今日からできる飲食店の集客アップ術
更新日:2024.7.8
外食にユーザーが戻ってきた今、飲食店にとっての一番の関心事は「集客」だろう。集客力を高めるには自店に合った集客ツールを見極めて顧客情報を獲得し、効果的な情報発信をすることが重要だ。そのために飲食店が知っておくべき、「集客における課題」「集客力を高めるステップ」「主な集客ツールの特徴」にスポットを当てて紹介する。
※本記事の情報は記事作成時点のものであり、現時点での情報の正確性を保証するものではございませんので、ご注意ください。
目次
・飲食店が集客で抱える4つの課題
①新しいニーズへの対応
②客層・利用シーンの変化への対応
③価値のある顧客情報の獲得
④効果的な情報発信
・集客力を高めるための3ステップ
①新規客獲得のための情報発信
②新規客の満足度を高め、顧客情報を獲得する
③既存客の再来店につながる情報発信をする
・飲食店向け集客ツール12選。その強みと弱み
①SNS(Instagram、LINE、Facebook、X)
②Google ビジネスプロフィール
➂飲食店検索サイト
④ホームページ
⑤広告
⑥チラシ(ポスティング、折り込みなど)
⑦看板・ファサード
⑧口コミの誘導
⑨メールマガジン
⑩ポイント・スタンプカード
⑪ダイレクトメール(郵送)
⑫スマートフォン用アプリ
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飲食店が集客で抱える4つの課題
★飲食店の集客における課題
①新しいニーズへの対応
②客層・利用シーンの変化への対応
③価値のある顧客情報の獲得
④効果的な情報発信
コロナ禍によって、多くの飲食店が時短営業や営業自粛、休業などを余儀なくされ、その間に、社会のニーズや構造も大きく変わってきた。緊急事態宣言が解除された今、間違いなく集客のチャンスではあるが、思うように集客できていない店もある。その要因は、コロナ禍によって顕在化した課題への対応が少なからず関係している。
①新しいニーズへの対応
まず、コロナ禍で新たに生まれた(もしくは強まった)ニーズに対応できているかどうか。感染予防のほか、食事需要やテイクアウト・デリバリーといった、コロナ禍を機に、消費者が重要視するようになった店選びの基準やニーズに対応できているかが飲食店の集客に大きく影響を与えている。
参考:JF外食産業市場動向調査
http://www.jfnet.or.jp/files/nenkandata-2020.pdf
引用:コロナ以後の外食需要は、感染を避ける消費行動や、テレワークの増加などの働き方の変化から、「繁華街立地」「店内飲食」「ディナー時間帯」「大人数利用」の業態・店舗から、「郊外立地」「テイクアウト・デリバリー」「ランチタイム」 「少人数利用」の 業態・店舗にシフトする傾向がみられた。
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②客層や利用シーンの変化
2つ目が、客層や利用シーンの変化に対応できているか。テレワークの浸透で勤務地が変わったり、日常生活における行動範囲が変わったことで、消費者の利用する飲食店も変わった。逆に言えば、飲食店にとってはこれまでとは異なる客層を新たに取り込む必要があるということだ。これに関連して利用シーンも大きく変化。ビジネスの接待や宴会は激減し、特に大人数での飲食店利用は敬遠されるようになっている。逆に、少人数や一人での利用が増え、ファミリーによる日常使いや記念日利用は一定のニーズがある状態だ。こうした状況の変化を的確に捉え、柔軟に対応しないと、ターゲットにすべき客層や利用シーンを見誤り、集客できるはずの見込み客を取り逃してしまいかねない。
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③価値のある顧客情報の獲得
3つ目が、価値のある顧客情報を獲得できているか。一口に顧客情報といっても、名前や年齢だけを入手しても再来店のためのアプローチはしにくい。一度来店した人にコンタクトを取るために、メールアドレスや住所などの情報を取得したり、LINE会員やSNSのフォロワーになってもらうなど、価値ある顧客情報を獲得することが以前にも増して重要になっている。時短営業や営業再開といった店の営業状況や、テイクアウトなどの情報を顧客にダイレクトに発信する手段を持っていることが、現在の飲食店の集客方法において重要なポイントになっている。
④効果的な情報発信
最後に、効果的な情報発信ができているか。集客ツールにはそれぞれ強みや弱みがあり、チラシやダイレクトメールなどのアナログツールと、メールやSNS、飲食店検索サイトといったデジタルツールを効果的に活用し、相互をリンクさせて相乗的に効果を高めるのが理想的。特にデジタルツールは店ごとに活用度や習熟度に差があり、それが飲食店の集客方法にも大きな影響を与えているといえる。
上記の①~④の中で、①はコロナ禍を通して多くの店がそれぞれのやり方で対応しているはず。また、②は店の業態やエリアなどによっては、コロナ前と同じ客層をターゲットに、同じような利用シーンを獲得できる店もあるが、一度しっかりと見直してみるとよいだろう。一方で、③と④は、ほとんどの店にとって共通の課題といえるだろう。
集客力を高めるための3ステップ
★集客力を高めるための3ステップ
①新規客獲得のための情報発信
②新規客の満足度を高め、顧客情報を獲得する
③既存客の再来店につながる情報発信をする
集客において、顧客情報の獲得と情報発信が共通の課題となっているのは先述した通り。しかし、やみくもにSNSを始めたり、広告を出してもコストや労力がかかるだけで、望むような効果が得られるとは限らない。効率的な情報発信をするために知っておきたいのが、①情報発信で新規客を獲得し、②満足度を高めつつ顧客情報を獲得し、③再来店のための情報発信をする、という3つのステップである。
①新規客獲得のための情報発信
集客のターゲットは新規客と既存客(リピーター)に分けられ、どんな飲食店も最初は必ず新規客を取る必要がある。新規客を獲得する上で重要になるのが、「自店はどんな人をターゲットにした店なのか」ということ。近隣の住民なのか、ビジネス層か、ファミリーか、若年層か、外国人か。一つに絞る必要はないが、ターゲットを明確にすることで、発信すべき情報の内容や情報発信の手段(ツール)が見えてくる。なぜなら、ターゲット(客層)ごとに“刺さる内容”は異なり、情報が届きやすいツールも異なるからだ。加えて知っておきたいのが、消費者の来店までの行動・心理プロセス。それは、
「店を知る」
↓
「興味を持つ」
↓
「行ってみたいと思う」
↓
「行動する(来店する)」
の4ステップで、それぞれに必要な情報は異なる。まず、店を知ってもらうための情報は、店名、住所、営業時間などの基本的なもの。そして、興味を持ってもらうためにの情報は、店の強み・売りや他店との差別化のポイントがある。さらに、「この店に行きたい」と思ってもらうために、特別感やお得感、「旬」「期間限定」といった「今行くことでメリットがある」と思わせる情報を発信することが効果的だ。
②新規客の満足度を高め、顧客情報を獲得する
情報発信によって新規客の来店につなげられたら、次に大切なのが、店を気に入ってもらい、ファンになってもらうこと。その集客方法として、QSCを磨いて来店客の満足度を高めることが重要だ。どんなに効果的な情報発信ができても、来店した時にサービスが期待を下回っていたら、再来店は望めない。飲食店の集客の入り口として情報発信は重要だが、長期的に見て「選ばれる飲食店」になるためには、「料理のおいしさ」「接客の良さ」「清潔感」といった店内営業におけるQSCの磨き込みが必要不可欠だといえる。さらに、新規客を獲得した段階で定着させるために重要になるのが、再来店に向けたアプローチができる顧客情報(住所、メールアドレスなど)を獲得すること、もしくはポイントカードやアプリ、SNSのような来店促進ツールを利用(登録)してもらうことだ。
③既存客の再来店につながる情報発信をする
最後に、リピーターを囲い込むための情報発信。既存客は一度来店しているので、店の一番の売り(強み)は理解しているため、さらにもう一押し背中を押せるような情報を発信しましょう。ここで生きてくるのが、来店時に獲得した顧客情報。既存客に対してダイレクトにアプローチができることを生かして、「今日、こんな珍しい食材が入りました」といった他では知りえない情報や、「会員の方だけに特別割引をします」といった特別感とお得感を組み合わせた情報、さらにコロナ禍で状況が目まぐるしく変わる中でも「テイクアウトを始めました」「通常営業を再開しました」といった最新情報を伝えることで集客につなげることができる。
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では、飲食店が活用できる情報発信や集客ツールには、どんなものがあり、それぞれどんなメリットやデメリット、どういうターゲットに対して効果的なのか、コストはいくらかかるのか、などを紹介していこう。
飲食店向け集客ツール12選のメリデメまとめ
では、飲食店の集客に効果的な集客ツールや集客方法について、具体的な特徴を見ていこう。
①SNS(Instagram、LINE、Facebook、X[旧:Twitter])
②Google ビジネスプロフィール
③飲食店検索サイト
④ホームページ
⑤広告
⑥チラシ(ポスティング、折り込みなど)
⑦看板・ファサード
⑧口コミの誘導
⑨メールマガジン
⑩ポイント・スタンプカード
⑪ダイレクトメール(郵送)
⑫スマートフォン用アプリ
①SNS(Instagram、LINE、Facebook、X[旧:Twitter])
【メリット】
・低コストで運用できる
・情報が拡散されやすい
・リピート促進ツールとしても使える
・ターゲットを絞った広告(有料)の打ち出しが可能
【デメリット】
・継続的に運用しないと効果が出にくい
・悪い情報も拡散されやすい
近年、飲食店の集客において成功させるために活用度が高まっているのがSNS。利用者が増加していることや、無料、もしくは低コストで情報発信できること、飲食店のSNSに登録やフォローしてもらうことでリピート促進ツールとしても活用できることなどが利用増加の理由だ。また、地域、年齢、性別などターゲットを絞り込んで広告(有料)を打ち出すことができるのも効果的な集客アイデアといえる。一方で、短期的に集客力を高めるツールではなく、継続的に運用していく中でフォロワーが増え、集客効果が高まっていく傾向が強い。定期的に情報を発信して、フォロワーを獲得していくことが成功のポイントになる。
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主なSNSツールの特徴は以下の通り。
★主なSNSの特徴
■Instagram
コスト:無料(広告は除く)
国内利用者数:約3,300万人※2021年現在
利用者の主な年齢層:若年層~中年層
運用のポイント:写真投稿がメインのSNSなので、メニューやお店の雰囲気などビジュアル的に魅力のある情報を伝えるのに効果的。投稿内容と関連の高いワードをハッシュタグに付けることで、飲食店を探しているユーザーに見つけてもらいやすくなる。来店客が撮影した写真が拡散され、集客につながる可能性もあるため、撮影を促すような取り組みとセットでフォローを促すのもアイデアとして有効。
活用事例:大阪・堂山町エリアの大衆酒場では、売りとなる創作天ぷらなどインスタ映えするメニューをオープン時からInstagramでアピールしたことで、6,000人以上のフォロワー獲得し集客に成功、人気店へと成長した。
詳細はこちら→「インスタ映えする独創的メニューを拡散し、坪月商57万円を実現!」
■LINE公式アカウント
コスト:無料~月額1万5,000円(広告は除く)
国内利用者数:約9,600万人※2023年9月現在
利用者の年齢層:若年層~シニア層
運用のポイント:SNSの中ではリピーター集客向きのツール。アプリ内でポイントカード作成やクーポン発行などが可能で、登録したLINE会員に一斉に情報の発信が可能、集客効果が期待できる。登録数を増やすための工夫や、ブロックを防ぐための工夫が重要になる。
活用事例:東京・銀座の焼肉店では、LINE公式アカウントの登録特典「マッコリ1杯無料サービス」や、冷麺が半額になるクーポンを配信するなどして5,000人の会員を獲得し、集客方法として成功している。
詳しくはこちら→「店とお客をつなぐLINE戦術~事例に学ぶLINE公式アカウントの上手な使い方~」
■Facebook
コスト:無料(広告は除く)
国内利用者数:約2,600万人※2021年現在
利用者の主な年齢層:中年層
運用のポイント:基本情報を掲載しつつ、最新ニュースを配信できるため、飲食店のホームページの代わりになるツール。ほかのSNSと比べて若年層の利用率が低く、拡散力は弱め。実名で登録するため、情報の信頼性が高いと認識されやすいのが特徴。
■X(旧:Twitter)
コスト:無料(広告は除く)
国内利用者数:約4,500万人
利用者の年齢層:若年層~中年層
運用のポイント:リツイート機能による拡散力が高い。手軽に発信できるため、リアルタイムで当日のお得な情報や空席情報などを配信するのに適している。情報を拡散しやすいため、不用意な投稿が評価を落とすきっかけにもなる点は注意が必要。
②Google ビジネスプロフィール
【メリット】
・無料で活用できる
・Google検索やGoogleマップへの表示による訴求効果
・レビューや口コミ機能がある
【デメリット】
・掲載情報のカスタマイズの自由度が高くない
・継続して情報を更新する必要がある
【コスト】
無料
【月間利用者数(Googleマップ)】
約4,700万人
(出典:ニールセン デジタルWebサイト)
Google検索やGoogleマップに店舗の情報を表示させる無料サービス。写真や動画などの掲載も可能で、ユーザーに地図上から店を見つけてもらえるのが特徴。レビューや口コミ機能のほか、ホームページや飲食店検索サイトと連携して集客につなげることもできる。一方で店が投稿した写真のうち、「これをトップ画面に表示させたい」といったカスタマイズができなかったり、情報をこまめに更新していないと、Googleマップ上で目立つように表示されなくなってくるので、利用の際は注意したい。
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③飲食店検索サイト
【メリット】
・関連キーワードで検索した場合、上位に表示されやすい
・ネット予約やクーポンなどさまざまな機能が使える
・専任の担当者がサポートにつく
【デメリット】
・一定のコストがかかる
・口コミの内容などが良くも悪くも集客に影響する
飲食店検索サイトを活用すると、関連キーワードで検索した場合に上位に表示されやすく、ネット予約、クーポンなどの機能を活用することが可能。掲載料は、だいたい月額1~5万が相場だが、サイトによっては10万円を超えるプランもある。専任の担当者が付き、運用面でのサポートがあるのも特徴だ。「ぐるなび」の場合は、月間ユニークユーザー数が4,400万人(2020年12月時点)、ぐるなび会員数は2,116万人(2021年4月1日時点)、総有料加盟店舗数は55,763店(2021年3月時点)。料金体系は、「スタートプラン」(無料)、「ライトプラン」(月額11,000円)、「ベーシックプラン」(月額33,000円)の3種類で、それぞれで集客につながるさまざまなツールを使うことができる。詳細は→「ぐるなび新加盟プラン」
④ホームページ
【メリット】
・ユーザーに信頼感を与えられる
・自由にコンテンツを作成でき、差別化できる
・店のブランドを強化できる
【デメリット】
・集客の即効性には欠ける
・SNSや飲食店検索サイトと連動しないと認知されにくい
・サイト運営のためのコストや労力がかかる
ホームページは、細かな構成まで店舗側で設定できるので、店をブランディングしたり、飲食店検索サイトなどと差別化できる。さらに、SNSや飲食店検索サイトとリンクさせることで相乗効果も狙える。一方で、他の集客方法と比較すると、ややコストがかかる傾向にあり、初期費用が数十万~数百万円かかり、毎月の運用コストも数万円かかるケースが多い。
⑤広告
【メリット】
・ターゲットを絞りやすい
・訴求効果が高く、範囲も広い
・即効性が高い
【デメリット】
・コストがかかる
・長期的な効果は薄い
広告は、大きくデジタルとアナログに分けられる。デジタル広告には、検索エンジンで特定のキーワードを検索したユーザーに、関連する広告を検索結果の画面に表示する「リスティング広告」のほか、テレビ、ラジオにおけるCM、各種SNSやYouTubeなどを使った広告があり、それぞれターゲットを絞って情報発信ができるのが特徴。アナログ広告には、雑誌や新聞、コミュニティーペーパー、駅の看板広告などがある。費用はメディアによってさまざまだが、継続して広告を出し続けるとコストが増大していくため、短期的な集客戦略に向いている。
⑥チラシ(ポスティング、折り込みなど)
【メリット】
・インターネットに慣れていない層への訴求効果が高い
・紙媒体のため、手元に保管してもらうことができる
・飲食店の周辺エリアでの集客戦略に向いている
【デメリット】
・デジタル広告のように、ターゲットを絞れないため、無関心層にもアプローチすることになる
・クレームにつながる可能性がある
・ほかのチラシに埋もれないためのデザインやキャッチコピーの工夫が必要
チラシは、近隣住民への認知やWebを使わない層へのアプローチ手段として有効。チラシのデザインや印刷などにコストがかかるが、ホームページの運営や広告などに比べるとコストは抑えられる。ホームページ、飲食店検索サイト、SNSのアドレスなどを掲載して相互連携することで集客力アップが狙える。周辺の他店にチラシを置いてもらうことも効果的だ。一方で、無関心層にとっては望んでいない情報を強制的に届けられる不快感や、配布する相手との接触を想起させるなどして、クレームにつながる可能性があることを考慮する必要がある。このほか、新聞などへの折り込みチラシは高齢者層へのリーチ率が高く、成功の可能性が増す。ただし、新聞の購読者数が減少していることなどは考慮しておきたい。
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⑦看板・ファサード
【メリット】
・視認性向上による、フリー客の獲得
・訴求が成功すれば、そのまま入店につながる
【デメリット】
・店の前の通りの人通りの多さによって効果が変わる
フリー客獲得に効果的なのがファサードや看板での情報発信だ。ファサードについては、清潔にしておくことは大前提として、視認性を高めたり、店の業態や売りを象徴するオブジェなどを配置することで、印象を残すアイデアも有効。看板は約5,000円から購入することができるが、電飾の付いたものやデザイン性が高いものは安くても数万円はかかる。店の前を通る人に飲食店だと認識させて、業態や看板料理、価格帯、利用シーンなどの情報がイメージできるようにすることが成功のポイントといえる。
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看板・ファサードの成功事例
東京・神保町の居酒屋は、照明を生かしてファサード全体を立体的に浮かび上がらせるデザインで注目を集め、人気を呼んでいる。また、宮城・仙台の天ぷら酒場は、ファサード全体を覆うような大きなのれんを掲げ、インパクトある外観にすると同時に、店内の目隠しとしても機能させている。
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⑧口コミの誘導
【メリット】
・ユーザーが感じる情報への信頼度が高い
・知り合いとの来店やリピートにつながりやすい
【デメリット】
・情報が拡散するかどうか不確定要素が高い
・悪評も広がりやすい
現在の来店客が新規客を連れてくる、もしくは知り合いなどに来店をすすめてもらうように促す取り組みは効果的。知り合いを連れてくると割引にするサービスや、口コミにつながりそうなインパクトのあるサービスや料理を用意するのも一案。紹介された人は、知人の紹介なので来店へのハードルが下がる。一方で、来店客が口コミを広げてくれるかどうかがについては不確定要素が強いことや、口コミの誘導に力を入れると良い評判と同様に悪い評判も広がりやすいことは気を付けておきたい。
⑨メールマガジン
【メリット】
・定期的に配信することで顧客の囲い込みができる
・SNSでは発信しきれない詳細な情報などを伝えられる
【デメリット】
・メールアドレスを取得する必要がある。
・SNSの普及により、プライベートシーンでのメール活用度が年々下がっている
・配信する内容や頻度によっては、迷惑メールに登録される可能性がある
リピーター向けに、より詳細な情報を発信するツールとして有効。ただし、来店客のメールアドレスを獲得し、メールマガジンの配信の許諾をもらう必要がある。ぐるなびの「レストランメール」のように、性別や年齢などの条件で送信先を絞り込んで配信するサービスを活用するのも効果的だ。
⑩ポイント・スタンプカード
【メリット】
・コストがあまりかからない
・特典目当てにリピートを増やすことができる
【デメリット】
・入会してもらうための工夫が必要
・無くしたり、忘れられる可能性がある
飲食店のリピーター向け施策として有効なのが、ポイントカードやスタンプカードなどの店の会員カードだ。「料理1品サービス」「特別割引」などの特典を付けることで、ポイントやスタンプを貯めることが来店動機の一つとなり、リピートを促進できる。費用もあまりかけずに導入できるのもメリットだ。逆に、会員になってもらうための工夫や特典のアピールが必要で、会員になっても特典が魅力的ではなかったり、特典を獲得するまでに必要な来店回数や利用金額の設定が高すぎるとリピートにはつながらないので注意が必要だ。
ポイント・スタンプカードの成功事例
鹿児島・霧島の居酒屋では、ポイントカード(1,000円ごとに1ポイント付与、50ポイントで1,000円引き)を配布するほか、プレミアム会員になると特別なセットをサービスするなどしてリピーターを獲得している。
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⑪ダイレクトメール(郵送)
【メリット】
・クーポンなど、来店を促進するアイテムを同封できる
・既存顧客の囲い込みに有効
【デメリット】
・顧客情報(住所)の獲得が必要
・郵便物と同等の費用がかかる
郵送で届けるダイレクトメールもリピーター向けの施策。顧客の住所を獲得する必要があり、定期的に新しいコースやテイクアウト・デリバリーの情報などを送ることで利用につなげることができる。スマートフォンで情報収集をあまりしないシニアなどに対してのリピート促進ツールとして効果がある。ただ、1通60円前後なので、ターゲットの範囲を広げるとコストも増えていくことや、引っ越しなどによって関係性が切れてしまう可能性がある。
ダイレクトメールの成功事例
東京・大井町の居酒屋では、集客アイデアとして、誕生月に持参すると年齢分の餃子が無料になる「誕生月カード」を郵送して、再来店につなげている。このカードは、常連客はもちろん、来店の間隔が少し空いている人に「こんな店があったな」と思い出してもらう効果もあり、実際に利用率も高いという。
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⑫スマートフォン用アプリ
【メリット】
・若い層に効果的
・さまざまな機能を付けられる
・ユーザーにとって利用のハードルが低い
【デメリット】
・シニア層には効果が低め
・メリットが感じてもらえないと簡単に削除(アンインストール)される
・顧客情報(名前、住所、メールアドレス)の獲得にはつながりにくい
店独自のアプリを開発して、会員カード替わりに活用する店舗も増えている。クーポンを配信したり、スタンプカードとしても使えるなど、多機能を装備させることで、より強く顧客の囲い込みができる。アプリを入れることに抵抗がない若い層に効果的。逆に、シニア層などのスマートフォンに慣れていない層には訴求効果が低く、抵抗感を示す人も少なくない。若い層も、簡単にアプリを入れてくれる反面、簡単に削除(アンインストール)されてしまう可能性もあるので要注意。いかに機能を充実させて、顧客にメリットを感じさせるかが重要になる。
これまで紹介したツールは、「デジタルとアナログ」「新規客・既存客両方に効果があるものと、既存客にしか情報発信できないもの」「短期的に効果が出せるものと、長期的に使うことで効果が発揮されるもの」など、それぞれに特徴がある。それらをバランスよく使い、かつ相互でリンクさせるクロスメディアの手法を取ることで、より集客効果を高めることができる。例えば、チラシにLINE公式アカウントの友だち登録を促す文言を掲載したり、自店のInstagramやFacebookにアクセスできるQRコードを掲載することで、チラシを見た人がSNSの情報も目にする可能性が高まり、相乗効果で情報の訴求力を高められるのだ。
また、それぞれのツールには、「若い人にアプローチしやすい」「近隣住民へのアプローチに向いている」といった特性もある。ツールの特性を知ることで、どんなツールを組み合わせると、狙ったターゲットに効果的にアプローチできるかも見えてくるはずだ。
こうした各ツールの特徴を踏まえた上で、「自店のターゲットにアプローチ(情報発信)して新規客を獲得するツール」と「既存客に再来店を促すツール」をうまく組み合わせて、「新規客獲得」→「顧客情報獲得」→「リピーター獲得」という流れを作れれば、リピーターが新規客を連れてきてくれて、自然とリピーターが増えるという好循環も生まれる。どのツールが集客に効果を発揮するかは、店の業態や出店エリア、客層、利用シーン、空間などによって変わるため、これという正解はない。さまざまなツールを狙いを持って活用し、定期的に効果測定をしながら、自店の集客に最も効果を発揮するツールや手段を見つけ出していただきたい。
スマートフォン用アプリの成功事例
東京・大井町の居酒屋では、スマートフォン用のアプリを開発。「ニックネーム」「性別」「誕生月」「入会店舗」を登録すると、「名前に『さくら』が付く人が来店するとドリンク1杯無料」などのお得な情報が配信されるほか、来店回数に応じてアプリにスタンプが貯まり、その数に応じて特典が付く。会員数は系列店合計で1万人を数え、リピーター獲得に一役買っている。
詳しくはこちら→「どう集めて、どう活かす? ファンを増やす顧客情報活用術」