県外の常連から食材情報を入手。生産者と密につながり、想いやこだわりも発信
【福岡・小倉】LA NATURE OHNO
野菜や鮮魚の産地を明記し、観光客に選ぶ楽しさを提供
大野政文・智子夫妻が、JR小倉駅から徒歩約10分の場所に、2014年4月にオープンしたビストロ。「都心部に比べると、まだそれほどビストロが浸透していない北九州エリアにおいて、素材の味を活かしたあっさりめのフレンチを、コース料理中心に提供しています」(政文氏)。カトラリーに箸も用意する気軽さも受け、50~60代を中心にリピーターを獲得している。
観光客や出張客と、地元客の割合は4対6。「常連さんは県外の方が多いですね。食通のお客様も多く、生産者や食材の情報を教えていただくこともあります。今、店で使っている野菜やフルーツは、様々なお客様からの情報をもとに福岡や大分の農家さんに会いに行き、直接仕入れているものです」と、政文氏。最近リストに加わった国産ワインもその1つ。長野県在住の常連から聞いた長野県のワインイベントに足を運び、実際にワイナリーにも訪れて入荷を決定したという。また、智子さんも、「牛肉や豚肉などに関しても、生産者さんに教えていただいた素材に関する情報を、接客時に積極的に話すようにしています。作り手の想いを伝えることも私たちの仕事と思っています」と言う。さらに、店のテーマである「美と健康」に合う生産者と出会えるように、常にアンテナを張りめぐらせ、来店客と積極的に交流している。
また、「ここの魚はおいしい!」「魚を食べに来た」などと評判の魚介は、毎朝訪れている中央卸売市場の鮮魚店や仲買人から仕入れ、看板食材として定着。魚介は決まったものではなく、“その日のいいもの”を選ぶため、メニューは文字通り日替わり。タイやスズキなどのポワレや、春の旬ならサワラをレアで提供したり、新鮮で上質の料理が好評だ。
「特に県外からいらっしゃる方には、選ぶ楽しみも感じてほしいので、黒板でおすすめするメニューには産地を明記するようにしています」と智子さん。Facebookなどで生産者や食材情報を積極的に発信しているが、料理のビジュアルは来店時のお楽しみにとっておいてもらおうと、あえて画像の掲載は最低限に抑えている。大野夫妻にとって観光客は、全国の食に関する情報をもたらすなど刺激を受け、小倉でフレンチに挑戦するシェフの個性を後押しする貴重な存在。今後もリピーターづくりに力を注いでいく。
福岡県北九州市小倉北区船場町6-1 麻布ビルB1