京橋宝町「大衆食堂フクロウ」の“呑めるお味噌汁”が唯一無二で最高!なワケ

昼は具材がゴロゴロ入ったお味噌汁が主力の「定食屋」、夜は「呑める食堂」として、京橋・宝町近隣のオフィスワーカーや住民に愛されている「大衆食堂フクロウ」。白いご飯にはもちろん、酒の肴としても絶好だという”スペシャルなお味噌汁”の魅力を深掘りします。

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「お母さんのお味噌汁」

大衆食堂フクロウ(東京・京橋/宝町)

どこの家でも、日常で当たり前のように食卓にあがるお味噌汁。でも食いしん坊ライターが、唯一無二の味わいのお味噌汁を目当てに、電車を乗り継いででも通ってしまう店があるといいます。

今回は週末の酒場巡りが趣味というフードライター・桑原恵美子さんが、「大衆食堂フクロウ」の「お母さんのお味噌汁」を紹介。ご飯のお供にはもちろん、酒の肴としても秀逸なお味噌汁の秘密を探ります。

桑原 恵美子
フードライター。十数年間にわたり、新聞社系の媒体で大手チェーン飲食店や新オープンの商業施設の飲食店、食品メーカーを中心に取材。ぐるなび媒体「dressing」でも100軒以上の飲食店を取材。「ラクなのに美味しい 驚異の弱火調理法」(三空出版)など料理レシピ本の構成にも携わる。
訪れた飲食店を紹介している個人ブログ:
https://ameblo.jp/amaguri0111/theme-10066247104.html

・昼はオフィスワーカーに愛される大衆食堂、夜は“呑める食堂”
・1杯250円なのが申し訳ないほど、手がかかっているお味噌汁
・地方出身者に家庭の味を提供する「お母さん食堂」
・夜ならではのメニューにも注目!

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昼はオフィスワーカーに愛される大衆食堂、夜は“呑める食堂”

「大衆食堂フクロウ」があるのは、都営浅草線「宝町」駅から徒歩3分、京橋・八丁堀駅・JR東京駅からも徒歩圏内のところ。

大きな白いのれんの奥は全面ガラス張りで、外から中の様子がうかがえる

飲食店がごくまばらなオフィスビル街の裏通りに、オアシスのように突如として現れるのが、愛らしいフクロウが描かれた大きな白のれんです。

店頭の立て看板。昼と夜、2つの顔を持っている

「大衆食堂フクロウ」は、昼はセルフ形式の定食屋、夜は“呑める食堂”として、二つの顔を持っているお店。

  • 1~2人客用。大きなスクエア型
  • グループ客用は、1列に8脚椅子が並ぶ長テーブル

店内は広く、テーブル間もゆったり。窓が大きいため解放感があります。窓近くの四角いテーブルが1~2人客用、その奥がグループ客用とゆるくゾーニングされていて、1人でも入りやすい作りになっています。

昼は主菜から副菜の小鉢までセルフ形式で選んで自由に定食を組み立てるスタイル。ご飯は白米と玄米から選ぶことができ、大盛りも指定できるうえに、おかわり1回まで無料、さらにかつおぶしがかけ放題!

ランチタイムには、揚げ物などのメインや、月替わり3種を含む17~18の小鉢など、常時25種類ほどのおかずを用意していて、いつも近隣のオフィスワーカーたちで大にぎわい。実は私がこのお店に巡り合ったのも、近くの会社を取材した後にランチができそうなお店を探していた時でした。

基本の「豚汁」「鶏汁」の2種に、日替わりでさまざまなアレンジが加わる。この日は「麦味噌豚汁」と「塩麹鶏汁」

ランチタイムの名物は、「豚汁」「鶏汁」2種類の日替わりお味噌汁。7~9種類のゴロゴロの野菜とお肉がたっぷり入っていて、これだけで主菜になるボリューム。日替わりで「柚子胡椒風味」「塩糀風味」などアレンジが変わるので、毎日食べても飽きません。

  • 数量限定のメニュー「本日のおすすめ」
  • 黒板に書かれた推しの夜メニュー

夜は、メニューが一転。居酒屋好きのオーナーが全国各地で集めたおいしいものを中心に、おかずにも肴にもなる魅力的なメニューが勢ぞろいします。

お味噌汁は、もちろん夜メニューにもある

その中でも、これが食べたくて訪れてしまうのが、「お母さんのお味噌汁」なんです。

1杯250円なのが申し訳ないほど、手がかかっているお味噌汁

ランチタイムには丼サイズで提供される「お母さんのお味噌汁」(ご飯と漬物付きで730円 ※10/15より780円)

ランチタイムにはそれだけで主菜になるボリュームが嬉しい「お母さんのお味噌汁」ですが、夜は肴にちょうどいい小椀サイズで提供。でも、一口味わった瞬間に目を見開くようなコク、うま味はそのままです。かつおだしと昆布だしをベースに、その時々でショウガやニンニク、塩麹などを合わせているので、ご飯に合うのはもちろん、この汁だけでもお酒が怖いくらい進むのです。

居酒屋タイムには、小椀サイズの「お母さんのお味噌汁」(1杯250円)に
  • こんなに大きなサイズのダイコンに、しっかりと味が染みている
  • 乱切りの大きなレンコンもホクホクの柔らかさ

さらに驚くのが、ダイコンやニンジン、レンコン、油揚げなどの具材の大きさと、味の染み具合。全ての具材がゴロゴロと大きくカットされているのに、まるで煮物のように芯までしっかり味が染みているので、汁を肴に飲みつつ、さらにこの具材をつまみながらお酒が飲めるのです。

なぜお味噌汁の具でありながらこれだけしっかり味が染みているのかがずっと不思議でしたが、今回の取材で、普通のお味噌汁とは全く違う作り方であることがわかりました。最初に肉とショウガ、ニンニクなどを油で炒め、野菜や油揚げなどの具材を加えて1時間程度煮込んだ後に、味噌や隠し味などで味付けをして、さらに煮込んでいるそうです。

営業中も味見をしながら、毎日2時間から4時間くらいかけてずっと具材を煮込み続けているということですから、お味噌汁というよりはむしろ、“汁たっぷりの煮込み“に近いのかもしれません。お酒が進むわけです。これだけ手間と時間をかけ、材料費をかけているお味噌汁が、1杯たった250円なのが申し訳ないような…。

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地方出身者に家庭の味を提供する「お母さん食堂」

店長の幡歩(はたぶ)康平さん(写真左)と、料理長の安西 勝治さん(同右)

運営は、アパレルメーカーのキャノンクリエーション株式会社(東京・港区)。もともとは飲食店を手広く手掛ける株式会社グリップセカンド(東京・豊島区)が「ジャスミン食堂」としてスタートしたのですが、この店のファンで居酒屋好きのキャノンクリエーションの社長が受け継ぐ形で2018年4月にオープンしたそうです。

店長の幡歩さんによると、この店のコンセプトは「お母さん食堂」。地方出身の人たちも、東京で温かい家庭の味を食べられるようにと考え、お料理や空間もスタイリッシュな格好良さよりも、温かみを大切にしています。厨房スタッフも実際に“おかあさん”世代の方が多く、(ベースとなる食材は決まっていますが)それぞれが自由にアレンジをしているそう。「作るスタッフによって微妙に風味が変わるので、毎日通っていただいても飽きないのでは」と、幡歩さん。

夜ならではのメニューにも注目!

ランチタイムの主菜で一番人気なのが、1枚160円という破格値で提供している「アジフライ」ですが、夜の人気メニューは、約300gもある大ぶりなアジを厨房で3枚におろした「手仕込みアジフライ」。

厚くふっくらジューシーな身に、さっぱりした梅タルタルがマッチする「手仕込みアジフライ 骨せんべい付」(950円)。手仕込みの証である立派な骨せんべいも絶品

昼はオフィスワーカーがほとんどですが、夜はそこに近隣のタワーマンションの住人も加わるとか。本当に、地元に根付き、愛されているお店なんですね。幡歩さんは「今後は、定番料理とともに“この店でしか食べられないオリジナル料理”にも力を入れていきたい」と語っていらっしゃいますが、このお店の持つ温かさと、「お母さんのお味噌汁」の味はずっと変えずにいてほしい…。私の心からのお願いです。

料理長の安西さんのおすすめ「ポテサラホワイト 自家製チーズソースがけ」(850円)は今後、緑色のジェノベーゼソースなど、多種類で展開していく予定
亀有で営業していいた「パーラー フクロウ」(現在は閉店)で人気だった「亀有ナポリタン」(1,000円)もここで食べられる
全国茶品評会で農林水産大臣賞を受賞した「長崎そのぎ茶」を使用した「緑茶ハイ」(550円/写真左)は、緑茶の爽やかな香りとうま味とアルコール感がしっかり感じられる。皮と果肉だけを丁寧に漬けこんだ自家製塩レモンを溶かし込む「塩レモンサワー」(600円/同右)は、レモンの香りの鮮烈さがやみつきに
日本酒はグラス400円から。定番から季節に合わせた珍しい日本酒まで、常時10種類前後を取りそろえている
ポスター”呑める食堂”
大衆食堂フクロウ(東京・京橋/宝町)
東京都中央区京橋1丁目19-8 京橋OMビル1F
https://r.gnavi.co.jp/p7jt4ksa0000/map/
https://kyobashi-fukuro.foodre.jp/
都営浅草線宝町駅から徒歩3分、地下鉄銀座線京橋駅から徒歩5分、JR東京駅からも徒歩圏内。温かい家庭の味「お母さん食堂」をコンセプトに、昼は定食屋、夜は呑み屋を展開。2024年11月中旬よりメニューを刷新して、オリジナル料理を増やしていく方針。

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