2020/07/16 特集

衛生を「見える化」して選ばれる店に! “withコロナ”の衛生管理

終息のきざしが見えない新型コロナ。2020年6月には、食品衛生の国際管理基準である「HACCP(ハサップ)」も義務化。今後の飲食店に求められる衛生管理のあり方を、衛生管理の専門家・白川淳一氏に聞いた。

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今回話を聞いたのは… 株式会社はじまりビジネスパートナーズ 代表取締役 白川淳一氏
中小企業診断士・HACCPコーディネーター・JFS-A/B規格(セクター:E/L)監査員。1981年生まれ。学生時代は生物学を専攻し、微生物学や免疫学を学ぶ。株式会社ピックルスコーポレーションで営業や子会社役員を経験し、工場新設やHACCPの対応を学ぶ。株式会社読売広告社では消費者の購買行動の分析業務に就き、現在に至る(2020年7月末より株式会社化)。食品事業者へのHACCP導入支援をする傍ら、商品開発や資金調達の支援など、経営全般を得意とする。飲食店の新型コロナウイルス対応においては、衛生管理や事業継続計画(BCP)、制度融資などの面からサポートしている。
https://hajimari.co.jp/

【これからは店を選ぶ基準が変化?】コロナ禍で顕在化した衛生管理の重要性

コロナ感染予防策は、HACCP対応も含めて

 感染再燃や“第2波”が心配されるコロナ禍においてクローズアップされているのが、飲食店の感染予防策だ。消費者の多くは「外食はしたいが、感染は避けたい」と考えており、安全で安心できる飲食空間は、切実なニーズとして高まっている。中小企業診断士で衛生管理にも詳しい、株式会社はじまりビジネスパートナーズの代表・白川淳一氏は、「今後、飲食店の集客において、間違いなく感染予防策が1つのフックになります」と断言する。「個人の温度差はありますが、気にする人が増えているのは確実。衛生管理にどれだけ取り組んでいるかが、店の評判を大きく左右するでしょう」と語る。

 同時に、白川氏が指摘するのは「新型コロナの感染予防策は、食品衛生の視点から見ると、新しいことでも特別なことでもなく、基本中の基本」であること。手洗い、アルコール消毒、手袋の装着、検温などの体調管理、店内消毒などは、「食品を扱う事業者なら、本来は当然のルール。食品工場などでは厳しく遵守されている重要事項」(白川氏)だ。食品の衛生管理の目的は、細菌やウイルスを抑制することであり、この点でコロナ対策と根は同じ。つまり、飲食店が本来行うべき衛生管理の重要性が、新型コロナを契機に顕在化したと言っていい。

 加えて、2020年6月には、食品の衛生管理手法の国際的なスタンダード「HACCP」(ハサップ)が、すべての食品関連事業者に義務付けられた。HACCPとは、「Hazard Analysis and Critical Control Point」の略で、食品の安全を脅かす要因を分析し、それを取り除くために必須の工程を管理する手法を指す。東京五輪をにらんだインバウンド対応政策の1つでもあり、日本の飲食店などの衛生管理レベルを大幅に引き上げる狙いがある。来年6月までは移行期間として猶予されるが、それ以降は、小規模の飲食店も例外なくHACCPに沿った衛生管理が求められる。ハードルが非常に高いように聞こえるが、HACCPは何らかの「認証を取得」するものではなく、その考え方を取り入れた衛生管理をそれぞれの実情に合わせて「導入」すればよい。「非導入の店が食中毒などの事故を起こせば、営業停止、営業許可取消といった厳しい処分もありうる」と白川氏。そもそも、新型コロナの感染予防策は待ったなしな上、「コロナ対策を万全に行えれば、飲食店に必要なHACCPの8割はクリアできるので、その後の導入もスムーズ」(白川氏)。この機会に両方同時に取り組めば一石二鳥といえる。

 ちなみに「HACCPでは、全メニューの温度管理が必須で、保管においては菌類が特に増殖しやすい20~60℃の温度帯を避けることなどがポイント。調理前後の動作、すなわち、食材管理の方法、厨房機器の消毒、スタッフの体調管理・手洗い・消毒、ホールの清掃・消毒などを整理し、そこに感染予防策であるソーシャルディスタンス、換気、来店客への検温と消毒などを加えると、『店の衛生マニュアル』を作ることができます」と白川氏は提案する。そして、計画表(下)を作って日々実行し、チェック表(下)に記録することでコロナ対策もHACCPもクリアでき、店の感染予防策と衛生管理が「見える化」される。これがスタッフにも来店客にも、大きな安心材料となることは間違いない。

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