店で来店客が最初に口にする「お通し」。最近は消費者のニーズの変化から、提供を廃止した大手チェーンもある。そんななか、お通しに様々な工夫をこらし、来店客の満足度を高めている店を取材。集客力を高めるお通しの人気の秘密を探る。
お客が喜ぶお通し【その1】
26種類から選べるお通し。追加注文や予約する客も
【福岡・南福岡】博多もつ鍋 宗家 赤門屋
選べるお通し26種(各330円 追加3品800円、5品1,300円)
カウンター席前に並ぶお通し用の惣菜26種。客は入店後すぐにこのなかから1種類を選ぶ
もつ鍋を売りにした、福岡・南福岡の店。1981年のオープンから同店の名物となっているのが、「選べるお通し」(330円)だ。来店客には、カウンター席の前に並ぶお通し用の惣菜26種から好きなものを1つ選んでもらい、ファーストドリンクとともに提供。枝豆などの定番のほか、揚げ物、煮物、酢の物などをそろえる。なかでも特に、豚のタンを味噌で煮込んだ「タン甘辛煮」が人気。
また、このお通しは追加注文も可能で「追加3品セット」(800円)、「追加5品セット」(1,300円)を用意(単品も可)。グループ客の多くが追加3品を注文するという。売り切れてしまう惣菜もあるため、事前に取り置きの予約を入れる客もおり、来店の目的の1つとなっている。
福岡県福岡市博多区竹丘町1-4-3 南福岡パークホームズB1
http://r.gnavi.co.jp/724u3d5c0000/
高級食材を使った料理を月替わり&予約優先で提供
【神奈川・藤沢】海鮮 鎌倉野菜 まつだ家
セイコ蟹(雄のズワイガニ)(1名1杯432円 写真は6名分)
予約をしてくれた先着10名までに出す月替わりの高級お通し。毎年12月は茹でたセイコ蟹を1杯提供
海鮮料理と鎌倉野菜、日本酒にこだわる居酒屋。お通しは「予約してくれた人の中から先着10名」「それ以外の前日までの予約客」「当日予約とフリー客」に分けて3種類(すべて1名432円)を用意している。先着10名分はセイコ蟹などの高級食材を月替わりで提供。前日までの予約客にも、のどぐろなどで特別感を感じてもらう。そして当日予約とフリー客用には、こだわりの汁物。こちらは、予約なしで毎週来店する常連を飽きさせないために、週替わりにしている。
高級食材は、店主の髙橋章芳氏が生産者と信頼関係を築き、安く仕入れられるルートを確立し、低価格を実現。客に 満足感を与えつつ、先着順にすることで早めの予約獲得にもつながっている。
神奈川県藤沢市南藤沢20-1 門倉ビル6 B1
http://r.gnavi.co.jp/gaw7700/
驚きのボリューム! 蓋を開けると湯気が上がり歓声も
【東京・新橋】かき小屋 新橋
牡蠣とムール貝のガンガン焼き(500円 写真は2人前)
殻付きのまま豪快に蒸しており、最後に旨みのあるスープも楽しめる。このお通しの後に生、焼きで牡蠣を楽しむ人が多い
牡蠣をはじめとする魚介を豪快に浜焼きで食べるのが売りの「かき小屋 新橋」で、お通しとして供するのが「牡蠣とムール貝のガンガン焼き」(500円)。驚くのは、そのボリューム。1人前で牡蠣3個、ムール貝2個が入る。蒸しあがった状態で客席に運ばれ、蓋を取ると湯気が上がるため、来店客からは歓声が沸くことも多いという。牡蠣は看板の素材でもあるので、蒸し、生、焼きをひと通り味わってもらいたいと考え、まずは味わいのある蒸し焼きで提供しているという。
また、あらかじめ味を付けて食べやすくしており、底に残るスープも絶品。このお通しを追加で注文する人もいるほどだ。
東京都千代田区内幸町1-6-1
http://r.gnavi.co.jp/g203630/