2012/07/31 特集

東京スカイツリー開業後の今を追う!東京ソラマチ リポート(2ページ目)

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インタビュー たまひで いちの
中・長期的な集客力を見込み、ソラマチに出店

客席はカウンターのみで、入口から左右に各12席並ぶ。カウンター奥は、配膳用の通路を用意し、スタッフが行き来しやすいように設計

客層の変化を見ながら、未来を見据えて戦略を練る

江戸時代の宝暦10年(1760年)創業の東京・人形町にある「玉ひで」。軍鶏鍋専門店で、親子丼が有名な店としても知られる。その同店が、東京ソラマチにショッピングセンター(SC)初出店となる姉妹店「たまひで いちの」をオープン。そこで出店意図や現在の来客状況について、同店の運営にも携わる玉ひで八代目・山田耕之亮氏にお話をうかがった。

「日本のランドマークである東京ソラマチは、一般のSCとは性質が異なり、中・長期的な集客力があると思います。そのため、短期的な展開は考えていません。10年後・30年後・50年後を見据えて、本店から独立した展開をしていきたいですね」。

東京ソラマチから声がかかった当初は、本店を移転する話も上がったという。しかし、身内からの反対もあって悩んでいた時、娘の一乃氏が「店を出したい」と申し出た。「『玉ひで』の味は一子相伝。息子以外に継承するわけにはいきません。そこで、本店と違う味を一から開発。鶏・卵・醤油すべて変えました。また、『玉ひで』のクオリティを維持するためには、親子丼だけに絞ることはできません。昼は親子丼、夜はセットメニューと、しっかり棲み分けを行なっています」。

店舗設計も独特だ。外からは店内がまったく見えないうえに、入口から左右に広がるカウンター席も暖簾で分けてすべては見通せないようになっている。「1500円の親子丼は、お客様にとって決して安くない金額です。そのためには、食材はもちろん、内装や接客も満足していただかなければなりません。そこで、当店は家族連れで賑わう店ではなく、大人の方が落ち着いて料理を堪能できるよう、すべてカウンター席にし、周りの視線が気にならないように配慮しました」。

そして、夜のセットメニューの価格は徐々に上げていく予定だとという。 「今は観光目的の方が大半ですが、時が経てば少しずつ客層が変わっていくでしょう。来年になれば、料理を楽しむために訪れるお客様の割合も増えると思います。その頃には、料理と空間を堪能してもらうために10000円程度のコースも用意したいです。東京ソラマチのなかで『せっかくだからこの店に』という位置付けを目指し、『また来たい』『本店にも行ってみたい』と思われる店にしていきたいですね」と山田氏。東京ソラマチの特性を捉え、先の未来をも考える「たまひで いちの」。これからの展開が楽しみだ。

「たまひで いちの」の親子丼。同店の親子丼として一から開発。昼は親子丼3種、夜はセットメニューを提供
代表取締役
山田一乃さん八代目の娘で「たまひで いちの」の責任者。本店の良さを受け継ぎならがら、新店作りに挑戦している
たまひで いちの
東京都墨田区押上1-1-2東京スカイツリータウン・ソラマチ7階東京・人形町の「玉ひで」の姉妹店として出店。イーストヤード7階にある。ランチ・ディナータイムには、行列ができることも

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