2021/08/17 特集

早い時間・少人数・短時間利用で集客! 柔軟にプランや提案方法を変えるのがカギ(2ページ目)

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大衆居酒屋に業態変更し、昼から通し営業。少人数の利用や若年層をつかむ

煮込ミト焼キ鳥 食堂×酒場 トリヤマスタンド【滋賀・草津】

客単価を下げ、気軽に注文できるよう新メニューを投入

 滋賀のJR草津駅東口から徒歩1分、百貨店などが建ち並ぶ駅前エリアにある「煮込ミト焼キ鳥 食堂×酒場 トリヤマスタンド」。2012年に居酒屋「草津炭旬」として出店し、ビジネス層の宴会などを多く獲得してきたが、新型コロナの影響で宴会需要がなくなったことから、2021年5月に業態変更を決断した。同店を運営する株式会社DCRS・代表取締役の大田倫裕氏は「コロナ禍でも比較的若い人は動いていること、昼飲みの需要があると考え、学生や20代の若い世代の利用を増やし、気軽に利用できる大衆居酒屋にリニューアルしました」と話す。

大きなのれんでテーブル席を仕切るようにかけ、プライベート感のある空間にリニューアル。原案デザインは大田氏自ら行ったというのれんは、写真に撮りたくなるような和モダンのテイストに仕上げた
ちょい飲みを意識してスタンド席を導入。テーブル代わりにアンティーク調のたんすを使っている。スタンド席限定の「ちょい飲みプラン」(660円~)なども新たに設定

 業態変更に伴い、店内やファサードを変更。以前は、ビジネス層を意識して落ち着いた雰囲気だったが、内観はオリジナルで作成した大きなのれんで客席を仕切るようにかけてプライベート感のある空間にしたほか、アンティークのたんすをテーブル代わりに使ってスタンド席を新たに設けた。ファサードでは、ちょうちんやのれんなどで大衆酒場の雰囲気を演出。メニューと価格を書いた看板を掲げ、リーズナブルに利用できることをアピールしている。

 客単価は従来からあえて下げ、3,000円に設定した。料理は既存メニューを活かしつつ、新メニューを3割ほど投入。「ホルモン串」(209円)、「松坂豚キモ焼き」(539円)などの鉄板焼きのほか、焼き鳥(143円~)、焼きとん(132円~)を中心に据えてバリエーションを増やし、使い勝手を考えて串揚げ(88円~)などの単価の安いメニューも追加した。11時からアイドルタイムなしで通し営業を行っているため、定食メニューにも力を入れ、昼の利用でも注文しやすいように小ポーションの一品メニューも追加。さらに、スタンド席を回転させるため、スタンド席限定のプラン(60分飲み放題660円~)なども設定した。

外観を大衆的な雰囲気に変更。人通りが多い駅前に立地していることから、リーズナブルに利用できることをアピールして集客につなげている
全体の3割を新メニューに刷新。パリパリした皮と肉のジューシーさが魅力の「焼き餃子」(5個319円)や「松阪豚キモ焼き」(539円)など、手軽に楽しめるメニューをラインナップ

 これらの工夫により、お1人様や2~3名など少人数の利用を獲得できるようになったほか、以前は少なかった学生や女性の来店が増え、客層を広げることに成功。「平日の昼は駅周辺で働くビジネス層の利用が多いのですが、11~13時、少し時間をずらした13~14時、そして周辺の飲食店が閉まる14時以降と11~17時の間で3回ピークがあります。休日は昼飲みで満席になることもあり、約8割がリピーターです」と大田氏は話す。メニュー数はリニューアル前より増えたが、大半をセントラルキッチンでの仕込みに切り替えることで効率化し、キッチンの業務負荷を軽減。昼の営業と並行して仕込みを行うことで、人件費も抑えている。

  • 売りの鉄板焼き、焼き鳥、焼きとんをメニューブックでもアピール。リーズナブルなメニューを充実させることで若年層の取り込みを狙う
  • 定食メニューは16種用意するほか、ランチの常連客を飽きさせないように日替わりメニューも5種程度用意している

 7月の売上は2018年と比べ約120%、コロナ直前の2019年と比べても98%まで戻っているという。「平日は開店から17時までの売上が6割を占めることもあります。今まで営業していなかったアイドルタイムの時間帯に、1日4万円程度売上があるのが大きいですね」と大田氏。今後はこれまで培ってきた店舗運営のノウハウを活かし、居酒屋以外の業態開発などに取り組む考えだ。

煮込ミト焼キ鳥 食堂×酒場 トリヤマスタンド【滋賀・草津】
滋賀県草津市大路1-10-1 南洋軒第2ビルB1
https://r.gnavi.co.jp/bb5mpg6h0000/
JR草津駅から徒歩1分の好立地にあり、学生やビジネス層など若い世代を中心に幅広い層を集客。上質で柔らかい肉質の松阪豚を使った「焼きとん」など、素材にこだわった料理が楽しめる。
株式会社DCRS 代表取締役 大田 倫裕 氏
大手居酒屋チェーンに勤務して店舗開発のノウハウを学んだ後、独立。現在は直営2店舗、FC本部として6店舗を運営中。飲食店のコンサルなども行う。

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