飲食店において、チーム力の向上の土台を作るために、欠かせないのが朝礼やミーティング。これらを、より実のある内容にするためにはどう取り組めばよいのか。ポイントを株式会社アンドワークスの工藤昌幸氏に聞き、朝礼などに力を入れている店舗の取り組みを紹介する。
今回お話をうかがったのは
店のPDCAサイクルを円滑に回すことが目的
始業前の朝礼や、定期的なミーティングは多くの飲食店が実施しており、なかには、中礼や終礼を行う店舗もある。いつ、どこで、どのように行うかは、業態や規模、メンバー構成や営業時間などによって様々だ。
「いずれにしても、朝礼やミーティングには、飲食店にとって欠かすことのできない重要な意味があります」と、株式会社アンドワークスの工藤昌幸氏は指摘する。飲食店の経営は、“人”に依るところが大きいため、「スタッフ全員を店の理念や目標に向かって引っ張っていかないと、いい店にはなりません。朝礼やミーティングは、そのための潤滑油であり、アクセントなのです。この重要性をしっかりと認識して、1回1回を意味のあるものにする努力や工夫が大切です」と、工藤氏は強調する。
では、朝礼やミーティングの目的とは何なのか。「それはPDCAサイクルを円滑に回すこと」(工藤氏)だ。
「PDCAサイクル」とは、戦略(P)→実行(D)→評価(C)→改善(A)を繰り返すこと。生産やサービス事業の管理・改善手法の1つで、このサイクルをシステム化して確実に行うことで、事業全体の質をらせん状に上昇させることができる、というもの。飲食店でいえば、店の戦略や方向性を明確にし、全員で実行し、その結果を評価し、改善点を挙げて対策を練り、次の戦略を立てるというサイクルを繰り返すこと。これが、チーム力の向上や、ひいては、顧客満足度や売上のアップにもつながるのだ。
「朝礼やミーティングは、PDCAサイクルのP・C・Aの3つを行う貴重な場です」と工藤氏(下図参照)。「飲食店は、その日その日で仕事が完結するので、毎日のPDCAサイクルを円滑に進めるために、朝礼が非常に重要になります。同時に、週間や月間、あるいは年間のPDCAサイクルを推進するために、定期的なミーティングが必要なのです」(工藤氏)。
さらに工藤氏は、「朝礼でもミーティングでも、スタッフの士気とモチベーションが上がり、仕事に対する充実感が味わえる内容であることが大事」と付け加える。ミーティングの場で仲間と共有する一体感や達成感が、チーム力を育てることに直結するからだ。
それでは、PDCAサイクルを推進し、士気を上げ、チーム力につながる朝礼やミーティングを行うために注意すべきことは何なのか。その考え方や進め方を、次のページから見ていこう。