ヒット業態を軸とした出店から多業態出店へ
株式会社THANの代表取締役・織田 裕貴 氏は、大学で経営を学び、新卒で大手飲食企業に入社。1年弱で店長になるも、母の介護のため23歳で退職。介護をしながら銀座の星付きフレンチレストランで修業を積み、その後は株式会社KIDS HOLDINGSで店長や統括マネージャーを経験し、2017年に独立した。
2017年11月には創作チーズ料理と原価提供のアルコールが売りの「原価ビストロチーズプラス」(京都・七条)をオープン。SNSマーケティングをいち早く取り入れて人気店となり、全国17店舗(2025年12月時点)の主力ブランドとなった。
コロナ禍でも積極的に出店を続け、2020年3~11月までの間に5店舗をオープン。社員の自主性やアイデアを尊重しながら新業態を立ち上げるとともに、2023年にはさらなる売上アップを図るべくマーケティング、インバウンド、教育の3事業部を設立した。そんな織田氏に、多業態展開の戦略や組織づくりのヒントなどについて聞いた。
目次
・原価提供のドリンクとトレンドのチーズで女性を取り込む
・ボトムアップで生まれた新業態が次々ヒット!
・新店「百圓寿司スタンドえにし」は坪月商50万円超!
・SNS、インバウンド、人材育成に注力
・3年後に100店舗、7年後の上場を目指して
・「リーダー×一問一答」&「COMPANY DATA」
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原価提供のドリンクとトレンドのチーズで女性を取り込む
――「原価ビストロチーズプラス」のヒット要因はなんでしょうか。
「3,000円くらいの低価格で満足できる店を作りたい」という思いがあり、料理のクオリティーを下げず、お酒を原価提供にしてリーズナブルな店を目指しました。チーズに注目したのは、韓国などのトレンドでよく注目されていて、僕の得意なフレンチやワインとも相性がいいからです。さらに当時の京都にはチーズ専門店がほとんどなく、差別化しやすいと判断しました。また、当時は喫煙店が多く、女性が行きやすい店が意外と少ないことから、全面禁煙にして女性寄りの業態にしたところ評判になり、出店を重ねていくことができました。
主な客層が女性になったことで、その後のコロナ禍でも売上は落ちませんでした。当時、ビジネス層やファミリーは飲食店に足が向かなくなりましたが、若い世代の女性は比較的アクティブだったのが要因だと思います。
また、他の飲食店が守りに入って固定費が高い物件から撤退していく中で、普段はなかなか空かない好条件の物件が出てきたので、2020年3~11月にかけて、それぞれ別業態の5店舗をオープンしました。「原価酒場けいすけ 京都駅前店」は、この時期に好立地の物件を破格の条件で獲得できた店舗の一つで、今も好調な売上を維持しています。「原価ビストロチーズプラス」も17店舗まで増え、2025年12月には関東初進出となる東京・町田店をオープンしました。
ボトムアップで生まれた新業態が次々ヒット!
――社員が発案した新業態の飲食店も続々とオープンしていますね。
やる気のある社員に任せるようにしています。上司が部下にフタをせず、普段から「やってみたい業態はある?」と声をかけ、定期面談でも新業態の提案を聞く。ただし単なるアイデアではなく、店名やメニュー、売り方までしっかり落とし込んでシミュレーションできているかを重視します。提案した社員には、そのまま店舗責任者として任せます。そのほうが愛情を持って取り組めますし、結果として売上にもつながりやすいからです。
「原価ビストロチーズプラス」が好調な中で多業態展開にしたのは、数年にわたって物件を取りやすい時期が続いたことも大きいです。京都市内で物件が空いていく中で、ドミナントで出店しながらチームを組む方向に舵を切り、ブランドを増やすと同時に、採用にも力を入れていきました。
もう一つ、当社が大切にしているのが物件です。僕は家賃条件とマーケットでその店が売れるかどうかの勝負はほぼ決まると考えています。良い物件を取れれば、当てはめる業態は大きくブレません。どうしてもうまくいかなければ5年程度でリセットして、業態変更することも考えます。
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新店「百圓寿司スタンドえにし」は坪月商50万円超!
――新業態で業績の良い店舗を教えてください。
2025年10月にオープンした立ち飲み寿司店「百圓寿司スタンドえにし」は、15坪の小規模店ながら月商800万円超と好調です。2024年10月オープンの創作居酒屋「と」も、土鍋ご飯が売りのカジュアルな新業態として月商1,400万円を記録しています。
SNS、インバウンド、人材育成に注力
――最近、社内に新たに3つの事業部を立ち上げたそうですね。
店舗の売上向上を目的に、「SNSソリューション事業部」「インバウンド事業部」「教育事業部」を設けました。
SNSソリューション事業部は、全店舗のSNS運用を担い、他社の運用受託もしています。インバウンド事業部は自治体や旅行会社と連携し、年間5,000万円の送客売上を実現しました。教育事業部では、社員やフランチャイズ店への教育を行っています。また、若者支援と地域貢献の一環で、学生の8割が他府県に就職してしまうという京都の課題を踏まえ、当社の人事部でインターンを受け入れて地元企業への就職支援につなげています。
人材育成で重視しているのは、現場で新業態を開発し、任されて運営する経験を積むことです。失敗も含めてトライアンドエラーを繰り返す中で、現場の判断力や事業感覚が鍛えられていきます。年2回の合宿研修や、2カ月に1回の社内フォーラムは、その挑戦を後押しする仕組みでもあります。将来的には、新業態を生み出してきた人材や料理長が集まり、経営企画を担う体制も考えています。
3年後に100店舗、7年後の上場を目指して
――今後の展望と中長期的な戦略をお聞かせください。
現在41店舗を展開していますが、目標は3年後の100店舗出店と、7年後くらいまでの上場です。そのためにも、京都という立地を最大限活用したいと考えています。京都は東京と比べて人件費が安く、学生が多いため人材確保がそこまで難しくありません。景観条例で高いビルが建たないため競合店舗も増えにくく、何より地場企業として優遇してもらえるので物件取得がスムーズという利点があります。
今後は農業への参入も検討しています。京都・滋賀エリアには余っている農地が多く、若い人材を投入して活性化を図りたいと考えています。1次産業から流通までを一貫して手がけることで、フランチャイズ展開時の商材供給もしやすくなります。
経営者として最も重要だと考えているのは、シンプルですが社員にきちんと高い給料を支払うことです。だからこそ社員一人一人に目標年収を聞き、その水準を実現してあげられるように、事業を伸ばし続ける環境を作っていきたいです。
リーダー×一問一答
■経営者として大切にしている事
あり方
■愛読の雑誌やWebサイト
「フードスタジアム」「フードリンク」「飲食の戦士たち」
■日課、習慣
日課:子供たちの朝ごはん作る
習慣:早起き
■今一番興味があること
健康
■座右の銘
俺は俺
■尊敬している人
父親
■最近、注目している店舗名、もしくは業態
「や台ずし」
マーケットの小さい駅前であのサイズの出店できる凄さ(業態力・人材力)
■COMPANY DATA
株式会社THAN
京都府京都市下京区立売西町66番地京都証券ビル405
https://than.co.jp/
設立:2016年
ブランド数・店舗数:18ブランド、41店舗
従業員数:社員約100人、アルバイト約500人
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