2026/03/04 繁盛の法則

東京・神保町の沖縄ソーキそば専門店「清井商店」ランチ200人集客とクイック提供の仕組み

東京・神保町の沖縄ソーキそば専門店「清井商店」は、不動産会社の異業種参入ながら石垣島出身の師匠の下での修業とオリジナル麺開発により高い商品力を実現 。こうした独自性と沖縄の伝統的な2度茹で手法の踏襲による素早い提供が、ランチタイムに200人という集客を可能にしている。ビジネス街の需要に合わせてランチタイムの回転率を上げ、同時に省力化を果たした事例を紹介する。

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繁盛の法則 3カ条

  1. 修業を基に商品力の高い沖縄ソーキそばを開発
  2. ビジネス立地の需要に合わせたクイック提供を実現
  3. インパクトの強い開業セールで一気に知名度を獲得

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2カ月の修業により、独特のスープと骨付き肉の煮方を修得

近年ではカレーの街として知られるようになった東京・神田神保町だが、個性的なラーメン店も多く、昼時には特に男性のファンが人気店の前で行列を作っている。白山通りと平行する脇道に2024年10月17日にオープンした「清井(きよい)商店」は、独自の「沖縄ソーキそば」と、ビルの1階、通り側がガラス張りになった明るい店舗という安心感から、女性が6割を占める点でも個性を発揮している。18坪20席の店舗で、ランチタイムだけで平均200人を集客し、店頭に行列ができているお店としても知られる存在となっている。

経営元は、不動産業を主業とする株式会社Rwave(アールウェーブ、本社/東京・目黒区、櫻井 拓磨 社長)である。飲食店の経営は初めてで、「東京においしい沖縄ソーキそば店を作りたい」という動機から出店を実現させた。

沖縄でそばというと、そば粉を使った日本そばではなく、小麦粉を使った麺と、トンコツベースだがあっさりしたスープのラーメンを指す。中でも人気の高いトッピングが、豚の骨付きあばら肉(スペアリブ、沖縄ではソーキと呼ばれる)をトロトロになるほど柔らかく煮込んだものだ。縁あって石垣島出身の下地 栄 氏と出会い、ソーキそばの作り方を教えてもらえることになったため、主にソーキの煮方と、さっぱりしながらも奥深いうま味のある独特のスープの取り方を学んだ。

「ひと口に沖縄そばといっても、沖縄本島の中でも地方によってスープや麺のタイプに違いがあり、石垣島を含む八重山諸島にもそれぞれのそばがあるようです。ここでは、師匠の下地さんから教えていただいたことを基にしながら、東京のお客様に好まれるような商品にしています」と久島 誠 店長は語る。

下地氏の下での約2カ月の修業後、商品の内容やメニュー構成を詰めながら、物件探しも本格的に開始した。いろいろな繁華街を探してみたが、1階の路面店の空き物件はまず見つからなかった。神保町の現物件も、空いてはいたが、実は「飲食店不可」という条件がついていた。「だめでもともと」ではあるが、管理会社を通じて「ここで沖縄そば店をやりたい」という意向をオーナーに伝えてもらったところ、沖縄そば店であれば物件の内外装への悪影響は少ないだろうという判断から、入居の許可が出た。神保町の繁華街からはやや外れ、飲食店の数も少なく、当時は人通りもまばらな場所だった。しかし、徒歩数分圏内のランチ需要の大きさから、ここならいいスタートダッシュが切れるのではないかという期待もあった。

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オリジナル麺を開発し、商品の素早い提供法を確立

「清井そば」(1,350円)と、ランチタイムには希望者に無料でサービスしている「ミニジューシー」(炊き込みご飯)。清井そばは、炙りソーキをのせたベーシックな「ソーキそば」(1,000円)に、アオサ、味玉、焼きトマトを加えたもの。小麦本来の味や香りを生かした中太ストレート麺は、1人前に茹で上がりで200gを使用する。オープン当初はソーキそばがオーダーの約6割を占めていたが、徐々に逆転し、最近は清井そばが7~8割を占めるようになっている。それに伴い、以前は1,100円ほどだった客単価が、現在は1,400円に上がっている。また卓上には、沖縄の島トウガラシを泡盛に漬け込んだ刺激的な調味料「コーレーグース」や、おろしニンニク、豆板醤、紅ショウガなどをそろえ、好みで加えて食べてもらう

メインの具材であるソーキは、圧力鍋を使って比較的短時間で煮込むため、うま味を流出させずにトロトロの柔らかさに仕上げている。ソーキについている半透明のモチモチした部分は、脂ではなくコラーゲンであるという説明書きを壁に貼り出し、女性にも敬遠せずに食べてもらえるように促している。

スープづくりの詳細は企業秘密だが、グラグラと沸騰させながら長時間煮込むのではなく、中火で静かに煮て、滋味深いうま味を引き出しながらも、すっきりと澄んだスープに仕上げている。

麺は、沖縄で広く行われている2度茹でを踏襲(とうしゅう)することにした。事前に麺をいったん茹で、油をまぶしておくことで、オーダーが入った後は短時間の再加熱で提供できる方法である。いろいろな製麺所からサンプルを取り寄せてみた中で、一番親身に相談に乗ってくれた滋賀県の製麺所に、オリジナルの中太ストレート麺の製造を依頼した。

特にこだわったのは小麦本来の味や香りの強さで、配合を調整してもらって現在の麺ができ上がった。製麺所で製麺した後、いったん茹でて油をまぶした状態にしてから、翌日の午前中に店舗に届く体制にしている。オーダーが入ったら、茹で麺機で10秒弱茹でて、表面の油を落としながら加温すれば提供できる。

この素早い商品提供により、行列ができていても比較的短時間のうちに入店できるので、周辺のオフィスからランチタイムに来店するお客様の安心感にもつながっている。さらに、オーダー取りや会計の省力化を考え、ほぼすべての支払い方法に対応できる高性能の食券機を導入した。

開業時の2日間は、1日100食限定でソーキそば100円セールという大胆な販促を打ち出した。この反響は絶大で、近隣では一気に認知され、オープンセール後も行列の絶えない集客力につなげることができている。

同店が都内では珍しい沖縄ソーキそば専門店として、その商品力を基にビジネス街で人気店となっている要因は、以下のようになるだろう。

  1. 修業やオリジナル麺の開発により、商品力の高い沖縄ソーキそばを提供している。
  2. 立地、物件を厳選し、ビジネス街の需要に合わせたクイック提供を実現している。
  3. ソーキそば1杯100円というインパクトの強いオープニングセールにより、一気に知名度を高めている。

また、2026年1月からはお客様の要望に応えて夜の営業も開始し、夜も1日平均100人が来店している。

「この1店舗でいいというわけではなく、多店舗化も考えています。といっても、安易に店舗数を増やすのではなく、まずは人材育成に力を入れ、完璧な状態に整えてから、しっかりした店舗を1店ずつ直営で出店していきたいです」と久島店長は語る。

複数店舗になったときにはスープの製造を一括して行えるように、セントラルキッチンとして使える場所はすでに確保している。また、1号店の厨房を約5坪と広めにとったのは、将来的に新人研修の場として活用したいという考えからだ。今後の展開を描きながらも、当面は1号店のさらなる充実に尽力する意向である。



(Text and shop photo by Food Biz,


清井商店
住所
東京都千代田区神田神保町2-10-14 THE CITY神田神保町1F
営業時間
11:00~15:00(LO.14:50)17:00~20:00(LO.19:50)
土曜日11:00~17:00(LO.16:50)
定休日
日曜日・祝日
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