2015/06/23 特集

チーム力につながる朝礼&ミーティング(3ページ目)

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ミーティングをチーム力につなげるポイント

【1 テーマの設定】メンバーに合わせて設定。議題の組み合わせも効果的

飲食店のミーティングのテーマは、大きく分けると「売上」「顧客満足」「人材育成」「販促」「衛生」「接客」「商品」「コストコントロール」の8項目。すべてを取り上げる長時間の会議もありますが、通常のスタッフミーティングでは、テーマを絞った1時間ほどのコンパクトな会議を心がけてください。アルバイトが参加する場合は、より身近で興味の持てるテーマにするなど、適切な設定が大切です。店長会議などで「今日の会議の目的」を聞くと、バラバラの答えが返ってくることがあります。会の冒頭に、テーマや決めることを再確認して、参加者の目的意識を統一することも重要ですね。

また議題には、「マイナスからゼロ」(できていなければならないこと)と「ゼロからプラス」(やるとよいこと)の2種類があります。前者は気持ちが重くなり、逆に後者はワクワクする。例えば両者を組み合わせて、前者を先に話し合い、後者で士気を上げる、あるいは、前者はトップダウンで決め、ミーティングは後者のみに絞るというやり方も有効なテクニックです(工藤氏)。

【2 告知・事前準備】開催を全員に周知徹底。事前に会の流れを想定

ミーティング開催の告知は、全員に伝わることが大前提です。会で決まったことは必ず実行するので、「開催を知らなかった」というメンバーがいてはいけません。月1回の開催なら、1カ月前には開催を告知。テーマを伝えて参加者にアイデア出しを呼びかけておくことも、ミーティングを活発にするために有効です。

ミーティングを進行する店長には、資料作り以外にも事前の準備が必要です。タイムスケジュールを作り、時間内で十分な議論をして、着地点に到達するように仕切らなければいけません。そのための準備が「シミュレーション」です。誰にどんなタイミングで発言を振るか、空気が重くなったときは誰の発言が有効かなど、メンバーの性格も考慮しつつ、進行をイメージしましょう。

初めはシミュレーション通りにいかないかもしれませんが、繰り返すうちに、店長は先を見通せるようになり、仕切りのスキルも上がります。そうなれば、スタッフにとっても、会議自体が成長できる場になり、参画意識がさらに上がるはずです(工藤氏)。

【3 会議の進行】全員に発言する機会を。ロールプレイングの活用も有効

ミーティングの進行では、全員が発言できるように気を配ることが大切です。参加者の様子を見ながらバランスよく発言を促しましょう。先輩の発言の後に逆の意見は言いにくいものですから、最初に新人スタッフに意見を聞くのも1つの方法です。そして、どんな意見にも否定的な言葉は厳禁。意見が異なる場合は、問題提起ではなく、改善の提案をする意識が参加者全員に必要なのです。

また、意見がまとまらず、時間切れになって何も決まらないという事態を避けるため、「意見出しの時間」と「議論する時間」を分けるやり方があります。あらかじめ「最初の20分間で自由に意見を出し、そのあと30分で議論する。決まらなかったら多数決」と宣言しておくのです。時間内で決まらなければ多数決になってしまうので、真剣な議論を引き出すことができるはずです。

接客など実技を伴ったほうがわかりやすい議題の場合は、ロールプレイングを取り入れてもいいでしょう。体を動かすことで気分転換になり、場も盛り上がります(工藤氏)。

【4 実行・振り返り】具体的な行動指針を作成し、実行・継続・評価の仕組みを構築

ミーティングで決まったことは、実行しなければ意味がありません。しかし、決定事項が漠然としていて、行うべき行動が具体的でなければ、なかなか実行には移せないものです。

例えば、今月の重点課題として「お客様に料理の感想を聞く」ことが決まったとして、具体的に「いつ、どの客に、どのように、何人に、何を」を決めていないと、スタッフの動きは鈍ります。細かい行動指針まで決めて、初めて実行につながるのです。

ただし、行動指針を決めるだけでも不十分です。決めたことや行動指針を、朝礼や終礼で繰り返し提起し続けるほか、業務中にも声をかけて思い出させる役回りの人、いわば「推進隊長」を任命するなど、実行・継続できる仕組みを作ることが大切なのです。

こうして実行した取り組みは、次のミーティングで必ず振り返り、効果を検証します。もし実効性が乏しいとわかったら、中止するか、やり方を変えたり、別の作戦を話し合うなどして、PDCAサイクルを回していけばいいのです(工藤氏)。

ミーティングで使えるコミュニケーションテクニックで、さらにチーム力アップ!

「質問力」「ポジティブワード」で建設的な議論と良好な関係を構築

朝礼やミーティングでは、司会進行を務める人のコミュニケーション力が、成功のカギを握ります。

そこで重要になるのが「質問力」。例えば、トラブルの理由を聞く場合、「なぜ、そうなったの?」と聞くより、「何が原因?」と聞くほうが答えやすい。前者は、“人”にスポットがあたり、責められているように感じるのに対し、後者は原因となる“モノ”にスポットがあたるので、聞かれた人も客観的な視点が生まれるからです。また、「はい」「いいえ」だけで答えられるクローズドクエスチョンを避けたり、「いいね」「おもしろいね」「ありがとう」など、前向きな言葉を使うように意識することで、話題が膨らんだり、自由な意見を積極的に出しやすい雰囲気をつくることができます。

ほかにも、いきなり本題に入らず、雑談や感謝の言葉をかけて、場をなごませる「アイスブレイク」を入れて、緊張をほぐすことも大切なテクニック。スタッフの成長段階に応じて、発言を振るタイミングや質問の内容を変えることも重要です(工藤氏)。

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