI NO KURA」を同時オープン。「BARを併設する海外のレストラン」をイメージし、2店合わせて日本酒を楽しめる店として、早くも話題になっている。
常時50種以上の日本酒をそろえる同店は、料理にも力を入れており、ひとひねりあるメニューが並ぶ。「職人が握る寿司や全国各地から取り寄せる食材を使ったこだわりの料理など、“割烹に近い居酒屋”がコンセプトです」と、店長の山田貴紀氏は語る。そんな店の雰囲気に合わせ、メニューブックも「和」のテイストを前面に出しつつ、写真などをあえて最小限に抑え、すっきりしたデザインにまとめている。こうすることで、メニューブックでも割烹らしい“高級感”を打ち出している。
構成の大きな特徴は、シメに当たる食事メニューを、最初の見開きに掲載していること。これは寿司をはじめ絶対に食べてほしいシメのメニューを、最初に注文する段階で来店客にイメージしてもらうため。続いて、炭火焼や煮込み料理などの一品料理、軽めのおつまみというページ順で掲載しており、シメから逆算して注文する料理を組み立ててもらう。
こだわりがあるのはフードメニューだけではない。店の売りである50種類の日本酒は、裏表にイラストが描かれた2枚組のメニューシートを作成し、案内する。「日本酒の世界は奥が深い。当店はマニアックな店ではなく、日本酒を知ってもらう“入口”を意識しています。そのため、味の説明だけでなく、ボトルもイラストで紹介するなど、初めての方にもわかりやすく、興味を持ってもらえるように心がけています」(山田氏)。さらに、日本全国を9つの地方に分け、それぞれの地酒と珍味を紹介するカタログ風の冊子も用意。読み応えのある内容で、日本酒の銘柄だけでなく、酒蔵についての特徴も解説。山田氏によると、「自分の出身地に興味を持つお客様もいれば、じっくり読み込むお客様もいて、食事中の話題作りにも一役買っているようです」と、来店客の反応も上々だという。
そのほか、手書きで作成する日替わりメニューにも力を入れており、旬の素材や、仕入れ状況による期間限定のおすすめ料理のほか、フェアの日本酒についても詳しく掲載。それぞれ、店の狙いに合わせてメニュー表を作成することで、料理、日本酒のオーダー増につなげている好例と言えるだろう。