代々木公園「パケモンテ」は日本初の「フラン・パティシエ」専門店!外パリサクッで中トロリの、最上級おやつ

フランスの伝統菓子「フラン・パティシエ」の専門店は、日本初。2024年2月、代々木界隈というスイーツ激戦区に誕生した「パケモンテ」が提案するフランは、ひと味もふた味も違います。半年も経たずしてインスタグラムフォロワー数1.8万人(2024年6月現在)。映えだけではありません、その圧倒的なおいしさを深掘りします。

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「フラン・パティシエ」

PAQUET MONTÉ(パケモンテ)(東京・代々木公園)

今回はフランスをキーワードに、今注目の的となっているフランスの伝統菓子「フラン・パティシエ」にスポットを当てます。

フランス菓子に詳しい人は、画像を見て「これ、フランなの!?」と思うことでしょう。今回は、"生きがいはおいしいランチとスイーツ"というフードライター 小田中 雅子さんが、東京・代々木公園にある「PAQUET MONTÉ(パケモンテ)」の「フラン・パティシエ」を紹介。

フランとはどんなお菓子なのかを説明しつつ、「パケモンテ」が提案する美しき進化系フランの素晴らしさをリポート。併せて、お店から伺った専門店オープンに至った経緯や、商品の開発秘話もお伝えします。

小田中 雅子
フードライター。新聞社系メディアのグルメ記事でライターとしてのキャリアをスタート。以後、ぐるなび媒体「dressing」など主に飲食関連のWebサイトで記事を書いている。ランチやスイーツ、パンなどのグルメ情報が得意。特にランチはその日の幸福度を決めると信じ、店選びに1時間以上かけるほど、おいしいランチ探しに余念がない。

スイーツの名店がそろう代々木公園に誕生した、隠れ家ショップ
フランスの国民的おやつが、”洗練されたスイーツ”に進化
サクサクで美しいパイと、プルプルでトロリとしたフラン生地
日本の人にも知ってほしい! 愛され菓子フランの魅力
愛らしいパッケージも人気の秘密

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スイーツの名店がそろう代々木公園に誕生した、隠れ家ショップ

スタイリッシュな店名ロゴ。店のどこを切り取ってもヨーロッパの香りがする

代々木公園から代々木上原にかけてはベーカリーやパティスリーの人気店がひしめくエリア。このスイーツ激戦区に全国のスイーツファンが注目する店が誕生しました。日本初のフランス伝統菓子、フラン・パティシエの専門店「パケモンテ」です。

店舗の外観。石を敷いたアプローチの先にドアがあり、まるでおうちに遊びに来たような気分(画像提供:パケモンテ) 

代々木公園駅や代々木八幡駅から少し歩くと、周りは閑静な住宅街。スマホのmapを頼りにたどり着いた先には、路地奥に外壁がシルバーのモダンな民家が見えてきました。看板もなく、玄関脇にある店のロゴマークだけが目印。まさに隠れ家そのもので、宝探しをしているような気分になります。

「パケモンテ」は百貨店での催事でデビュー後、2024年2月1日に実店舗をグランドオープン。待ち兼ねた大勢のスイーツ好きが訪れ、静かな住宅街にたちまち行列ができる人気ぶり。現在は少し落ち着いてきたとのことですが、取材で訪れた日は平日の午後にもかかわらず人が絶えず、閉店までまだ時間があるのに、ガラスケース内のお菓子はどんどん少なくなっていきます。

  • 1階はスタンディングのカウンター席とオープンキッチン。甘い香りに包まれてお菓子がいただける、特等席
  • 2階個室(予約制:室料2,000円)ここでお菓子を撮影すれば、映えること間違いなし(画像提供:パケモンテ) 
入り口・ガラスのショーケース。フランと、テイクアウト用の三角パッケージ

以前は普通の住宅だったという建物を1階、2階共にフルリノベーション。モダンな外観ですが、中はシンプルにシックな内装になっています。中に入るとすぐに商品が並んだガラスケースがあり、テイクアウトの際は、ここでオーダー。奥にはスタンディングスタイルのイートインカウンターがあり、その前はスタッフが忙しく働くオープンキッチンになっています。

2階への階段を上がると、すぐに個室と、パイ生地を作るための専用キッチンがあります。1階は華やかながら落ち着きのあるピンク、2階はダークグリーンと洗練された色使いで、大人がゆっくりと過ごせる空間になっています。

フランスの国民的おやつが、”洗練されたスイーツ”に進化

フラン・パティシエ4種。左手前から時計回りに「チェリー&チョコレート」「純黒糖」「バニラ」「グリーンアスパラガス」。フランを乗せる紙皿は、銀のトレイをイメージ

フラン・パティシエとはどんなお菓子なのでしょうか。シェフパティシエの 本田 珠美さんに尋ねてみました。

「『フラン・パティシエ』は国民的おやつとして古くから親しまれているお菓子です。パリを訪れたとき、フランス在住の方が日本だと“みたらし団子”みたいな存在と表現していたのが印象的です。卵と砂糖、牛乳を使ったカスタードクリームのようなフラン液を、パイやタルト、クロワッサンなどの生地に流し込んで焼くというシンプルなお菓子なんです」。

真上から見ても愛らしいビジュアル。ずっしりとボリュームがあり、女性なら1個でお腹いっぱい

素朴で家庭的なお菓子のため、流行とは縁遠かったせいか、あまり日本では知られていないフラン。

プロデューサーを務める 鈴江 恵子さんは、5年間のフランス滞在中に巡り合ったフラン・パティシエのおいしさにすっかり心惹かれたといいます。もっとこのおいしいお菓子を、日本の人たちにも知ってほしいという思いで、本田さんと共に「パケモンテ」のオープンに至りました。

メニューには定番の「バニラ」に加えて、1~2カ月ごとに期間限定で、オリジナルとして開発した旬のフルーツやユニークな素材を使ったお菓子系フランと旬の野菜を使った食事系フランなど、4~5種類が常時用意されています。

サクサクで美しいパイと、プルプルでトロリとしたフラン生地

  • 「バニラ」(900円)。フランスから訪れた人もこの筒形には驚くのだそう
  • パイの美しき”極薄の層”は、本田さんのハイレベルな技術の賜物

一番人気は定番の「バニラ」。筆者もこれが一番好きで、何度でも食べたくなる味わいです。

まずはユニークな筒状の形に注目。パイ生地をこの形にするのは難しかったのだそう。“フランスのおやつ”という気軽さで、まずはガブリと一口。パイ生地はサクサクと軽快に音を立て、フランス産発酵バターのほのかな香りがたまりません。フランはプルンとしつつもトロリとなめらかに口の中で溶けていくバランスが絶妙。甘いバニラの香りにうっとりします。

驚くのは、パイのサクサク度の高さ。極薄の層が幾重にも重なっているパイは、パリのトップシェフたちが手掛ける特殊な製法を取り入れたそうで、本田さんが試行錯誤し、完成させたもの。バターをしっかり使っているのに生地の重さを感じさせません。

フランの底には、パートブリゼと呼ばれるサクサクホロホロとしたクッキーのような食感の生地を使用。このブリゼ生地にはゲランドの塩を使い、欠かせない味のアクセントの一つになっています。

フランの断面。写真左「チェリー&チョコレート」は、大人っぽいピンクとチョコレート色の2層に分かれたビジュアルも抜群。同右「バニラ」は、パイ生地の中にぎっしりとバニラのフランが詰まっている

中に詰めたフラン生地もこだわりがいっぱい。長崎県から取り寄せた完全無添加の飼料にこだわった卵を使用。バニラビーンズは、香り高いマダガスカル産の鞘(さや)を使用し、しっかりバニラの香りを効かせています。

そして、登場を待ちわびるかのように買いに訪れる常連さんが多いという期間限定フラン。訪れた日は、甘い系には「チェリー&チョコレート」「純黒糖」、食事系には「グリーンアスパラガス」が用意されていました。

「パケモンテ」のフランの特徴は、素材の味わいがしっかり感じられること。そのため、どのフランも口の中で異なる表情を見せてくれて、あれもこれも食べたくなってしまいます。

「チェリー&チョコレート」(1,100円)。6月が旬のフランス産グリオットチェリーを使用。グリオットチェリーは、フランスでジャムやタルトなどによく使われる定番フルーツ。このチェリーをフラン液に使用し、さらにチェリーの甘みを凝縮した自家製ジュレをトッピングしている。チョコレート生地には、チョコレート専門店「Minimal」のカカオ68%のクラフトチョコレートを使用。香り高くほろ苦いチョコレートと甘酸っぱいチェリーのコントラストがたまらない
「純黒糖」(1,000円)。沖縄県宜野座で職人が昔ながらの製法で作った黒糖を使用。まるでビターチョコレートのような味わいを持つ。黒糖ならではのまろやかな甘さが、和菓子のような滋味深い味わいをも感じさせてくれる
  • 食事系のフラン「グリーンアスパラガス」(1,000円)
  • 「グリーンアスパラガス」+「ポーチドエッグ」(1,400円)

「グリーンアスパラガス」と「ポーチドエッグ」のフランは、SNSで紹介されるやいなや大バズりしたメニュー。食事系のフランにポーチドエッグをトッピング。卵をカットして、流れ出る黄身が食欲をそそります。このメニューの写真を撮るために、わざわざ訪れる人たちが多くいたのもうなずけます。

日本の人にも知ってほしい! 愛され菓子フランの魅力

シェフパティシエ 本田 珠美さん

「パケモンテ」のオープンに携わったのはプロデューサーの鈴江さんと、シェフパティシエの本田さん。鈴江さんは、老舗「株式会社 中川政七商店」で本店店長などを務めた後、渡仏。5年間のフランス暮らしを経て、帰国後は「中川政七商店」で広報担当として活躍。独立してPR会社を立ち上げます。もともと食に関心があり、カフェ巡りをライフワークにしていたほど。その経験を生かして代々木公園駅近にオープンした隠れ家カフェ「プルミエメ」は、食材や器にもこだわった朝食が食べられると話題になりました。

シェフパティシエの本田さんは、都内の有名パティスリーなどを経て、「ホテルインターコンチネンタル東京ベイ」のパティスリー部門で活躍。独立後はフリーランスで企業の商品開発などを行ってきましたが、鈴江さんと出会ったことで「パケモンテ」のシェフパティシエに就任します。

フランスのおいしいフランを日本に届けたい。そう考えた二人が向かった先はフランス。「フランスでも数年前から伝統菓子フランが注目され始め、各ブーランジェリーやパティスリーが独自のフランを販売していました。私たちは理想のフランを求めて、いろんな店を食べ歩きました」と語る本田さん。

一度パイを焼いた後、フラン液がしみこまないように卵を塗って焼き、最後にフラン液を流し込んで焼く。3段階に分けて焼くという手の込んだ工程(画像提供:パケモンテ) 

研究を重ねた末に、本場より進化した「フラン・パティシエ」が完成。専門店としたのは、フランにオペレーションを集中することでより完成度を高めて、バリエーションを豊かにするため。こうして、日本だけでなく世界のどこにもないフラン・パティシエ専門店が生まれたのです。

「パケモンテ」には2つの大事なテーマがあります。一つは、食品添加物不使用の素材にこだわること、もう一つは古き良きフランスを日本に伝えることです。

香料や着色料を使わず、素材の香りと色をしっかり表現するために、素材をふんだんに使い、本田さんが甘さ控えめ、素材が生きるフランを作り上げます。スイーツというと女性ファンが多いイメージがありますが、男性ファンも多くいるんだそう。甘いだけじゃない奥深い味わいがファンをひきつけます。

愛らしいパッケージも人気の秘密

テイクアウト用の、特徴的な三角のパッケージ。リボンは中のフランの色に合わせている

もう一つの“古き良きフランス”を表しているのがパッケージ。店名にもなっている三角の包みは、昔はフランスでよく見かけたそうですが、今では数少なくなっているのだそう。山(フランス語でモンテ)のような形の包装(パケ)をちょこんとリボンで結んだ可愛いパッケージは、手土産にすれば、話題になること間違いなしです。

他にはないユニークなお菓子、フラン・パティシエは、百貨店からの催事のお誘いも多数。オープン当初の忙しさで対応しきれなかったそうですが、今後はいくつか実現していくのだそう。代々木八幡の隠れ家を訪ねるのも楽しいですが、気軽に百貨店で買えるのも魅力。お近くで見かけたら、ぜひ手にとってみてください。心癒やされること間違いなしのお菓子です。

写真上奥から時計回りに「パルミエパイ」「米粉ショコラサブレ」「チーズクラッカー」(各1カップ/1,000円)。当初からフードロスを減らすことを目標にしてきた「パケモンテ」。パイ生地やブリゼ生地の端材、余った卵の白身を使い、パイやクラッカーなどの焼き菓子を作っている。特に「パルミエパイ」は多数のリピーターがいる
PAQUET MONTÉ(パケモンテ)
東京都渋谷区代々木5-38-13
https://paquetmonte.suzu-pr.com/
東京メトロ千代田線「代々木公園」駅、小田急「代々木八幡」駅より徒歩約4分。住宅街にある隠れ家ショップ。本場のフランをベースに独自に開発した、唯一無二のスイーツを提供。手土産用にオシャレな紙バッグも用意されている。

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