2018/07/17 特集

旅行者、出張のビジネス層を店に呼ぶ! 観光客を惹きつける店(4ページ目)

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酒樽を並べ強みをアピール。開店を1時間早め、出張客の獲得に成功!

【新潟・新潟駅万代口】~越後一会~ 十郎

落ち着いた外観(下)からインパクト重視(上)にファサードを変更。観光客や出張客に、「旨い日本酒が飲める店」をひと目で伝える

県外客の獲得に取り組み、月間1.5倍の売上増を達

2009年2月、JR新潟駅近くにオープンした「~越後一会~ 十郎」は、新潟の旬の食材と、新潟をはじめとする地酒が味わえる居酒屋だ。「地元のアッパーをターゲットにオープンしましたが、県外からのお客様が7~8割と予想以上に多かったですね」と話すのは、マネージャーの天野真希氏。現在の客層も、5月・8月の行楽シーズンは観光客、それ以外の月は出張などの、ビジネス層の利用が多いという。

そんな「十郎」では4年前、メインターゲットを本格的に観光客や出張客へシフト。その取り組みの1つが、店頭に並べた酒樽だ。「県外からのお客様に、ひと目で『新潟のおいしい酒が飲める店』をアピールするために行いました」と、天野氏。40個の酒樽が並ぶインパクトは絶大で、入店に迷うフリー客の誘導にも貢献しており、「接待の際は、待ち合わせの目印にもされているようです」と言う。

また同時期に、開店時間を17時30分から16時30分に早めた。「18時以降は予約で満席になることが多いので、その前の時間を活用し、特に日帰り出張客の来店を促そうと考えました」と、天野氏は狙いを話す。駅前で16時30分に入店できれば、軽く食事と酒を楽しんでから帰ることもできる。「新潟出張のシメに、日本海の新鮮な海の幸と日本酒を」という狙い通り、高単価の刺身盛りなどの注文が多いのもメリットだ。このファサードの改修と営業時間の前倒しにより、売上は月間ベースで130~150%ほど伸びた実績もある。

リピーターの多くは県外からで、特別な宣伝などはせずに、来店客の印象に残る接客を心がけている。スタッフ全員が、利用シーンに合わせた居心地のよい空間作りを意識。退店時には「またのご来県の際はよろしくお願いします」などと、さりげなくリピートにつながる一言をかけている。さらに、今年6月には、県外客へ新潟をアピールするため「十郎新聞」を発行して店内に置くとともに、新村上市の食材などにフォーカスを当てた「村上フェア」も開催。「これからも『新潟を楽しめる店』として、様々な魅力を発信していきたいですね。次のフェアについては『魚沼(市)フェア』を考えています」と天野氏。今後も“越後”の旬との“出会い”を提供し続けていく。

ぐるなび(下)のほか、フリー客には、店頭スタンド看板で16時30分オープンを告知
日本酒は常時20~25種類を用意し、飲み放題ではプラス500円で日本酒2種から8種に変更可能。また、前年の傾向から、閑散期の6月に「村上フェア」を開催し、「十郎新聞」でもアピールして売上アップにつなげている
上品な出汁が好評の「のど黒の漬け炙り茶漬け」(842円)
数量限定で18時まで提供する「お刺身こぼれ盛り」(1,598円)
郷土料理や地場の食材を使ったメニューは県外客の目当ての1つ
マネージャー 天野真希 氏
2011年に入社。新幹線内の販売員やブライダルカメラマンなど飲食業界以外でも様々な経歴を持つ。現在は、マネージャーとしてホール業務を担当しつつ、店舗運営全般に携わる。
~越後一会~ 十郎
新潟県新潟市中央区東大通2-1-7 松屋ビル1F
https://r.gnavi.co.jp/r149102/
JR新潟駅万代口から徒歩3分。繁華街の一角にあり、酒樽のファサードが目を引く。メインの客層は40~50代の男性。「刺身盛り」は来店客の9割以上が注文し、「のっぺ」「栃尾の油揚げ」などの郷土料理も人気。

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