求人と面接のポイント
求人のポイント
店は「選ぶ」のではなく、「選ばれる」側。応募者からの電話に細心の注意を!
求人活動で陥りがちな間違いに、「集客と同じ感覚で取り組むこと」を白岩氏は挙げる。「人を集める、注意を引くという意味では、集客と求人の方法は似ています。でも求人は、多くの人に来てもらうことが目的ではないという点が、集客とは違います」(白岩氏)。例えば、新人を採用し過ぎたために、既にいるアルバイトスタッフの勤務時間・収入が減れば、不満が広がり、店の雰囲気も悪化しかねないのだ。
具体的な求人活動としては、求人誌、求人サイト・ホームページなどのWeb、店頭・店内の貼り紙、働いているスタッフや常連客、知人からの紹介などがある。「あらゆる方法を試してみればいいと思いますが、広告費がかからないので、紹介で決まればベストですね。また、最近多いWebでの求人は、応募者がエントリーシートを複数の店に一斉送信できるため、掛け持ち応募が多く、採用率は低くなりがちなのが特徴です。逆に求人誌や貼り紙を見て店に電話をしてくる応募者は、掛け持ち率が低く、採用まで至りやすい」(白岩氏)という。ここで大切なのは、「かかってきた電話は100%面接につなげること」と白岩氏。働く日数や曜日・時間などの条件が合わず、そのとき採用に至らなくても、いい人材であれば、次の求人のタイミングで声をかけられるからだ。
さらに白岩氏によれば、店には①面接で(応募者に)選ばれる店、②面接で(応募者に)選ばれない店、③面接にすらならない店、の3つがあるという。絶対に避けなければいけないのは③だ。「応募の電話に対して、お客様ではないとわかった時点で、応対がぞんざいになる店は少なくありません。今の時代、選ぶのは店側ではなく、応募者であることを肝に銘じるべき」(白岩氏)。応募者からの電話にも、接客と同様に対することが大切。そのためには、店が求人活動をしていることなどの情報を、働いているスタッフ全員が共有しておくことも必要だ。
面接のポイント
応募者へのぞんざいな対応は厳禁!。出会いを次につなげることも大切
面接でも、「見られているのは店の側」であることをしっかり意識し、接客と同じ、もしくはそれ以上のていねいな対応を心がけたい。「時間通りに来た応募者を店の都合で待たせたり、面接シートを書かせて、その間はほったらかしにするなどという"ぞんざいな扱い"は、絶対にやってはいけません」と、白岩氏は語気を強める。
「面接で大事なのは、応募者とどれだけ長く会話が出来るか。面接シートは応募者に書いてもらうのではなく、会話のなかでヒアリングしながら、面接者が書く方がいいでしょう。応募者は"この人の下で働けるか"という目で観察していますから、清潔感はもちろん、信頼感を与える人柄でなくては選ばれません」と白岩氏。お茶なども出して、歓迎することも必要な配慮となる。
また、面接では応募者の現在の状況や勤務条件を、できるだけ細かく把握することが求められる。主婦なら子供の有無や年齢、学生なら一人暮らしかどうか、学業に対する重点度、働きたい理由も押さえておく。さらに、「希望する月の収入額も聞いておくと便利」と白岩氏。これはシフトを組む際、どれくらいの勤務時間を割り当てるかを考えるうえで、大切な事項だ。
もちろん、様々な理由で採用に至らない場合もある。双方が望む勤務時間帯が合わなかったり、応募者が他店と掛け持ちで応募をしていて、選ばれないことも。「大切なのは、どんな場合でも次につながる余地を残しておくこと」(白岩氏)。不採用だったとしても、いつでも声をかけられる関係性を築いておきたい。それぞれの希望条件が変わることもあるし、繁忙期にあらためて声をかけることもできるからだ。さらにいい印象を残せておければ、客として来店してもらえる可能性もある。「せっかく電話までくれた人なのですから、これっきりになったらもったいないですよ!」と、白岩氏は付け加える。