観光や出張などの旅や移動と、「食」は切っても切れないもの。訪れる土地ならではの料理や食材を楽しむこと自体が、その目的であることも珍しくないだろう。出張のビジネス層を含めて、観光客は、飲食店にとって重要な集客ターゲット。様々なアイデアで店に呼びこもう!
ハーフメニューで「1人客」を多数獲得。客単価もアップ!
【鹿児島・鹿児島中央】吾愛人(わかな) 中央駅西口店
近隣のホテルとも連携し、ハーフメニューを案内
昭和21年(1946年)創業の本店や姉妹店を含め、鹿児島市の繁華街に5店舗を展開する郷土料理店「吾愛人(わかな)」。特に本店は、老舗で常連の普段使いのほか接待利用も多く、口コミなどで観光客や県外からの出張客にも広く知られる存在だ。「中央駅西口店」は、九州新幹線の新八代駅~鹿児島中央駅間の開業に合わせ、2004年にオープン。観光客の取り込みを狙っての出店だったが、アクセスのよさもあり、ビジネス層も多く来店している。「客層は40~50代の男性がもっとも多いのですが、最近は出張と見受けられる女性がお1人で来店されるケースも増えてますね」と話すのは、支配人の福万隼人氏。
同店では、そんな1人客にも満足してもらうべく、オープン時より「ハーフメニュー」を取り入れているのが大きな特徴だ。きっかけは、社長が出張や視察で全国各地を食べ歩いた経験。「社長はもともと食べることが好きで、1人でもいろいろな店に行くのですが、1人用のメニューがないことで注文しにくいと感じることが多く、だったら自分の店でと、実行したのです」(福万氏)。
こうしてそろえたハーフメニューは、「きびなごの刺身」や「さつま揚げ」など、代表的な薩摩料理が約10種。これらはグランドメニューとは別に、「お1人様用ハーフメニュー」として写真付きのシートを用意し、1人客の来店時に案内する。「近隣のホテルにも同じメニューシートを渡し、ドリンク券を付け、1人客に案内してもらっています」と、福万氏。「ホテルに泊まる1人客は、食事をコンビニで済ませることも多いようで、それではもったいない」という社長の考えが発端だ。評判は上々で、ハーフメニューの存在そのものが喜ばれ、1人でもいろいろなものをオーダーできるため客単価アップにも貢献。店全体の平均客単価4000~5000円に対し、1人客は4500円をキープ。売上も毎年、前年を上回っている。
昔からの常連客に支えられ、観光客や出張客、インバウンドの来店数も伸びており、今春には土産用にオリジナル芋菓子の店頭販売も開始した。今後の課題は若い世代の取り込みで、「今の若い方々が大人になったときに選ばれる店でありたい」と、福万氏。そのための集客方法や、「吾愛人」ブランドをどのようにキープし、どう魅せていくかにも注力していく。
鹿児島県鹿児島市西田2-21-21 1F
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