「合鴨と季節野菜炊合せ」
料理 シフク JIYUGAOKA(東京・自由が丘)
家庭料理とプロの料理の違いを一番感じるのは、煮物。ご飯がすすむ家庭の味の煮物も捨てがたいけれど、和食店の端正な炊合せをいただくと、「別次元の料理だな」と痛感します。そんなプロの作る「野菜炊合せ」の中でも、「野菜一つ一つの味わいに驚きがある!」と評判のお店があるといます。
今回は週末の酒場巡りが趣味というフードライター・桑原 恵美子さんが、「料理 シフク JIYUGAOKA」の「合鴨と季節野菜炊合せ」を紹介。食べ慣れているはずの野菜なのに、いつも惚れ惚れしてしまうおいしさの秘密を探ります。
訪れた飲食店を紹介している個人ブログ:
https://ameblo.jp/amaguri0111/theme-10066247104.html
▼ぐるなび公式アカウント▼
【LINE】ぐるなび通信デジタル
よろしければ、ぜひ友達追加をお願いします!
目次
・”元住吉の宝”と呼ばれた人気和食店が、自由が丘に移転
・炊合せってこんなにおいしいの!?と野菜の概念が覆った
・ホテルマンから28歳で料理人に転身
・隠されたポテンシャルを見出す、愛情の深さ
”元住吉の宝”と呼ばれた人気和食店が、自由が丘に移転
「料理 シフク」は2012年、東急東横線の元住吉に創業。16席の小さなお店でしたが、素材一つ一つを大切にした繊細な料理が評判を呼び、たちまち人気店に。2年後の2014年には早くも「ミシュランガイド横浜・川崎・湘南2015特別版」でビブグルマンを獲得しました。以降、“元住吉の宝”と呼ばれ、隠れた名店として多くの地元民に愛されていましたが、テナントビルの老朽化のため、自由が丘に移転。2024年5月17日に「料理 シフク JIYUGAOKA」(以下、「シフク」)として、新たなスタートを切りました。
-
東急東横線自由が丘駅の正面口から徒歩5分。線路下の自由が丘デパートとひかり街を抜けた先の、小さなビルの2階 -
店名の「シフク」は料理を味わう「至福」と、気取らずカジュアルに楽しんでほしいという思いを込めた「私服」をかけ合わせている
お品書きは「肴」「魚」「肉」「菜」「食事」を合わせて、常時30数種類。元住吉で創業して以来、タレを継ぎ足している「豚角煮」(1,710円)などの看板メニューもありますが、ほとんどが四季で入れ替わります。
炊合せってこんなにおいしいの!?と野菜の概念が覆った
「シフク」のお品書きを見て最初にチェックするのは、複数の野菜が一皿で表現される「野菜炊合せ」や「野菜盛合せ」。というのも、以前元住吉のお店に初めてうかがった時、「炊合せってこんなにおいしいの!?」と衝撃を受けると同時に、「私はこういう、野菜一つ一つがはっきりと個性を主張しながら、全部がきれいに調和しているような料理を、ずっと食べたかったんだ」と気づかされたのです。
自由が丘移転後にいただいた「合鴨と野菜炊合せ」にも、秋野菜のおいしさにしみじみ感動。つい最近訪れた時の春メニューの野菜も期待以上でした。というわけで、「シフク」では「野菜炊合せ」や「野菜盛合せ」を探して、注文したくなるのです。
-
2023年9月に初めていただいた「野菜炊合せ(つるむらさき・茄子・南瓜)」 -
2024年9月の「合鴨と季節野菜炊合せ(合鴨、玉葱、茄子、さつまいも)」
「合鴨と季節野菜炊合せ」の野菜は同じ季節でもその時々で違うので、まさに一期一会。「今日はどんな野菜かな?」とワクワクしてしまいます。
取材をした日の野菜は、フキ、アスパラガス、タケノコ、水茄子。
田舎風に濃い目に味付けしたフキは、これだけでも日本酒が進みそう。焦げ目が付くまで焼いて焼き浸しにしたアスパラガスはうま味たっぷりの水分がだしと溶け合って、噛んだ瞬間に口の中で弾けます。筍は香りとほろ苦さを感じる上品な薄味。
一番驚いたのは、水茄子。先端だけ包丁を入れてちぎるように手で裂き、軽く塩と太白の胡麻油で和えただけですが、まるでフルーツのような甘さとみずみずしさで「これがナス!?」と目を見開くおいしさ。
-
低温調理をした合鴨は、特製のタレに漬け込む -
カットすると、見事なローズ色!
低温調理した合鴨を漬けているのは、鰹と昆布、濃口醤油をベースに、ほんの少したまり醤油を加え、継ぎ足しをしているタレ。切り口の見事なローズ色でもう、おいしさがわかってしまいます!
ホテルマンから28歳で料理人に転身
店主の深瀬 あつしさんは、ホテルのサービスマンから28歳で料理の道に進んだという異色の経歴の持ち主。思い切った転身に「悩まれたのでは?」と聞くと「確かに遅いスタートではあったのですが、どうしても料理の道に進みたいと思ったので、特に悩みませんでした。ただ最初に修業に入った店では、料理長が僕とほぼ同年代でしたが(笑)」。素朴で飾らない人柄の中に、料理人としての揺るぎない覚悟を感じられます。そんな深瀬さんが独立して元住吉に店を持ったのが39歳の時でした。
女将を務める奥様も、都内の超一流ホテルの和食店でサービスを担当されていたとのこと。訪れるたびにいつも「適度な距離感があってスマートで、でも細やかで素敵なサービスだな」と感じていたのですが、「あのホテルご出身」と知り、深く納得しました。
隠されたポテンシャルを見出す、愛情の深さ
撮影で器を選んでいた時、お二人が楽し気に見せてくださったのが、金継ぎをした器。長い間使っていたお気に入りで、家族のような愛着を抱いていたので、割れても簡単に捨てることができず、可能な限り金継ぎをして使っているとか。「金継ぎをするとまた表情が変わって、さらに愛着が増すんです」と深瀬さん。
-
金継ぎをして大事に使い続けているお気に入りの皿 -
盃など、ちょっとだけ縁が欠けた器は深瀬さんが自ら金継ぎをすることもあるとか
食器だけではなく、だしをとる昆布も「食べられるのに捨てるのがもったいないから」と、薄味の佃煮にして漬物に添えたり、大根おろしと混ぜて鰹のたたきのトッピングに使ったりしています。実はこの昆布の佃煮も私の大好物。たっぷりした厚みがあって、市販品よりも薄味で昆布の風味が感じられるのです。
割れたり欠けたりした器や、だしを取り終わった昆布の中にも、隠されたポテンシャルを見出す愛情の深さ…。全てにこうした深い思いを抱いて調理しているから、このお店のお料理は“至福”に満ちているのでしょう。
-
錫の酒器で提供される日本酒(970円~)は常時15種類ほど用意。写真は高知県の酒造「アリサワ Arisawa」の純米吟醸酒「文佳人(ぶんかじん)」。酒造のご主人も「シフク」のファンで、よく訪れるという -
ワインも数種類用意。写真のイタリアワイン「サモディア ビアンコ」は、複雑な味わいと清涼感が日本料理にマッチする
料理 シフク JIYUGAOKA
業態: 和食店
席数: カウンター11席
客単価:8,000~9,000円
客層:40代~ カップル利用が多い
アクセス: 東急東横線自由が丘駅 徒歩5分
営業時間: 平日・土曜日18:00~23:00、日曜日・祝日(17:00~23:00)
定休日:週1~2回(不定休)※詳細は以下公式にて
https://www.instagram.com/shifuku01.wasyoku/
【ヒットメニュー記事は他にも!こちらもチェック】
名酒場「酒場シナトラ」の「肉豆腐」は汁まで飲み干したい!絶妙な味付けの秘密は…?
組み合わせの妙で「生ハム・サラミ」のおいしさ爆増!虎ノ門「Lampada(ランパダ)」
Googleビジネスプロフィールの運用代行サービスは、ぐるなびで!
ぐるなびによるGoogleビジネスプロフィール(GBP)を活用したMEO対策・クチコミ対応を含む、飲食店に特化した集客支援・運用代行サービスを紹介します。
【ぐるなび】飲食店向けGoogleビジネスプロフィール(GBP)集客支援・運用代行サービス
資料請求・お問い合わせはお気軽にどうぞ
「ぐるなび通信」の記事を読んでいただき、ありがとうございます。
「ぐるなび」の掲載は無料で始められ、飲食店のあらゆる課題解決をサポートしています!