料理と動画の融合で生まれる、新感覚フレンチを提供
【東京・北参道】élan vital
独特の世界感を作り出す、プロジェクションマッピング
東京・北参道に2016年11月オープンした「élan vital(エラン ヴィタール)」は、分子工学などの技術を用いた料理に、プロジェクションマッピングの動画や音楽をコラボレーションさせた、新感覚のフランス料理店だ。
名物である「最中」は、木箱に入れて提供。箱の上に江戸時代の街並みの動画を映す
オーナーシェフの深作直歳氏は、日本料理店で修業をした後、フレンチの世界へ。「器の色や形で季節感を表現する和食と、白い皿に絵を描くようにソースや食材を盛り付けるフレンチ。それぞれに影響を受けて、テーブル全体を器に見立てる今のスタイルに至りました」と振り返る。店内は、外光が遮断された映画館のような空間で、客席は3テーブル、6席のみ。料理は季節ごとに変わるコース1種類(1万6000円、ペアリングドリンク付き)で、ディナーは19時、休日限定のランチは12時に、全テーブルで一斉にスタートする。複数のクリエイターに依頼するほか、深作氏自身も作成に携わる動画は、天井に設置したプロジェクターから各テーブルに向けて投影。料理の提供に合わせて、1皿ごとに異なる動画を映している。例えば、サーモンやキャビアなどを使った前菜「恵」には、珊瑚礁の海を泳ぐ魚の動画をコラボレーション。宝石箱のような器の中に料理を入れることで、来店客に、海の中で見つけた宝箱から料理を取り出して食べるような感覚を与えている。
このような動画を使った演出について、深作氏は「ただ単にきれいな動画を流すだけではうまくいきません。料理と動画を融合させるテーマ設定、ストーリーが大切」と語る。例えば、コース4品目に提供する「冷静と情熱の間」(オマールエビのスープ)は、“魔法”をテーマに開発。魔法使いのステッキを模した小道具や、化学反応で温かくなるスープに、稲光のような動画を組み合わせることで、料理を含めたテーブル全体で魔法を表現。また「花火」をテーマにした前菜では、口に入れるとパチパチはじける食感の食材を使い、花火の動画を組み合わせる。こうした工夫を凝らして、ようやく驚きや感動が生まれるのだという。今後も、動画にとどまらず様々な技術を活用し、五感に訴えかけるフレンチを極めていく。
4品目に提供する「冷静と情熱の間」は、魔法をテーマに開発。オマールエビのスープを入れた蓋付きの器を、外側の大きな器の中央に置いて提供。外側の器に過冷却水(ゆっくり均一に冷やし、0℃以下でも液状を保った液体)を注ぎ、スティックを刺して液体を凝固させ、この際に発生する熱でスープを温める。時計や雷の動画を合わせ、来店客に魔法を体験させる
コースの2品目に提供する「恵」と名付けた前菜。宝石箱をイメージした器に、スプーンにのせた一口サイズの前菜をセット。テーブルには、珊瑚礁の海の中を泳ぐ魚の動画が流れる
東京都渋谷区代々木1-20-4 代々木ダイヤビル1F
https://r.gnavi.co.jp/etpyyshp0000/