大衆居酒屋に業態変更し、昼から通し営業。少人数の利用や若年層をつかむ
煮込ミト焼キ鳥 食堂×酒場 トリヤマスタンド【滋賀・草津】
客単価を下げ、気軽に注文できるよう新メニューを投入
滋賀のJR草津駅東口から徒歩1分、百貨店などが建ち並ぶ駅前エリアにある「煮込ミト焼キ鳥 食堂×酒場 トリヤマスタンド」。2012年に居酒屋「草津炭旬」として出店し、ビジネス層の宴会などを多く獲得してきたが、新型コロナの影響で宴会需要がなくなったことから、2021年5月に業態変更を決断した。同店を運営する株式会社DCRS・代表取締役の大田倫裕氏は「コロナ禍でも比較的若い人は動いていること、昼飲みの需要があると考え、学生や20代の若い世代の利用を増やし、気軽に利用できる大衆居酒屋にリニューアルしました」と話す。
業態変更に伴い、店内やファサードを変更。以前は、ビジネス層を意識して落ち着いた雰囲気だったが、内観はオリジナルで作成した大きなのれんで客席を仕切るようにかけてプライベート感のある空間にしたほか、アンティークのたんすをテーブル代わりに使ってスタンド席を新たに設けた。ファサードでは、ちょうちんやのれんなどで大衆酒場の雰囲気を演出。メニューと価格を書いた看板を掲げ、リーズナブルに利用できることをアピールしている。
客単価は従来からあえて下げ、3,000円に設定した。料理は既存メニューを活かしつつ、新メニューを3割ほど投入。「ホルモン串」(209円)、「松坂豚キモ焼き」(539円)などの鉄板焼きのほか、焼き鳥(143円~)、焼きとん(132円~)を中心に据えてバリエーションを増やし、使い勝手を考えて串揚げ(88円~)などの単価の安いメニューも追加した。11時からアイドルタイムなしで通し営業を行っているため、定食メニューにも力を入れ、昼の利用でも注文しやすいように小ポーションの一品メニューも追加。さらに、スタンド席を回転させるため、スタンド席限定のプラン(60分飲み放題660円~)なども設定した。
これらの工夫により、お1人様や2~3名など少人数の利用を獲得できるようになったほか、以前は少なかった学生や女性の来店が増え、客層を広げることに成功。「平日の昼は駅周辺で働くビジネス層の利用が多いのですが、11~13時、少し時間をずらした13~14時、そして周辺の飲食店が閉まる14時以降と11~17時の間で3回ピークがあります。休日は昼飲みで満席になることもあり、約8割がリピーターです」と大田氏は話す。メニュー数はリニューアル前より増えたが、大半をセントラルキッチンでの仕込みに切り替えることで効率化し、キッチンの業務負荷を軽減。昼の営業と並行して仕込みを行うことで、人件費も抑えている。
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売りの鉄板焼き、焼き鳥、焼きとんをメニューブックでもアピール。リーズナブルなメニューを充実させることで若年層の取り込みを狙う -
定食メニューは16種用意するほか、ランチの常連客を飽きさせないように日替わりメニューも5種程度用意している
7月の売上は2018年と比べ約120%、コロナ直前の2019年と比べても98%まで戻っているという。「平日は開店から17時までの売上が6割を占めることもあります。今まで営業していなかったアイドルタイムの時間帯に、1日4万円程度売上があるのが大きいですね」と大田氏。今後はこれまで培ってきた店舗運営のノウハウを活かし、居酒屋以外の業態開発などに取り組む考えだ。
滋賀県草津市大路1-10-1 南洋軒第2ビルB1
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