「サラダ餃子」は罪悪感少なめな進化系！名古屋の餃子とスパークリングの店「バブルス」

「サラダ餃子」

餃子とスパークリング バブルス（名古屋・伏見）

中国から伝来し、日本で独自の発展を遂げ、外食・内食問わず親しまれる餃子。「餃子消費量日本一」を争う話題が毎年のように聞かれ、今や国民食として不動の地位を築いています。そんな餃子にスポットを当て、2018年にオープンしたのが「餃子とスパークリング バブルス」（以下「バブルス」）です。

今回は愛知県民で酒呑みフードライター・露久保瑞恵さんが「サラダ餃子」を紹介。「サラダと餃子？」と思わずメニューを2度見してしまうユニークな餃子と、“泡”の相性を深掘りします。

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目次
・餃子と最強コンビを組むビールに、ライバル出現！
・生野菜をのせても食感サクッ！新感覚の「サラダ餃子」
・多国籍にもほどがある⁉︎ 「カレーグラタン餃子」
・最後の晩餐に食べたいのは「餃子」一択

餃子と最強コンビを組むビールに、ライバル出現！

ビジネス街と昔ながらの繊維街、芸どころ名古屋を象徴する「御園座」を有し、老若男女がさまざまな目的で訪れる伏見エリア。「バブルス」は伏見駅から徒歩1分という好立地にあるレジャービルの一角に店を構えます。

筆者が「バブルス」の存在を知ったのはオープン間もない頃。一次会のあと「もうちょっと食べて飲みたいね」という話になり、友人のアテンドで訪れたのが最初のタイミングです。

餃子と聞き、２軒目でいただくには少々ヘビーだと思っていたところ、提供されたのは小ぶりでサクサクと歯切れの良い餃子。すすめられた辛口のスパークリングワインと合わせると口の中がサッパリし、食べるペースが一気に上がりました。これまで餃子の最強コンビだと思っていたビールの存在が、ややかすむような体験でした。

生野菜をのせても食感サクッ！新感覚の「サラダ餃子」

想像の斜め上をいく餃子でファンの目と舌を楽しませてきた「バブルス」のメニューに、最近登場したのが「サラダ餃子」。名前を聞いただけではビジュアルが浮かばず、登場した時に「そう来たか」と意表を突かれました。

定番の焼き餃子の上にサラダをモリモリとトッピングしてあります。サラダといってもレタスやキャベツのような洋野菜ではなく、ネギ・ミョウガ・ミツバ・青ジソ・かいわれ大根・豆苗といった和の香味野菜。そこへ自家製ポン酢ダレをまわしかけていただくという趣向です。野菜の山を崩しながら餃子と一緒に頬張ると、サクサクとした食感の後に複雑な香味が口内で弾け、清涼感が広がります。「罪悪感少なめ餃子」というワードが頭に浮かび、妙な安心感を覚えました。スパークリングワインはもちろん、サワー系とも相性抜群です。

「サラダ餃子」のベースとなっているのが、「バブルス」定番の焼き餃子。生の香味野菜を乗せても、自家製ポン酢ダレをたっぷりかけても、ベタッとしない秘訣は焼き方にあります。

多めの油で揚げ焼きすることでパリッパリに。ふやけやすい皮を油でコーティンングすることで、水分をまとっても食感が損なわれません。一方で油の重さが気になるところですが、餃子の餡にオカラを入れることでボリューム感は保ちつつカロリーオフ。組み合わせの妙で重さを相殺し、お酒と共にゆっくり食べてもパリパリ感が続きます。

ちなみに焼き餃子はオリーブオイルと岩塩でいただくのが「バブルス」流。添えられた自家製の練り七味も味変にいい仕事をしてくれます。

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多国籍にもほどがある⁉︎ 「カレーグラタン餃子」

進化系餃子の一つとして不動の人気を誇るのが「カレーグラタン餃子」（740円）。インドのカレーとフランスのグラタンを融合させたオリジナルソースへ中国生まれの餃子を投入し、チーズをかけてグツグツ焼くという一品です。発想の原点はイタリアのラヴィオリだと聞き、「国境越えすぎ」と思わずツッコミを入れたくなりました。

こちらの餃子はパンチのあるソースに負けないよう、定番とは違う配合の餡を使用。炒めタマネギを効かせたカレーと生クリームを合わせたグラタンソースに入り込んでも、餃子の存在感は健在です。

そこにとろけたチーズが加わると、なんとも濃厚な味わいに。ハフハフしながら食べ進めると、スパイスの香味が食欲を刺激し、次の一つが欲しくなります。スパークリングワインに間違いなく合う料理ですが、オーナーがすすめてくれた赤ワインとも相性良し。さまざまなペアリングが楽しめる一品です。

最後の晩餐に食べたいのは「餃子」一択

オーナーの河島 奈美さんはソムリエであり唎酒師。師匠と仰ぐ方の元でワインの勉強を重ね、ソムリエの資格を取得し、2016年に創作おでんとワイン・日本酒の店「波へい」を開業しました。もともと同じ鍋で具材を一緒くたに煮るおでんは苦手だったという河島さん。トッピングなどの味変でバリエーションが広がるおでんに可能性を感じたそうです。

一方「バブルス」を開業したのは「最後の晩餐には餃子と決めているほど大好きだから」という理由。餃子の名店に足を運んで研究を重ね、餃子と“泡”を存分に楽しめるお店を具現化しました。最後の晩餐に餃子を楽しむ様子を壁一面に描いていることからも、思いの強さが伝わります。

「波へい」の真隣に「バブルス」を構えたことで、自家製のおでんだしで炊いたご飯を提供するなど、相乗効果も生まれているよう。両店を行き来しながら多忙を極める河島さんですが、シュワシュワバブル柄のポロシャツを着こなす姿からは充実感がみなぎっていました。

「好き」も「苦手」も深掘りし、魅力ある一品を生み出し続ける河島さん。あくなき探究心と、楽しんでほしいというおもてなしの心を持ち続けることが、繁盛店たる理由なのだと改めて感じました。