2018/09/25 特集

社員&PA採用でミスマッチを防ぐ! 人材補強に失敗しない面接術(2ページ目)

URLコピー

約1時間かけて面接を行い、意欲を持って働ける人材を採用

【大阪・難波】とりとうどんと元気な酒 八風(はっぷう) なんば米印店

条件面の確認をした後、志望動機などを聞き、アンケートを基に、その人の性格などを読み取るための質問を15~30分かけて行う

企業理念や教育方針も説明。最終判断は応募者に委ねる

株式会社八風が運営する「とりとうどんと元気な酒 八風」。店舗は、大阪・なんば米印店と堺店があり、アルバイトの離職率は低く、意欲的に働く人材が豊富だ。その理由を、なんば米印店の店長・池田篤史氏は、「1時間かけて行う面接の効果が大きい」と話す。

2009年の創業当初、同社は簡易的な面接しかしていなかったこともあり、元気のよい接客スタイルを理解せずに入店し、すぐ辞めてしまう人も少なくなかった。そんななか、2012年にオーナーが知人の飲食店経営者から聞いた、時間をかけてコミュニケーションを取る面接法を導入した。

まず応募者には、面接が1時間かかることを事前に伝えておく。「面接が長いと知って辞退する人もいますが、そういう人は仕事への意欲が低い場合が多い。事前告知は、いわば最初のフィルターです」と、池田氏。

面接は、名刺を渡す自己紹介から始まり、将来の夢や働く理由など16項目のアンケートを約20分で記入してもらう。その後、勤務時間の希望などを確認し、志望動機やアンケートに関する質問を行う。その際、注目するアンケート項目の一つが、「今までの人生は運がよかったか」だ。「『はい』と答える人は、人生で起こるできごとに肯定的で、課題にも前向きに取り組める、と考えています」(池田氏)。さらに、ほかの項目も含め、回答の理由を具体的に聞くなど、長いときは30分かけて人間性や価値観を見ていく。そして最後に、自社の教育方針や求める人材について説明し、終了する。

この時点で、意欲などを判断し、店長が「働いてもらいたい」と感じた場合、その場で応募者に働くかどうかを決めてもらっている。その際、「1日考える」「4~5時間考える」「即決」という3つの選択肢を提示しているが、多くの人が即決で入店を決めるという。かつて、この面接を受けた池田氏は、「時間をかけて話をするので、自分のことをわかってもらえ、同時に成長できる場所だと感じることができました」と振り返る。面接する側となった今は、応募者が「ここなら成長できる」と感じられる面接を心がけている。

面接の最初に20分ほどかけて記入してもらうアンケート用紙。項目は「3つ願いが叶うなら何を願うか」「経営理念への感想」など、全部で16問
面接で聞いた志望動機や勤務可能時間などを記入する面接チェック表。「第一印象」「話し方」など10項目の評価項目もあり、面接後に記入する
“人間性を育む”という教育方針や、“理念への共感”など、同社が求める人材要件をまとめた教育・人事方針の用紙。この内容を読んで、育成の考え方を伝える
店長 池田篤史氏
高校時代にアルバイトで入店し、飲食業に魅力を感じて卒業後に社員に。2015年に店長に昇格。将来の夢は自分の店を持つこと。
とりとうどんと元気な酒 八風(はっぷう) なんば米印店
大阪府大阪市浪速区難波中2-10-25
なんばCITYなんばこめじるし
南海本線難波駅近くの高架下にある飲食店街に2013年オープン。昼はカレーうどん専門店、夜は鶏料理を売りにする居酒屋として営業。

全3ページ