海鮮ビリヤニ
ここ数年、スパイスカレー好きを中心にじわじわと存在感を増している「ビリヤニ」。とはいえ、名前は聞いたことがあっても、「カレー味の炊き込みご飯?」と思っている人もいるのではないでしょうか。けれど、「クボカリー薬院店 ビリヤニ堂」のビリヤニは、そのイメージを軽やかに裏切ってくれる味わいです。専門店として展開する背景には、もっと多くの人に「ビリヤニ」を楽しんでほしいという思いがありました。
今回は、福岡在住のフードライター・寺脇あゆ子さんが、魚介のうま味みを生かした「海鮮ビリヤニ」をレポート。福岡で生まれた土鍋ビリヤニの魅力を深掘りします。
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クボカリー薬院店 ビリヤニ堂(福岡・薬院)
クボカリー薬院店 ビリヤニ堂
業態:土鍋ビリヤニ専門店
席数:10席(カウンター6席、テーブル4人席)
客単価:1,400~1,500円
客層:20~50代と幅広い。男女比5:5
アクセス:西鉄天神大牟田線薬院駅より徒歩5分
営業時間:火~日曜日11:00〜15:00
定休日 :月曜日、隔火曜日(詳細は公式インスタグラムを更新)
https://www.instagram.com/kubocurry_yakuin/
https://r.gnavi.co.jp/degtyj7m0000/map/
目次
・行列の先に待つ、熱々土鍋仕立ての海鮮ビリヤニ
・チキン・マトン・海鮮の3種を味わうビリヤニ専門店
・土鍋のふたを開けた瞬間の高揚感!
・土鍋の熱さに込めた、ビリヤニの可能性
行列の先に待つ、熱々土鍋仕立ての海鮮ビリヤニ
2026年4月、博多・薬院に「クボカリー薬院店 ビリヤニ堂」がオープンしました。行列に並ぶこと約30分。路地裏にありながら、店の前には次々と客が訪れ、少しずつ期待が高まっていきます。順番が近づくと、スタッフから食券を購入するよう促されるスタイル。
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カウンター中心のコンパクトな店内。 カウンター越しにビリヤニを仕上げる様子が見える -
入り口の食券販売機で先に注文。現金のほか、 キャッシュレス決済にも対応する
メニューは「チキンビリヤニ」(1,200円)、「骨付きマトンビリヤニ」(1,600円)、「海鮮ビリヤニ」(1,800円)の3種があり、初めての場合、チキンを選ぶ人も多いそうですが、今回は魚介のうま味みを味わいたくて「海鮮ビリヤニ」を選びました。
事前に数組分の注文を受けておくことで、厨房では入店と同時に土鍋に火を入れられるそう。店内はカウンター中心のコンパクトな空間ですが、着席してからの流れは驚くほどスムーズです。チキンと骨付きマトンは提供まで約5分、海鮮も7分ほど。店の前で待っていた時間とは対照的に、席に着いてからはあっという間。ほどなくして、ふたから湯気が漏れ出る土鍋が目の前に運ばれてきました。
土鍋のふたを開けた瞬間の高揚感!
目の前に置かれた土鍋のふたを開けると、ふわりと湯気が立ち上がり、バスマティライスとスパイス、魚介の香りが一気に広がります。中には、エビ、アサリ、イカがたっぷり。エビはソフトシェルシュリンプを使っているため、頭から丸ごと味わえるのもうれしいところ。ひと口頬張ると、思わず「熱っ」と声が出るほど。けれど、その熱さこそが、土鍋で味わうビリヤニの醍醐味(だいごみ)です。
チキン・マトン・海鮮の3種を味わうビリヤニ専門店
この店を手がけるのは、福岡でスパイスカレーの人気店として知られる「クボカリー」。創業店である大楠(おおぐす)店が建物の老朽化に伴い閉店したことをきっかけに新たな場所を探すなか、大名店でも人気を集めていたビリヤニを、専門店として展開することになりました。
ビリヤニは保存がきかず、作り置きが難しい料理。大名店では数量限定で提供していたため、売り切れで食べられない人も多かったそうです。「チキンビリヤニ以外のビリヤニも食べてもらいたかったんです」と、店主・久保 正三さん。専門店とすることで、これまでのチキンに加え、骨付きマトンや海鮮まで楽しめるようになりました。
全てのビリヤニにはココナッツカレーと付け合わせが付き、オプションでパクチー、ライタ、温泉卵を追加することもできます。初めての人に選ばれやすいチキン、現地でも親しまれる骨付きマトン、そして日本人の魚介好きに合わせて生まれた海鮮。3種それぞれに入口があり、選ぶ楽しさがあるのも専門店ならではの魅力です。
「海鮮ビリヤニ」は、和だしで炊いたバスティマライスを使い、蒸し上げる時に海鮮のうま味を抽出したココナッツカレースープを忍ばせているそう。米粒の軽やかさの中に、魚介のうま味がじんわりと広がり、スパイスだけで押し切らない奥行きがあります。途中で添えられたココナッツカレーを加えれば、まろやかさと香りが加わって、味わいはさらに豊かに。湯気を感じながら食べ進めるうちに、食べ終える頃には体の内側から満たされていました。
土鍋の熱さに込めた、ビリヤニの可能性
なぜビリヤニを土鍋で提供するのか。久保さんは、「ビリヤニが冷めていくときの米のぼそぼそ感や、肉のパサつきが気になっていた」と話します。現地では皿に盛って提供されることが多いビリヤニを、最後までしっとり、アツアツのまま味わえるようにしたのが、この土鍋スタイル。湯気が立ち上がり、ひと口目に思わず「熱っ」となる。そのわかりやすいおいしさも、日本で楽しむビリヤニとして大切にしているそうです。
一方で、ホールスパイスは香りを移したあとに取り除くなど、初めてのひとが違和感なく食べられるような工夫も。ビリヤニ目的の来店者だけに向けるのではなく、ビリヤニをまだ知らない人にも「こういう料理があるんだ」と知ってほしい。土鍋の熱さの向こうにあったのは、ビリヤニを福岡に根付かせたいという久保さんの熱い思いでした。
「店が落ち着けば、春はタケノコや菜の花、夏はピリ辛系、秋はキノコ、冬は牡蠣など、季節限定のビリヤニも提供していきたいですね」と久保さん。次はどんな土鍋ビリヤニに出合えるのか、今から期待が高まります。
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