飲食店開業に必要な資格と届出は?手続きの流れや提出期限を完全ガイド

居酒屋などの飲食店を開業するのに、必須の資格と届出について解説。開業に不可欠な「営業許可証」を取得するために必要な「食品衛生責任者」「防火管理者」の取得方法や、「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」など、開業に合わせて提出すべい届出や手続きについても、どこに、いつ、どのように申請すればよいか紹介します。

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飲食店を開業するのには、どんな資格や届出が必要かを解説。出店する店の業態(コンセプト)やエリア、規模などを問わず、必要になる資格の受講方法や届出についての詳細、特定の条件の業態の場合に必要な届出、持っていると経営に役立つ資格についても紹介します。届け出は、種類によって保健所や消防署、警察署など、提出先が異なりますので、飲食店の開業準備に必要な知識と捉えて確認しましょう。

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【目次】
飲食店の開業に必要な資格は?
 食品衛生責任者
 防火管理者

飲食店の経営に役立つ資格

飲食店開業時に必須の届出と手続き
 営業許可申請の流れ
 火を使用する設備等の設置届
 防火対象物使用開始届
 深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
 開業届

店の業態や営業スタイルなどによって必要になる届出
 防火管理者選任届
 防火対象物工事等計画届出書
 菓子製造業許可
 保険加入の手続き

まとめ

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飲食店の開業に必要な資格は?

飲食店を開業するためには、保健所の発行する飲食店の「営業許可証」が必要です。無許可で営業すると食品衛生法違反や風営法違反となり、2年以下の懲役または200万円の罰金が課せられてしまいます。

営業許可証を取得するためには、

食品衛生責任者
防火管理者

の資格取得が必要となります。それぞれの取得に関する情報を以下にまとめます。

食品衛生責任者

どこで取得できる? 各都道府県の食品衛生協会
どのように取得する? 食品衛生協会による講習会を
予約して、計6時間の講習を
受け、確認テストに合格すること
取得費用は? 講習会費用として
10,000円 〜 12,000円程度
※自治体によって異なる
いつまでに取得すべき? 開業の2〜3カ月前まで

食品衛生責任者とは、食品を扱う店舗において、食品の衛生管理を行う人のことで、飲食店1店舗につき1人以上の食品衛生責任者を置く必要があります。食品衛生責任者の資格は全国共通なので、資格を取った地域以外の場所でも営業許可を申請できます。

食品衛生責任者の資格を取得するには、各都道府県にある食品衛生協会が実施する「食品衛生責任者要請講習会」の受講が必要。講習会はほぼ毎月開催されており、受講料は10,000~12,000円程度で、講習は通常1~2日。自治体ごとに開催形式が異なるので、食品衛生協会のホームページで確認することをおすすめします。

調理師免許は必要?

「調理師免許」がないと飲食店を開業できないと思う方もいるかもしれませんが、絶対に必要な資格ではありません。ただ、調理師免許を持っていると講習会を受けずに食品衛生責任者の資格を取得できます。調理師免許を取得するには、調理師専門学校を卒業するか、飲食店などで2年以上の実務経験を積んで調理師試験に合格する必要があります。

防火管理者

どこで取得できる? 一般財団法人 日本防火・防災協会
どのように取得する? 対面かオンラインによる講習を受け、確認テストに合格すること
資格の種類と内容の違いは? 甲種
延べ面積:300㎡以上の店舗
講習時間:2日間(約10時間)
内容:防火管理の全般知識
費用:8,000〜10,000円前後

乙種
延べ面積:300㎡未満の店舗
講習時間:1日間(約5時間)
内容:基礎的な防火管理知識
費用:7,000〜9,000円前後
いつまでに取得すべき? 開業の2カ月前まで
※資格取得後、消防署へ提出が必要

店舗のサイズによりますが、飲食店開業に必要なもう一つの資格は「防火管理者」です。多くの人が出入りする建物などで火災による被害が発生しないよう、事前に防火管理に係る消防計画を作成し、防火管理上必要な業務を計画的に行う責任者が防火管理者です。

この場合、収容人数が30人を超える店舗が対象となります。収容30人以内の小規模飲食店では取得しなくても問題ありません。店舗の全てのフロアの床面積を足し上げたものを延床面積といって、この大きさが300㎡以上か未満かによって防火管理の資格が異なります(上記参照)。この防火管理者の講習は、日本防火・防災協会が実施しており、講習期間は甲種が2日、乙種が1日です。資格を取得後、営業開始までに管轄の消防署または消防出張所に提出しておきましょう。

資格取得の方法や講習の申し込みについては、一般財団法人 日本防火・防災協会のホームページをご確認ください。

飲食店の経営に役立つ資格

上記以外に、必須ではないものの、取得していると飲食店の安定的な経営や集客に役立つ資格があります。主だったものを一覧でご紹介します。

日本酒ナビゲーター唎酒師(ききさけし)/酒匠(さかしょう)
日本酒のセレクトや提案などに役立つ資格です。

J.S.Aソムリエソムリエ(ANSA)
ワインのセレクトや提案などに役立つ資格です。

ふぐ調理師免許
ふぐを調理する際には必ず必要な資格です。

菓子製造技能士検定
デザートやスイーツなどを開発・調理する際に役立ちます。

野菜ソムリエ
旬の野菜の知識を活かしたメニュー開発や、産地・栄養価の解説に役立ちます。

フードコーディネーター
メニュー開発から盛り付けなどによるブランド構築に役立ちます。

簿記(3級、2級)
経営状況を数値で可視化し、適切な資金繰りや節税対策ができるようになります

お肉検定(お肉博士1級)
肉の部位選定から鮮度管理、最適な調理法まで習得できます。

ビアテイスター(日本地ビール協会)
適切なサーバー管理と提供方法で他店との差別化に貢献できます。

店長能力検定(日本外食管理協会)
計数管理や労務、接客、衛生のノウハウを体系的に学び、利益最大化と組織安定につなげられます。

販売士(リテールマーケティング検定)
マーケティング視点での棚割や在庫管理、客単価向上のための接客技術を習得できます。

上級救命講習(消防局)
急病や誤嚥、急性アルコール中毒などの緊急時に、AEDや応急処置で命を繋ぐ実践力が身につきます。

メンタルヘルス・マネジメント検定
適切なケアや職場改善を行う力が身につき、離職率の低下やチームの士気向上に役立ちます。

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飲食店開業時に必須の届出と手続き

開業時に必須となる届出のスケジュール
オープンの
1~2カ月前
保健所 図面を見せて設備基準を確認
オープンの
1カ月前
(工事前)
消防署 火を使用する設備等の設置届
オープンの
2週間前
保健所 営業許可申請書類提出
/検査日の予約
オープンの
1週間前
消防署 防火対象物使用開始届

オープン後
1カ月以内
税務署 開業届

営業許可

いつまでに? オープンの10日〜2週間前
どこに? 保健所
※オープンの1~2カ月前までに、事前確認として保健所に図面を見せて設備基準などを確認しておく

食品衛生責任者や防火管理者の資格を取得したら、開業の1~2カ月前までに、事前確認として保健所に図面を見せて設備基準などを確認しておきましょう。さらに、開業2週間くらい前までには管轄の保健所の食品衛生課で申請を行います。店舗所在地、代表者、屋号、扱い品目、店舗設備と平面図などを所定の様式に記入して提出します。

その後、開業日までの間に、保健所の担当者が店舗を視察に来て、設備や食品衛生面について問題がないか確認します。この検査に合格すると、晴れて営業許可証が発行されます。

万が一この検査で不適合となった場合には、問題点を改善してからの再検査となります。営業許可申請は、店舗オープンに向けての工事とバッティングする可能性もありますが、なるべくなら早めに済ませておきましょう。

火を使用する設備等の設置届

いつまでに? オープンの1カ月前まで
どこに? 消防署

「火を使用する設備等の設置届」は、厨房にガスコンロ、オーブン、ボイラーなど、一定以上の火力を発揮する熱源機器を設置する飲食店で必要になります。

この届出の目的は、消防署が事前に「火災のリスク」を把握し、火災を未然に防ぐための安全基準をクリアしているか確認することです。具体的には、以下の点に問題がないかチェックされます。

・周囲の不燃化: 壁や天井が燃えにくい素材(不燃材料)で仕上げられているか。
・離隔距離: 壁と火元の間に、熱による発火を防ぐ十分な距離があるか。
・換気設備: 強力な換気扇(排気フード)が備わり、油汚れが溜まりにくい構造か。

居酒屋のように強い火力で調理を行う業態では、万が一の出火が大規模な火災につながる恐れがあるため、設置工事を始める前に図面を添えて提出し、消防署の指導を仰ぐ必要があります。

防火対象物使用開始届

いつまでに? オープンの1週間前まで
どこに? 消防署

「防火対象物使用開始届」は、火気の使用に関わらず、建物の一部を店舗として使い始めるすべての飲食店に義務付けられている届出です。

この届出の目的は、消防署が「その建物でどのような商売が行われ、万が一の際に客や従業員が安全に避難できるか」を事前に把握することにあります。具体的には、以下のポイントが厳しくチェックされます。

避難経路の確保:非常口までの通路が十分に広く、荷物などで塞がれていないか。
消防設備の配置:消火器、火災報知器、誘導灯などが、内装レイアウト変更後も有効に機能するか。
防炎物品の使用:カーテンやじゅうたん、大型ののれんなどが、燃え広がりにくい「防炎性能」を持つものか。

居酒屋の場合、飲酒の影響で判断力が鈍っている来店客が多いと想定されるため、災害時などパニック時の誘導が極めて重要視されます。そのため、オープン(使用開始)の7日前までに、店内の平面図や消防設備の配置図を添えて消防署へ提出し、必要に応じて行われる「立入検査」をクリアしなければなりません。

開業届

いつまでに? オープン後、1カ月以内
どこに? 税務署

「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」は、新しく飲食店ビジネスを始めたことを税務署に知らせるための書類です。営利目的で継続的に事業を行う場合、すべての事業者に提出義務があります。

この届出の主な目的は、国が納税義務者を把握することですが、店主にとっても以下の重要な実務的メリットがあります。

社会的証明:「屋号(店名)」での銀行口座開設や、店舗用融資、賃貸契約の際に、事業を行っている公的な証明書として利用できる。
青色申告の前提条件:最大65万円の所得控除が受けられる「青色申告」を行うには、開業届が出されていることが必須条件。
補助金・助成金の申請:国や自治体の支援金を受ける際、開業日が確認できる書類として求められることがある。

提出期限は「開業から1カ月以内」ですが、実際には準備段階(内装契約や口座開設時)で必要になることが多いため、早めに提出するのが一般的です。現在はマイナンバーカードがあれば「e-Tax」を利用して、自宅からスマートフォンなどで数分で提出を完了させることも可能です。

店の業態や営業スタイルなどによって必要になる届出

防火管理者選任届

必要な条件 店舗の収容人数(従業員+客席数)が 30人以上
いつまでに? 開業日まで
どこに? 消防署

収容人数が30人以上の場合に必要な届出です。該当するのに選任届を出さずに営業していると、消防署の立ち入り検査(査察)が入った際に「是正勧告」を受けます。これを無視し続けると、罰則や営業停止命令のリスク、万が一の火災時に火災保険が下りない、あるいは重過失を問われるなどの深刻な事態になりかねません。

また、小さな店であっても、「ビル全体(雑居ビルなど)」で収容人数が30人を超える場合は、ビルオーナーから「各テナントでも防火責任者を立ててほしい」と要請されるケースがあります。

深夜酒類提供飲食店営業開始届出書

必要な条件 深夜0時以降にアルコールを提供する場合
いつまでに? 深夜営業を開始する10日前まで
どこに? 警察署(※)
(※)お店がある管轄の警察署

深夜(午前0時~午前6時まで)も営業し、かつ酒類を提供する場合に必要な届出です。こちらは警察署を経由して公安委員会に届出を出す形で、所定の様式に、名前および住所、営業所の名前および住所、営業所の構造および設備の概要などを記入し申請します。深夜営業を考えている場合には、最寄りの警察署に問い合わせしておくとベターです。

この届け出には、保健所から交付された「飲食店営業許可証」のコピーを添付する必要があるため、以下の順序で動く必要があります。

1)保健所の検査を受け、営業許可証をもらう。
2)その許可証を持って警察署へ行く。
3)受理されてから10日間待ってから深夜営業を開始。

防火対象物工事等計画届出書

内装工事をする前に、以下の条件に当てはまる場合は消防署に「防火対象物工事等計画届出書」提出が必要になります。

・建物の構造に関わる大きな壁を作ったり、床面積を大きく変えたりする場合
・スプリンクラーや自動火災報知設備などの「消防用設備」の増設・移設が必要な工事をする場合

壁紙の張り替えや、既存の設備を動かさない程度の軽微な内装変更であれば。提出する必要はありません。提出が必要か堂か迷った場合は消防署に相談してみましょう。

菓子製造業許可

必要な条件 お菓子を製造して販売する場合
いつまでに? 書類提出:店舗完成の2周間前
実地検査:開業の1週間~数日前
どこに? 保健所

菓子などをあらかじめ包装して陳列・販売する場合、賞味期限を設定する必要性など、飲食店営業の範疇(はんちゅう)を超えてしまうため、菓子製造の許可が必要になります。たとえば、カフェなどでケーキや菓子のテイクアウト販売をする場合、「飲食店営業許可」だけでどこまでできるか、菓子製造業許可が必要かどうか、保健所に事前に相談して判断してもらうとよいでしょう。

保険加入の手続き

従業員を雇う場合に必要

保険の種類 届出先 提出期限
労災保険 労働基準監督署 雇用開始から10日以内
雇用保険 公共職業安定所
ハローワーク
雇用開始の翌月10日まで
社会保険 年金事務所 雇用開始から5日以内

従業員を一人でも雇う場合は、労災保険、雇用保険、社会保険の加入手続きが義務付けられています。法的な義務だけでなく、労災などのリスク対策や従業員が安心して働くためにも必要です。

まとめ

飲食店を開業する際には、営業許可を含むいくつかの資格と届出が必要です。まず、「営業許可証」の取得が最初のステップ。営業許可を取得するには、「食品衛生責任者」の配置が必要であり、食品衛生責任者の資格は講習を受けて取得することができます。また、ある程度規模の大きい店舗では「防火管理者」の資格も必要です。

飲食店の開業にはこれらの資格の取得だけでなく、さまざまな届出と手続きも不可欠です。営業許可申請の流れや深夜酒類提供飲食店営業開始届出書、開業届など、開業後のスムーズな運営に向けた手続きも確認しておくことが重要です。従業員を雇う場合は、労災保険や雇用保険の手続きも忘れずに行いましょう。

これらのステップを慎重に進め、必要な資格や届出をクリアすることで、飲食店の開業に臨みましょう。飲食店経営は挑戦が多い分、着実な準備が成功の鍵です。

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