2018/07/17 特集

旅行者、出張のビジネス層を店に呼ぶ! 観光客を惹きつける店

観光や出張などと「食」は切っても切れないもの。その土地ならではの料理や食材は楽しみの1つであり、飲食店にとっても出張のビジネス層や観光客は重要なターゲット。様々なアイデアで店に呼びこもう!

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観光や出張などの旅や移動と、「食」は切っても切れないもの。訪れる土地ならではの料理や食材を楽しむこと自体が、その目的であることも珍しくないだろう。出張のビジネス層を含めて、観光客は、飲食店にとって重要な集客ターゲット。様々なアイデアで店に呼びこもう!

ハーフメニューで「1人客」を多数獲得。客単価もアップ!

【鹿児島・鹿児島中央】吾愛人(わかな) 中央駅西口店

「こんなにあるの?」と驚かれることも多い「お1人様用ハーフメニュー」。インバウンド増加で英語版も用意

近隣のホテルとも連携し、ハーフメニューを案内

昭和21年(1946年)創業の本店や姉妹店を含め、鹿児島市の繁華街に5店舗を展開する郷土料理店「吾愛人(わかな)」。特に本店は、老舗で常連の普段使いのほか接待利用も多く、口コミなどで観光客や県外からの出張客にも広く知られる存在だ。「中央駅西口店」は、九州新幹線の新八代駅~鹿児島中央駅間の開業に合わせ、2004年にオープン。観光客の取り込みを狙っての出店だったが、アクセスのよさもあり、ビジネス層も多く来店している。「客層は40~50代の男性がもっとも多いのですが、最近は出張と見受けられる女性がお1人で来店されるケースも増えてますね」と話すのは、支配人の福万隼人氏。

同店では、そんな1人客にも満足してもらうべく、オープン時より「ハーフメニュー」を取り入れているのが大きな特徴だ。きっかけは、社長が出張や視察で全国各地を食べ歩いた経験。「社長はもともと食べることが好きで、1人でもいろいろな店に行くのですが、1人用のメニューがないことで注文しにくいと感じることが多く、だったら自分の店でと、実行したのです」(福万氏)。

こうしてそろえたハーフメニューは、「きびなごの刺身」や「さつま揚げ」など、代表的な薩摩料理が約10種。これらはグランドメニューとは別に、「お1人様用ハーフメニュー」として写真付きのシートを用意し、1人客の来店時に案内する。「近隣のホテルにも同じメニューシートを渡し、ドリンク券を付け、1人客に案内してもらっています」と、福万氏。「ホテルに泊まる1人客は、食事をコンビニで済ませることも多いようで、それではもったいない」という社長の考えが発端だ。評判は上々で、ハーフメニューの存在そのものが喜ばれ、1人でもいろいろなものをオーダーできるため客単価アップにも貢献。店全体の平均客単価4000~5000円に対し、1人客は4500円をキープ。売上も毎年、前年を上回っている。

昔からの常連客に支えられ、観光客や出張客、インバウンドの来店数も伸びており、今春には土産用にオリジナル芋菓子の店頭販売も開始した。今後の課題は若い世代の取り込みで、「今の若い方々が大人になったときに選ばれる店でありたい」と、福万氏。そのための集客方法や、「吾愛人」ブランドをどのようにキープし、どう魅せていくかにも注力していく。

六白黒豚の1人しゃぶ鍋 1,674円  1人客のほとんどが注文。これにハーフメニュー単品を数品プラスするパターンが定番だ
きびなごの刺身 ハーフ/432円  当日朝に仕入れたきびなごに酢味噌とショウガを添えて。薩摩料理を代表するメニューのひとつ
自家製さつま揚げ ハーフ/378円  手間暇かけた自家製で、ゴボウ入りとニンジン入りの2種を用意。そのままでも滋味に富む
首折れサバの刺身 ハーフ/594円  屋久島の名物で、漁獲後すぐに首を折って血抜きするため鮮度が高い。完売必至の限定品
通常メニューも写真を大きく使い、視覚に訴えるよう工夫。本来ハーフメニューで出していない料理でも、状況次第で対応している
名物の「みそおでん」は、60年以上継ぎ足してきた伝統の味。1人前は、4品756円
店名「吾愛人」の由来を記したオリジナル芋焼酎。希少銘柄もそろえる
支配人 福万隼人 氏
東京出身。東京での会社員生活を経て、23歳のときに両親の地元である鹿児島へ。アルバイトから入店し、社員、店長を経験後、支配人となる。財産は「お客様とのコミュニケーション」。
吾愛人(わかな) 中央駅西口店
鹿児島県鹿児島市西田2-21-21 1F
https://r.gnavi.co.jp/5td12c2k0000/
戦前に割烹としてスタートし、現在では月平均3,000人が訪れる郷土料理店。「中央駅西口店」は鹿児島中央駅から徒歩2分。全140席の店内にはカウンターや個室、60名の宴会が可能な座敷席がある。

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