更新日:2024.7.19
多くの飲食店が抱えるのが、「売上アップ」という課題。その実現のためには、売上予測を立てて実際の売上と比較し、「集客に力を入れて客数を増やす」「メニュー・価格などを見直して客単価を上げる」という2つの方法を検討することが重要です。店のコンセプトや客層をよく分析し、Web販促やSNSでの情報発信・拡散で集客に努め、回転率を上げるなどの工夫もポイントになります。同時に、客単価アップのためにメニューやサービス内容を再検討して注文率を上げることも大切です。
目次
・「売上=客数×客単価」。売上予測の算出方法は?
└まず「客数×客単価」で売上を出し、坪単価を把握する
└毎月の売上を把握して「どこを改善すべきか」を分析する
・客数を増やすためにはどんなことをしたらよい?
└(1)店のコンセプトを明確にする
└(2)来店動機を分析する
└(3)顧客満足度を上げる
└(4)情報発信を強化する
└(5)回転率を上げる施策を行う
・客単価をアップさせるには?
└(1)メニューのリニューアルを行う
└(2)サービス力・演出力をより高める
└(3)追加オーダーされやすいメニューを開発する
└(4)料理のランクアップやオプションを用意する
└(5)セットメニューを開発する
└(6)接客時の声掛けで追加注文を促す
・客単価を上げる上での注意点
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「売上=客数×客単価」。客数と客単価をいかに上げるかがポイントに!
・売上予測の算出方法は?
・まず「客数×客単価」で売上を出し、坪単価を把握する
・毎月の売上を把握して「どこを改善すべきか」を分析する
売上予測の算出方法は?
まず「客数×客単価」で売上を出し、坪単価を把握する
では、こうした厳しい状況下で売上を上げるにはどうすればよいのでしょう。店の売上は「客数(1日あたりの客数)×客単価(1人あたりの支払い金額)」という式で算出されます。つまり、売上アップのためには、
①集客に力を入れて客数を増やす
②メニューや価格を見直して客単価を上げる
のいずれか、もしくは両方を行うのが一般的。
店の規模によって客数や客単価は大きく異なるが、売上の目安となるのが「坪月商(月商÷坪数)」です。例えば20坪の居酒屋で1カ月の売上が300万円であれば、坪月商は300万円÷20坪=15万円となります。飲食店を安定して経営するためには、坪月商は最低でも15万円が必要と言われています。これより低い場合は、早急に売上アップのための集客方法やメニューの価格や内容を見直す必要があるでしょう。
毎月の売上を把握して「どこを改善すべきか」を分析する
売上や集客アップのためには、毎月の売上予測を立てて実際の売上と比較し、「どこを改善すべきなのか」を定期的に分析することが大切です。
毎月の売上予測は、「1日の予測客数(総客席数×1日の平均回転数×席稼働率)×平均客単価×営業日数」で算出できます。例えば全40席で1日の平均回転数が2回、席稼働率が70%、客単価が4,000円の場合、1日の売上は「40×2×0.7×4,000=22万4,000円」となります。営業日数が月25日で日ごとに客数や客単価が一定だとすると、月の売上予測は「22万4,000円×25=560万円」になります。
こうして売上予測を立てて、実際の月商と比べると、客数や客単価が想定より多い(高い)、もしくは少ない(安い)ということがわかってきます。想定よりも客数が少ない場合は、販促などを通じて集客に注力することが必要ですし、客単価が安い場合は、料理やドリンクの価格を見直したり、注文率を上げる工夫が求められます。なお、単純に売上アップを目指しても、仕入れ費用や人件費などのコストに圧迫されては利益が上がりません。正しくコストを把握して削減に努めることが健全な経営につながります。これも売上や集客アップのための情報として肝に銘じておきたいポイントです。
こうした「コストの把握」に欠かせないのが損益計算書。以下の記事、
【飲食店の数字の見方】損益計算書を楽に作るための3つのポイント
では、計数管理コンサルタントの東海林健太郎氏に損益計算書の作り方や諸経費・コストの考え方や算出の仕方を聞いているので参考にしてください。このような
では、具体的に客数を増やしたり、客単価を上げるための対策にはどんなことをしたらよいのか、見ていきましょう。
客数を増やすためにはどんなことをしたらよい?
・(1)店のコンセプトを明確にする
・(2)来店動機を分析する
・(3)顧客満足度を上げる
・(4)情報発信を強化する
・(5)回転率を上げる施策を行う
(1)店のコンセプトを明確にする
自店のコンセプトを明確にすることは、客数を増やして売上アップに貢献するポイントです。例えば、店のコンセプトが「近隣住民が気軽に立ち寄れる普段使いのレストラン」である場合、売上を上げるためにただ単純に客単価を上げるのではなく、かえって常連客が離れてしまうことになりかねません。それより、日替わりランチの種類を充実させてリピーターを増やす、特典を付けてファミリーやグループで来てもらえるよう工夫するなど、コンセプトに合った集客方法を考えることが重要です。そのためにも、コンセプトをより具体的に、明確にすることが必要です。
例えば、東京・渋谷にある人気居酒屋「蕎麦前酒場 はんさむ渋谷」は、“ゆっくりそば屋で飲む文化を若者にも楽しんでもらう”という明確なコンセプトで他店との差別化に成功し、客数を上げました。狙い通り若い世代が自家製のそばと日本酒を求めて来店する繁盛店に成長し、売上を大きく上げることができました。コンセプトをいかに店づくりに反映したか、成功のポイントなどを下記の記事、
「そば屋で飲む」粋な文化を発信して坪月商57万円の大ヒット!「蕎麦前酒場 はんさむ渋谷」
で取り上げているので、参考にしてください。
(2)来店動機を分析する
また、自店の来店動機を分析することも大切。例えば会社帰りのビジネスマンが主なターゲットですが、来店動機を探ると「1人でもふらりと立ち寄れる」ことから女性の割合も高いことに気が付くかもしれません。その場合は女性向けに店の看板メニューを少量ずつ楽しめるレディースメニューを用意する方法で、さらに集客や客数を増やすことができる可能性があります。
そうした、「ターゲットの来店動機を想定した店づくり、メニュー開発」の例の一つとして「おひとり様ニーズの獲得」があります。以下の記事、
人気です!「おひとりさま」メニュー~限定・専用プラン、“夜定食”などで来店を促進~
では、「一人で食事をしたい」という来店動機(ニーズ)の増加を踏まえて、そうした利用シーンに対応するためのメニュー開発で成功している事例を4つ紹介しています。
(3)顧客満足度を上げる
店の客数を増やすためにまず大事なのは、顧客満足度を上げることだ。メニューのラインナップや味、価格、雰囲気、外装、インテリア、接客などにおいて、店に来た時の満足度が高ければ高いほどリピーターになる可能性は上がり、長期的に見ても売上アップや客単価向上につながります。来店客が「その店ならではの価値」を見出せるように、店の強みとなる部分が何かを明確にし、それを磨く努力をすることが大切です。
さらに、顧客満足度を上げることはリピーターを獲得する以外に、注文率や客単価アップ、売上アップにもつながる。沖縄・那覇の「もうあしびー」では、自慢の食材を客席で紹介したり、提供時の演出にこだわるなどして顧客満足度を高め、客単価アップにも成功しています。以下の記事、
今こそ、顧客満足度を追求しよう お店のこだわり×アピール=客単価アップ!
では、「もうあしびー」以外にも顧客満足度を高めて売上アップにつなげた事例を紹介しているのでチェックしてみてください。
(4)情報発信を強化する
店の公式ホームページやぐるなびなどの飲食店情報サイト、InstagramやFacebookなどのSNSを活用して積極的に情報発信することで、さらなる集客アップが見込めます。スムーズな予約につなげるためにWeb予約も設定しておくとよいでしょう。また、店の外観・内観写真や新メニュー、その日の仕入れ情報、レアな食材・お酒の入荷情報、ユニークな期間限定イベントやキャンペーンなど、消費者の興味を引く情報発信が集客につながりやすいです。
SNSの集客事例の一つとして参考にしていただきたいのが、東京・代々木にある「Seafood bar Ermitage」。以下の記事、
SNSで集客&味でリピーターを生む!「とろサーモンレアカツ丼」Seafood bar Ermitage @代々木
では、「Seafood bar Ermitage」が名物の「とろサーモンレアカツ丼」をSNSで上手にアピールし、集客につなげたノウハウを取り上げています。
(5)回転率を上げる施策を行う
店の回転率を上げることも、売上アップにつなげる方法の1つ。回転率を上げるために心がけたいのは、注文を受けたら速やかに料理を提供することです。仕込みなどの事前の準備をしっかり行い、調理を効率的に行い、スタッフのオペレーションも万全にしておきたいところです。注文を受けるプロセスをよりスムーズにし、客単価を下げないために、POSレジやセルフオーダーシステムの導入を検討してもいいでしょう。ただし、回転率ばかりに気を取られてサービスの質が低下したり、客単価が下がってしまうと、トータルとして売上が下がってしまう可能性もあるので要注意です。
東京・三軒茶屋の「食堂かど。」は、昼夜ともに2回転以上をキープしています。
必見!繁盛店「食堂かど。」2回転以上キープの術はズバリ、予約時間とメニュー
では、「食堂かど。」がどのようにして回転率を上げるかを取材。ランチや昼飲み、ディナーでの集客方法や店づくりの工夫について紹介しているので参考にしてみてください。
客単価をアップさせるには?
・(1)メニューのリニューアルを行う
・(2)サービス力・演出力をより高める
・(3)追加オーダーされやすいメニューを開発する
・(4)料理のランクアップやオプションを用意する
・(5)セットメニューを開発する
・(6)接客時の声掛けで追加注文を促す
(1)メニューのリニューアルを行う
売上アップを目指す際、客数と同じく重要な要素となる客単価を上げるための方法として、メニューのリニューアルは非常に効果的です。従来のメニューをただ値上げするだけでは敬遠されやすいですが、人気メニューをリニューアル、またはグレードアップして金額を少し上乗せする方法をとると、割高感が薄れ客単価アップにつながりやすくなります。例えば、鶏料理で使用する鶏肉を銘柄鶏に変更したり、旬の食材を使った季節限定メニューを用意することで、売上を上げることができるでしょう。特に限定メニューは「今のうちに食べておきたい」という意識を呼び起こしやすいので、客数を増やす方法としても有効です。
大阪・福島にある焼き肉店「福島 焼肉ホルモン こいちゃん」は、オープン後に集客に苦しんでいましたが、仕入れの見直しをきっかけにメニューをリニューアルしました。以下の記事、
利益を生み出す店づくり(1)~仕入れ・メニューの見直しで集客アップ!コストに対する意識改革で利益体質に!~
では、「福島 焼肉ホルモン こいちゃん」が、おいしくてロスを出さない新メニューを開発し、集客アップに成功したノウハウを紹介しています。
(2)サービス力・演出力をより高める
値上げではなく、サービス力や演出力を高めることで客単価を上げる方法もあります。魚を数種類客席に持って行き、調理法を伝えながらおすすめするサービスや、テラス席や屋上に張られたテントに滞在しながらバーベキュー料理を楽しみ、グランピング気分を味わえる演出など、「この店ならではのサービス・演出」を付加価値として提供することで、メニューの単価を上げたり、注文率を上げることができます。これにより、客単価アップ、さらには売上アップに繋げることも可能です。
ただ、忘れてはいけないのが、特別な演出やサービスだけでなく、基本的な接客が顧客満足度を上げ、リピーターを生み、客数や注文率を高めるということ。以下の記事、
接客の心得やスタイルに迫る! できるサービスマンはここが違う
では、ワンランク上の接客を実践する“できるサービスマン”に取材を行い、日ごろ何を考え、営業しているのかを聞いています。
(3)追加オーダーされやすいメニューを開発する
ドリンク、デザートなど追加オーダーしやすいメニューや、もう1品注文したいときにすぐに出てくる安価な単品メニューを用意することも客単価アップ、そして売上アップにつながりやすい。メニュー表や卓上、壁などに「お酒のお供に、もう1品いかがですか?」などの文言を添えて、目につきやすい形で表示することで、集客効果も期待できます。
追加注文が期待できるメニューの一つが食後のデザート。以下の記事、
カフェメニューでプラスの売上づくり SNSでの拡散で認知度もアップ!
では、客単価を上げるカフェメニューの成功事例を取り上げているので、メニュー開発のヒントにご活用してみてください。
(4)料理のランクアップやオプションを用意する
「+300円でコース料理のメインの牛肉をブランド牛にランクアップ」「+500円で本日の刺身盛り合わせ付き」「+1,000円でオマール海老のポアレに変更可能」など、通常のコースメニューなどに追加料金を支払うことで料理のランクを上げる仕組みも効果的。特別感を高めることができて、記念日利用など特別なシーンで選ばれやすく、客単価を上げることで売上アップにつなげることが期待できるかもしれません。
(5)セットメニューを開発する
セットメニューも客単価アップにつながりやすい商品。ランチタイムなら、単品よりもドリンクや小鉢、サラダ、デザートなどをセットにして「お得なセットメニュー」として打ち出すと注文率が上がり、無理なく客単価を上げられます。ディナータイムならドリンク1杯+お通し+小皿料理の「晩酌セット」などを作るのもいいでしょう。これにより、集客が増え、売上を上げる方法としても効果的です。
(6)接客時の声掛けで追加注文を促す
「追加でドリンクをお持ちいたしますか」「こちらが今おすすめのメニューです」「食後にデザートはいかがですか?」などの声掛けで、さりげなく追加注文を促すことも重要です。ただし、押し付けにならないように、声掛けのタイミングや言い方には注意を払う必要があります。スムーズな注文につながる自然な声掛けの方法をスタッフ間で共有しておくことも、売上アップのための成功のポイントになります。
客単価を上げる上での注意点
こうした施策を行う際は、必ず店舗のコンセプトや客層を考え、「どのメニューをどの価格帯で提供すれば最も顧客満足度が高まるか」を見極めることが大切です。客単価を上げようと高価格帯のメニューを押し出すばかりで、肝心の味やサービスがおろそかになっては本末転倒です。また、原価率が高くても注文率が高いメニューなら、集客手段としてそのまま残しておき、原価率が高すぎて赤字になってしまうメニューなら「1日限定10食」として希少価値を出しつつ注文を抑えるといった工夫も必要です。
売上アップのために改善できることはたくさんあります。まずはこれまで紹介した基本的な考え方や対策を参考にして、店の売上(=客数×客単価)の見直しを図り、顧客満足度の向上に努めて「支持される店づくり」に励んでいただきたいです。
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