いい人材はこうして確保する
磯一フードサービスの場合
成長できる環境で人材を確保!"人の力"が売上アップにつながる
【大阪・西梅田】旬魚菜 磯一 西梅田店
付加価値のある職場環境を新たなホームページで発信
今年8月、自社のホームページを、人材確保に特化するかたちでリニューアルした有限会社 磯一フードサービス。代表取締役の中野竜次氏は、「店の売上を作るのは人」と、以前から人材育成に力を入れてきた。しかし昨今、飲食業界の人手不足が顕著になり、大阪では特に、梅田の再開発エリアに対して求人が集中。それに伴い、大阪全体の飲食店スタッフの賃金相場も上がったため、経営する居酒屋「磯一」でも、人材の確保に苦戦していた。
そこで中野氏は、それまで行ってきた求人・人材育成に関する施策の整理・拡充に取り組み始めた。その一環として、本格的にホームページで情報を発信することに。求人誌やぐるなびの店舗ページからもホームページに誘導し、トップには、「成長できる環境がここにある」と大きく打ち出した。
さらに、「働く楽しさは、成長を伴ってこそ実感できる」(中野氏)という考えのもとに、「楽しみ」「成長」「収入」の3つを「働くことへのキーワード」として定義。福利厚生の充実(楽しみ)、昇級面接の実施(収入)など、それぞれ具体的な施策を展開する。
なかでも、「成長」に関する取り組みは圧巻だ。アルバイトも含め、全員が無料でいくつでも受講できる各種社外セミナーや、明確な基準で実施される社内の「キャリアアップ育成制度」を用意。また、調理師やフードコーディネーターなどの資格取得を応援し、費用は全額、会社が負担する。ほかにも繁盛店の視察や、それを各店舗にフィードバックする勉強会、ホールスタッフによる「接客向上勉強会」なども実施。商品開発の社内コンテストも企画するなど、あらゆる面からスタッフの「成長」をバックアップしている。
「早速、ホームページを見て社員に応募してくれた女性は、成長したいという意識が非常に高い人でした。そういう人が当社に興味を持ってくれることがうれしいですね。時給以上の付加価値を提供できる会社でありたいと思っています」と、中野氏は熱く語る。
さらに中野氏は、働くうえで安心感を重視する。そのため、社員であれば、個人的なことでもすぐに無料で相談ができるよう、顧問弁護士とも契約。また、全女性スタッフには防犯ブザーを支給して、事件・事故に巻き込まれないように配慮している。新人に対しては、「新人スタッフ世話役制度」を設け、困ったこと、聞きたいことがあったときに頼れる世話役を必ず1人付けて、不安感を与えないように気を配る。しかも、世話役のスタッフにはレポート提出を義務づけ、名ばかりの世話役になっていないか、きちんと機能しているかを確認することも行う。
こうした取り組みで一貫しているのは、「すべての人を大事にする」という中野氏の姿勢だ。「従業員も、取引先も、店にとってはみんなお客様と同じ」と語る中野氏。普段からそういう意識をしっかり持っていれば、誰からの電話も、面接時の対応も、自ずとていねいになるもの。多くのスタッフが「会社に大事にされている」と実感することでモチベーションを高め、それが各店舗の雰囲気をよくし、会社全体の好調につながっている。
中野竜次 氏寿司職人として十数年間、修業を積み、1999年4月に独立開業を果たす。現在、大阪市内で海鮮居酒屋「旬魚菜磯一」など、5店舗を展開している。
旬魚菜 磯一 西梅田店
http://r.gnavi.co.jp/c035003/磯一グループの4号店として、2012年3月にオープン。兵庫・明石をはじめ、全国の漁港から直送される朝獲れの魚介と、生産者から直接仕入れる地野菜が売りの居酒屋。