2013/03/12 特集

注文数が増える! 売りたいメニューが売れる! メニューブックの極意

店からの明確なメッセージを伝えるツール、それがメニューブックだ。そこには、ターゲットに向けた様々な狙いがある。繁盛店のメニューブックを使った販促から、その極意を考察してみよう。

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店舗コンセプトと、時流を捉えた戦略を具現化するメニューブック

【東京・銀座】韓国串焼と鉄板台所 けなりぃ 銀座本店

Point1 今イチオシのコースとコンセプトを打ち出す
現在のいちおしメニューを最初に大きく掲載。トレンドのサムギョプサルを「けなりぃ」風にアレンジしたコースで、韓国の食文化である「五味五色」もしっかりとアピールしている

Point2 地は白で統一し、清潔感をアップ
女性を意識し、地色を白に統一して明るさと清潔感を強調した。女性誌のようなおしゃれ感も特徴的

Point3 キーワードは"ワクワク感"
4種類の特製ソースを写真とコメントでアピール。こうした同店のこだわりを伝えるとともに、目で見て楽しむ要素を付け加えることで、食べる前の「ワクワク感」を喚起する

五味五色を打ち出し、野菜料理で女性客をつかむ

「メニューブックは店の戦略を実行するための戦術のひとつ」と、メニューブックの位置付けを明快に語るのは、韓国料理店「けなりぃ」を展開する、株式会社ハートリンクカンパニーの石崎弘美副社長。「『けなりぃ』には確固としたコンセプトがあります。それをお客様に伝えるためには、時流を意識したメニューを提案し、お客様の心をつかむ必要があります。それが戦略であり、メニューブックは戦略を進めるツール、つまり戦術なのです」と強調する。

「けなりぃ」のコンセプトとは、世界でもっとも野菜を食べる国のひとつと言われる韓国の料理を、日本の旬の野菜を使って楽しんでもらうこと。韓国の食文化「五味五色」(5色の食材を5種類の味付けで)に基づくヘルシーさをアピールし、ターゲットを女性に定めた。

このコンセプトを発信するためにまず打ち出したのが、オープンまもなくから始めたランチブッフェだ。野菜をメインにした20種類以上の料理を月替わりで提供し、一躍人気店に成長。また、ディナーのコースでは、一部の野菜を契約農家直送にするなどして、常時20種類以上の野菜をお替わり自由にし、同店らしさを具体化している。

こうした「けなりぃ」ブランドをしっかりと表現しているのが、同店のメニューブックの特徴だ。まず冒頭に、図鑑のように野菜の写真を並べて、期待感を喚起。続いて、現在もっとも力を入れているコースメニューを大きく打ち出した。トレンドのサムギョプサルを、「けなりぃ」らしくアレンジした2つのコースを見開きで掲載し、次の見開きでは季節感と女性のニーズを取り入れた鍋のコース。さらにページをめくると、新規客向けにおすすめ料理で構成した「お気軽ミニコース」が続き、その後、アラカルトへとつながる。

「以前はアラカルトメニューを前面にアピールしていたのですが、予約なしで来店されたお客様にも、コース料理を提供できる店舗力がついたので、当店をより楽しんでいただけるコースメニューを前面に出しました」と石崎氏。その結果、好みや利用シーンに応じたコースを案内しやすくなり、売りのメニューも説明しやすくなったという。

ワクワク感を大事に製作。ランチョンシートも活用

メニューブックのデザインにも、女性を意識した戦術がある。例えば、店名の由来である花、ケナリ(=レンギョウ)にちなみ、淡い山吹色で表紙と各ページのアクセントを統一。さらに、紙面の地色は白にして、明るさと清潔感を浮き立たせた。デザインや写真撮影まで、すべてを指揮する石崎氏は、「日本人になじみの薄い料理も多いので写真は必須。詳細も知ってほしいので、簡単なコメントを付けました」と語る。また、「ワクワクする内容であること」を目指し、女性誌のような華やかさと、読んでおもしろいことを重視する。

そのほか、ディナー用とランチ用の2種類のランチョンシートを用意。特に月替わりのブッフェの内容や、様々なイベント情報などを盛り込んだ昼のランチョンシートは、石崎氏が毎月手書きで更新。多くの客が持ち帰る。

「お客様より半歩先のトレンドをキャッチした戦略が重要」と語る石崎氏。すでに次の戦略に取り組んでいる。

石崎氏が毎月手書きで更新する昼のランチョンシートは、月替わりのランチブッフェの内容のほか、イベントや姉妹店などの情報が満載。右下の「カムサピョ」は「感謝表」の意味。集めて次回来店時に持参すると特典が付く
20種類の野菜料理とサムギョプサル、スイーツ、健康茶などをブッフェ形式で堪能できる人気のランチ。月替わりで新メニューが登場する
メニューブックの最初の見開きは、「けなりぃ」で食べられる様々な野菜をラインナップ。同店のコンセプトをしっかりと伝える役割もある
アラカルトメニューは切り抜き写真とコメントで特徴を表現。人気料理「けなりぃブルダック」「けなりぃスフレジョン」はページ上部に配してアピール
副店長 長水上 昇氏(右) ホールスタッフ 山本 智恵美氏(左)
両氏ともに1 年半ほど前から、同店に入店。「けなりぃブランド」の発信に、自信と誇りを持って接客と運営に取り組んでいる。
韓国串焼と鉄板台所 けなりぃ 銀座本店
東京都中央区銀座5-11-13 ニュー東京ビルB1
http://r.gnavi.co.jp/b756800/
「野菜をふんだんに使う韓国料理を日本の旬の野菜で楽しむ店」をコンセプトに、2007 年2 月オープン。ヘルシーな韓国料理をアピールして、女性客の心をつかんでいる。

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