「ハンバーグ定食 1.5人前」
挽肉屋 神徳(じんとく)(東京・東銀座)
老若男女に親しまれる定番メニュー、ハンバーグ。近年、新しいスタイルでハンバーグを供する店が続々と現れ、今やハンバーグはトレンドをけん引する存在です。東京のあちこちに誕生した専門店、いずれも行列が絶えない人気ぶり。百花繚乱、さまざまなハンバーグが登場する中で、キラリと光る個性を持っている専門店が「挽肉屋 神徳」です。
今回は、"生きがいはおいしいランチとスイーツ"というフードライター 小田中 雅子さんが、昨今、グルメ店が集まる東銀座の人気店「挽肉屋 神徳」を紹介。銀座界隈のオフィスワーカーやインバウンド観光客を引き付けるこだわりのハンバーグの魅力を深掘りします。
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目次
・粋なのれんが目印、銀座で楽しむ和のハンバーグ
・どれにしようか迷うこと必須! 6種それぞれの個性が楽しいハンバーグ
・ビジュアル抜群! SNSで大反響のハンバーグ丼
・目指したのはお箸で食べれるハンバーグ
粋なのれんが目印、銀座で楽しむ和のハンバーグ
東京メトロ「東銀座」駅を出て、昭和通り沿いを歩いていると大きく「ハンバーグ」と書かれたのれんを掲げた店があります。「挽肉屋 神徳」です。平日でもランチ時になると行列ができ、店内は仕事の合間のランチを楽しむオフィスワーカーや、日本観光を楽しむ外国人客で満席です。
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カウンター席がメイン。席間も通路もゆったりの設計 -
2人掛けのテーブル席が2卓ある
白やベージュにブラウンを配した店内は広さもあり、落ち着ける雰囲気です。木をふんだんに使い、照明も落ち着いた明るさで、銀座らしい洗練された和モダンの空間になっています。
「挽肉屋 神徳」は2022年にオープン。当時、都内には続々とハンバーグ専門店が誕生していた時期で、「神徳」もオープンと共に注目を集めました。その理由は、牛や豚といったポピュラーな食材だけではなく、羊や鯛、マグロなども使った6種類のハンバーグが用意され、しかも好きなものを選べるというスタイルにしたことです。サイズを小ぶりにして、違う種類を食べ比べできるというのは、ハンバーグ好きならワクワクした気分になります。
取材時のメニューは、定番で「定食」「丼」「出汁」の3種類と、季節の期間限定からなります。定食と丼はボリュームが選べ、ハンバーグの数を増やすことができます。トッピングもチーズソース、生卵と選べるので、好きにカスタマイズできるのもうれしいですね。それでは、さっそくメニューを紹介していきましょう。
どれにしようか迷うこと必須! 6種それぞれの個性が楽しいハンバーグ
筆者のお気に入りで、店でも一番人気なのが「ハンバーグ定食」です。1人前と1.5人前が用意され、それぞれ好みのハンバーグを1人前なら2種類、1.5人前なら3種類選ぶことができます。
選べる種類は牛、豚、羊、三合挽(牛、豚、羊)、マグロ、鯛の6種類。この6種類から今日は何を選ぼうか、毎回迷うところ。まず牛は必須。店のスタッフさんに尋ねると、やはりほとんどの人が牛と他の種類という組み合わせにするのだそう。次に、マグロと鯛があれば必ずどちらかを頼みます。この2つは数量限定で昼の早いうちに無くなってしまうからです。
今回は1.5人前をオーダーし、牛と三合挽、鯛をチョイスしてみました。
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「牛」。全てのハンバーグで朝、挽きたての肉が使われ、炭火で焼く -
「三合挽」。どのハンバーグか分かるように札を立てているのも遊び心を感じる
「神徳」のハンバーグの特徴は“焼き締め”。ハンバーグには柔らかい食感のタイプと、ギュッと引き締まった硬めタイプがありますが、こちらはギュギュッとした硬めタイプ。羊を使ったハンバーグだけ、特有の風味を和らげるために少しだけタマネギとリンゴが入っていますが、基本的につなぎは卵だけでシンプルに素材を楽しむハンバーグになっています。
焼き立てジュージューと湯気を立てるハンバーグが運ばれてくると、香ばしい炭火の香りがたまりません。目の前のテーブルがあっという間にお盆でいっぱいになります。
さっそく牛を一口いただきます。ギュッと密度の高いハンバーグを噛みしめると、ジューシーな肉のうま味がジュワジュワ湧いてきます。三合挽は牛とは違って柔らかな食感。牛がガツンとくる味わいなら、じんわりとしたうま味がいっぱいで、後からほんのりラムの味わいが感じられ、クセになる味わいです。
最後に鯛をいただきました。ひと口食べると「あ!鯛そのもの!」と思ってしまうほど、鯛の味わいが生かされています。ふっくらとやわらかく、品の良いうま味がいっぱいのハンバーグです。
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2種類のソース。「自家製オニオンおろしソース」は、しょうゆベースに玉ねぎとリンゴを合わせた和テイスト。「特製ブレンドソース」は、自家製ソースに味噌とリンゴをブレンドした洋テイスト -
テーブルにセットされた自家製辛みそ、ヒマラヤ岩塩、和からし、しょうゆの4種類の調味料
ハンバーグと共に供されるソースと、テーブル上の調味料で食べるのがまた楽しい! 魚系ハンバーグは優しい味わいなので塩かしょうゆがおすすめだそうですが、それ以外は、味付けで万華鏡のように変化するので、気が付くとあっという間にハンバーグを食べてしまいました。
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ビジュアル抜群! SNSで大反響のハンバーグ丼
「神徳」にはSNSで大人気のメニューがあります。ビジュアル抜群の「ハンバーグ丼」。使っている肉は牛で、サイズは定食と同じもの、ソースは「自家製オニオンおろしソース」になります。
登場すると、思わずビジュアルに歓声があがります。1人前だと2つ、1.5人前だと3つ、2人前だと4つのハンバーグがご飯の上に積み上がります。そのてっぺんにちょこんと乗っているのは卵の黄身。この黄身を箸で崩すととろ~りと黄身がハンバーグとご飯の上に流れ落ちるのです。見ているだけで、お腹が鳴りそうです。
この丼はオープン当初にはなかったのですが、メニューになるやいなや、このビジュアルをSNSにアップする人が多数。今や、この丼を目当てに訪れる人も多いのだそう。
もちろん、味も文句なし。肉々しいハンバーグとしっかりしたしょうゆ味のソースと、黄身との相性は抜群。ご飯が進んで止まらなくなります。
もう1品、変化球ハンバーグでおすすめしたいのが「和出汁ハンバーグ」。「和出汁」と「出汁カレー」から選ぶことができます。
ハンバーグは牛100%。こちらのメニューでは大きく1つにまとめられたハンバーグになります。だしはカツオと昆布からとった和のだし汁。ハンバーグの味に負けないように濃い目のだしになっています。
元々は季節限定のハンバーグとして考案されたそう。こってりしたイメージのあるハンバーグをよりあっさり食べられないかと考え、ひつまぶしにヒントを得て「出汁ハンバーグ」が生まれたといいます。
さじを入れると、しっかりうま味のあるだしに、ハンバーグの肉のうま味が溶けだします。魚と肉のうま味が溶け合っただしが絶品のおいしさ! このだしでサラサラとお茶漬けのようにご飯がいただけます。
ハンバーグにもひと工夫が。歯応えを重視した定食のハンバーグと違って、牛すじをできるだけ細かくし、柔らかい食感にこだわったのだそう。優しい味わいのほっこり和むメニューは、ハンバーグもこんな食べ方ができるんだという新発見がありました。
目指したのはお箸で食べれるハンバーグ
さまざまなハンバーグ専門店が登場する中、なぜ神徳はさまざまな種類の挽き肉を用意することにこだわったのでしょうか。店長の後藤 寿治(としはる)さんにお聞きしました。
「オープンを考えていた当時、ハンバーグブームでいろいろな店が登場していました。その中で、何か差別化はできないかと考えたとき、挽き肉の種類を選ぶというアイデアが出てきたんです」(後藤さん)。
そこからさまざまな食材の挽き肉でハンバーグを作るという試作を続けたのだそう。「神徳」を運営する丸八殖産株式会社は、フランス料理の店やカフェを運営している会社。系列店でシェフをしていた人も参加し、メニュー開発を行ったといいます。羊を使うというアイデアにはフレンチらしさを感じます。
「目指したのは和のハンバーグです。ハンバーグは洋のイメージがありますが、場所柄、オフィスワーカーの需要が多いと考えると、ランチからフォークとナイフというイメージではない。お箸でサクッと食べられる定食スタイルがいいんじゃないか。それでサイズも食べやすいように小ぶりサイズにしました」と後藤さん。
和にこだわる、「神徳」のハンバーグ。実は隠し味に味噌を使っているのだそう。食べてみても味噌の味をそんなに強く感じませんが、ハンバーグとご飯の相性の良さは隠し味にもあるのかもしれません。
もう1つのハンバーグのこだわりは、シンプルに素材そのものを味わってもらうこと。ソースを絡めたりするハンバーグではなくて、テーブルの上で好みの味で楽しんでもらうために、羊以外のハンバーグには余計な味付けはしていないのだそう。羊はスパイスの相性がいいことから、クミンなどをあえて効かせているそうです。
素材ごとに肉の挽き方や使う部位などを試行錯誤しながら、それぞれベストなバランスで作られたハンバーグ。どのハンバーグも素材ごとに魅力がいっぱいで、食べ比べる楽しさがあります。次はどれを食べようか。ついつい「神徳」に訪れたくなってしまう一番の理由かもしれません。
これからのことをお尋ねすると、「具体的な計画はありませんが、新しい店舗を出店したいという希望はあります。また、今、提供しているメニューとは少し違ったテイクアウトメニューができないかと考えています。週末とか混雑してしまって、ご迷惑をおかけしているところもあるので、テイクアウトで手軽に楽しんでいただけるメニューはないかなと思っています」とのこと。
オープン以来、訪れる人たちのニーズに応えて、少しずつメニューをアップデートしてきた「神徳」。今後どんな新しいハンバーグのメニューが登場するのか。楽しみですね。
挽肉屋 神徳
業態:ハンバーグ定食
席数:20席(テーブル4、カウンター16)
客単価平均:2,000円
客層:オフィスワーカーや20代女性が多い、
インバウンド(アジア系が多い)の割合25%
アクセス:都営浅草線・東銀座駅A7口から徒歩1分、東京メトロ銀座線・銀座駅から徒歩3分
営業時間:月~日曜日 11:30〜16:00、18:00~21:00
定休日:なし ※お盆・年末年始を除く
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https://www.instagram.com/hikinikuya_jintoku/