2020/07/16 特集

衛生を「見える化」して選ばれる店に! “withコロナ”の衛生管理(2ページ目)

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【できることから始めよう!】来店客を、スタッフを、店を守る衛生管理

衛生はビジネスチャンス! 各種補助金も活用しよう

 飲食店の感染予防策と衛生管理は、今後も重要性が増すことは明らかだ。飲食店に期待される要素が変化しており、「その中で、衛生はビジネスチャンスの1つになりうる」と白川氏。衛生のレベルを上げることが、来店客を守り、スタッフを守り、店を発展させる要素になるからだ。

 また、政府の感染予防ガイドラインなどを参考に、すでに対策に取り組んでいる店は多いが、白川氏は「大切なのは習慣化し、レベルを上げること」と指摘する。一過性に終わらせない体制づくりと実践が大切だ。ただ、ネックの1つは経費。消毒液やマスクの購入、店によってはアクリル板や換気設備など予定外の出費は避けられない。それに対して、「各種補助金が出ているので、積極的に利用しましょう」と白川氏。「例えば、経済産業省『小規模事業者持続化補助金』の『コロナ特別対応型』や『事業再開枠』、第2回も予定されている農林水産省『外食産業におけるインバウンド需要回復緊急支援事業』など。政府や自治体から新規事業や追加申請が突然、告知されることもよくある」(白川氏)ので、政府や自治体のホームページを小まめにチェックしよう。加えて、観光や外食の需要喚起策「GO TO キャンペーン」が予算化済み。開始時期は未定だが、集客につなげる準備を進めたい(いずれも6月下旬の取材時)。

 コロナ禍において人との距離を、2m(最低1m)空けるソーシャルディスタンス(フィジカルディスタンス)を取ることが求められている。それが無理な場合は、アクリル板やシートなどで仕切りをすることが推奨されている。「家族や友人同士ではなく、特に知らない人と隣り合ったり対面したりする場合は、不特定多数の人が濃厚接触することを防ぐため、距離を確保したり、仕切りがあったほうがよいでしょう。仕切りを固定すると席稼動率の低さにつながるので、来店人数やグループの規模、利用シーンに合わせて可動できるタイプを活用すると便利」(白川氏)。また、シートなどでテーブルを仕切り、半個室風にするのも一案だ。

鼻が出ていたらマスクの効果はない。鼻の部分にワイヤーが入っているものは、しっかり鼻の形に合わせる

 マスク着用は感染予防策の重要行動。「単に装着するだけでなく、『正しく』着けることが肝心で、鼻と口をしっかりと覆うことも大切」(白川氏)。なぜなら、ウイルスは、鼻と口の中に多く、鼻水や唾液など飛沫を介して感染しやすいから。また、食べ物に付いて毒素を作り、食中毒の原因菌となる黄色ブドウ球菌も、多くの人の鼻の中にいることがわかっており、何気なく鼻を触ると菌が手指に付着してしまう。コロナ対策としても食中毒対策としても、マスクは正しく着用し、オーナーや店長らが率先して確認・徹底を。

厚生労働省のサイトに掲載されている「正しい手の洗い方」。ダウンロード・印刷して活用可能

 手洗いは衛生管理の基本中の基本。しっかりと習慣化しよう。大切なのは、「別の作業をする」「行動を変える」タイミングで手を洗うこと。例えば、料理を提供する合間に、会計作業をする場合は、会計行為の前後で手洗いが必須。「サーブ中は手袋を装着し、行動を変えるときには『手袋をとって手洗い→手指消毒→手袋交換→手指消毒』を行うのが理想的」(白川氏)だ。また、トイレなどに手洗いの啓蒙ポスターを貼付し、来店客にも協力を促したい。

横浜のお好み焼き・もんじゃ焼き店「杏子(あんず)」では、調味料は入店・退店ごとに引き上げ、かつ、容器をアルコールで消毒(写真左)。手指消毒用のアルコールボトル(写真右)は、目立つ場所に置いたり、声掛けをしたりして気持ちよく使ってもらうための工夫を

 「店内のドアノブ、テーブル、椅子などの設備や厨房機器は、殺菌効果の高い次亜塩素酸ナトリウム水溶液で消毒。『○分に1回』など消毒の頻度とタイミングを決めると習慣化しやすく、予防効果が高いです。一方、調味料の入れ物、カトラリー、メニューブック、オーダー端末など、来店客が手に取るものや口に入れるものはアルコール消毒が原則」(白川氏)。来店客自身に消毒を行ってもらうことも一案で、入店時の手指消毒はもちろん、各テーブルに小さめのアルコール消毒液ボトルを置いて、自由に使ってもらってもいいだろう。「食品添加物用のアルコールは無害なので、箸に吹きかけても問題はないこと、濡れた手や場所にアルコールを吹きかけると、濃度不足で効果が薄くなってしまうことなども伝えるとよいでしょう」(白川氏)。

 室内に空気が滞留すると、ウイルスにさらされる危険性が高くなる。特に夏は冷房を効かせるために店内を密閉しがち。地上階の店舗なら、定期的に窓を開け、空気の入れ替えを行おう。「ただし、窓やドアを開放すると、ホコリや虫が流入し、別の問題が発生する可能性が。網戸などでの対応が難しい場合や地下の店では、外部の空気を取り入れて内部の空気を押し出す陽圧式の換気システムや、強制的に空気の入れ替えを行う換気設備の導入を検討しましょう」(白川氏)。

 「スタッフの検温は、食品関連事業者の必須事項。全員の計測結果を記帳・保存し、熱があれば就業させない。また、スタッフの基礎疾患を把握するなど健康管理を行うことは、事業者の責任です。スタッフの異変にいち早く気がつくことで、適切な対応を迅速に取ることができ、スタッフを守り、お客さんを守ることにつながります」(白川氏)。さらに、コロナ対策としては、来店客に対して非接触型の体温計を使って検温することを取り入れている店舗も多い。発熱している人の入店を断ることは、店としては心苦しいが、感染予防策の一環と捉えることが大切だ。

 現金を介した接触を避けるため、会計のキャッシュレス化もコロナ対策の1つ。クレジットカード決済では、スタッフがカードを預かることが一般的に丁寧な接客とされてきたが、来店客自身が端末に差し込むスタイルも増えてきた。「今までのサービスを、感染予防の観点から見直すことも必要。現金授受の場合は、支払うトレイと、釣り銭を渡すトレイを別にすると、スピーディーに対応できます」(白川氏)。

上のグラフは、飲食店の衛生管理について不安に思う点をユーザーに聞いたもの。コロナ禍で新たに必要になった「ソーシャルディスタンス」「マスク着用」に対する項目がトップに来た。また、来店客・スタッフともに、「体調不良」も上位に。出勤や入店可否の基準をしっかり決めておく必要があるだろう。

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