2020/03/24 特集

スタッフをまとめ、チーム力UP! 行動派店長のチームビルディング術

アルバイトを中心に、スタッフ構成に変化が起こる春から初夏。自ら積極的に動く3人の店長に、店を1つのチームとしてまとめ、モチベーションを高めるための、日々の取り組みや大事にしているポイントを聞いた。

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「新しいこと」に臆せずチャレンジ! 信頼できる部下を育ててチームを機能

大学では福祉を専攻。卒業後は金融業界を目指すも、株式会社イートジョイ・フードサービスの“人の魅力”に惹かれ、2014 年に新卒で入社。現在は「毎日!北海道物産展 ネオ炉端 道南農林水産部 新栄店」の店長と、同店を含む3店舗のエリアマネージャーを兼任。

店長のやりがいは?
飲食店運営は例えるならチームスポーツ。「自分ができる」より「みんなでできる」という状況が、楽しさにつながっています。

自分の長所と短所は?
学生時代からキャプテンや部長を務めることが多くリーダー気質ですが、チームづくりについては至らないことばかり。それを補うため、セミナーなどで勉強しています。

新たな販促の取り組みがチームのモチベーションに

 名古屋・新栄駅から徒歩数分の「道南農林水産部新栄店」は、大衆居酒屋から業態変更し、2017年にリニューアルオープン。当時から店長を務める桐山貴光氏は、2014年春に新卒で入社した。「すでにいくつか内定をいただいていたのですが、『本当に自分はこの職場で楽しめるのだろうか?』と疑問を感じていたとき、今の会社の説明会を見つけました。大学時代に金融を勉強する過程で社長とお会いしたことがあり、思い切って参加したところ、『この人たちと働きたい』と強く惹かれました」(桐山氏)。内定後は、大学4年生の秋からアルバイトとして勤務をスタート。「新卒入社から1年で店長になった者はいないと言われ、まずはそこを目標に、達成したいと思った」(桐山氏)と、1年での昇格を視野に入れ、2015年春、有言実行で当時勤めていた店舗の店長に。その後、2017年11月、業態変更が決まった「道南農林水産部 新栄店」に店長として異動となり、新たなチームづくりがスタートした。

【桐山流・行動のポイント】
ミーティングの工夫

営業前に毎日行うミーティングの進行は、アルバイトを含むリーダー格のスタッフに任せ、自らは極力発言を控えている。「信頼できる部下を育てるため。自分が不在でもチームが機能し、自発的に目標が達成される環境につながります」(桐山氏)。

他社イベント視察
「S1 サーバーグランプリ」「居酒屋甲子園」を通して知り合った人脈を生かし、他社のアワードイベントなどにも積極的に参加。2019 年からは自社のアワードイベントの担当に。「人材育成を強化し、次なる店長候補を育てたいです」と桐山氏。

 桐山氏がチームづくり、およびそのパフォーマンスを高めるうえで意識しているのが人材配置だ。接客の才能がある人はサービスに、作業が得意な人はとことん作業にと、適材適所を常に心がける。「店全体のバランスを見極めるのが重要。長所は最大限に伸ばし、苦手な部分は補い合えばいい。それがチームだと思っています」と桐山氏。また、営業前後の時間も、チームづくりには欠かせない。「営業前のミーティングでは、その日のリーダー的ポジションのスタッフから、積極的に発言してもらうように心がけています。私が主導権を握ったほうが“しまる”のかもしれませんが、信頼できる部下から発信するほうがチームとしてまとまることも少なくありません」(桐山氏)。営業後には、みんなで軽くお酒を飲むことも多く、そうした「何気ない時間」もお互いを知ったり、想いを伝える貴重な時間になっているという。

スタッフの自信が付き、モチベーションアップにつながり、チーム力アップに直結!
販促への取り組み
「俺たちの努力」で売上アップ!

会員カードを使った販促(本文参照)をオペレーションに落とし込み、店を挙げて注力。会員を増やし、常連やジョッキの数が増え、売上目標が達成されていく過程で、スタッフの努力の成果が目に見えてわかることが達成感につながった。

スタッフへの落とし込み
オリジナルのマニュアルを作成!

新栄店で始めた会員カードは現在アプリ化し、「道南農林水産部」6店全店で実施。桐山氏が店での気づきや会員獲得のシステムをまとめて作成したマニュアルが大きく貢献している。これをもとに人材育成の手引きも作成し、スタッフ研修に活用。

 一方、スタッフ全員で販促に取り組んだことも、チームづくりに一役買った。実は新栄店に先駆け、2017年5月より同業態の営業を始めた「道南農林水産部 錦店」が、リニューアル前の月商に比べて爆発的なヒットを記録。ところが、新栄店では思うように売上が伸びず、苦戦が続いていた。そんななか、桐山氏が上司から提案されたのが、特典付きの会員カードの配布だった。そのシステム(当時)は、①初来店から2週間以内の再来店でハイボールが何杯でも10円、②2度目の来店からさらに2週間以内のリピートでドリンク全品半額、③その次の来店で名前入りマイジョッキをプレゼント、というもの。「社内で前例がなく、大変なのはわかっていましたが、当時は何でもやってみよう!という状況。エリアや客層との相性も良さそうだと判断し、挑戦しました」(桐山氏)。カードを配布する際の接客は、桐山氏が中心となって作成したマニュアルをもとにトレーニング。月1000枚以上を配布した結果、リピーター・売上が大幅に増加し、スタッフのモチベーションアップにもつながった。「業務を普通にこなした結果ではなく、自分たちの努力の成果だということが目に見えてわかることが大きい」と桐山氏。販促の取り組みと接客の強化が両輪となって、チーム力がアップした形だ。

様々な業務を通して、店の司令塔となるスタッフと綿密にコミュニケーションをとることを意識。機能するチームづくりの重要なカギとなる

 目下の目標は「成功体験が得られる場を提供し、社内の仕組みづくりに貢献すること」だという。その一環で最近取り組んだのが、自社アワードイベントの運営だ。「アワードイベントは今年が初の試み。これも“やってみよう”精神で担当しました。会員カード同様、0を1にするチャレンジが多く苦労もありますが、何事も成功に結びつけ、いいチーム、いい会社を作っていきたいです」と意気込んでいる。

毎日! 北海道物産展 ネオ炉端 道南農林水産部 新栄店(愛知・新栄)
愛知県名古屋市中区東桜2-18-24
https://r.gnavi.co.jp/n054003/
北海道の生産者から直送される新鮮な食材を、エンタメ感あふれる演出で提供。「発酵!痛風鍋」(写真)などを売りに、近隣で働くビジネス層を中心に幅広く集客する。80席ある店内には大きな生簀も配し、ライブ感満載。

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