明石浦で獲れるアナゴ、タイ、タコを名物に、集客に成功

明石市「魚の棚商店街」にある「あかし亭 魚の棚」。明石浦漁港で水揚げされるアナゴ、タイ、タコなどを売りにしており、アナゴ料理には「伝助穴子」を使用。平日は地元のビジネス層、週末は観光客で賑わっている。

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あかし亭 魚の棚

兵庫 明石 居酒屋

明石産食材を使った料理と産地ならではの造りが好評

 隣接するJR明石駅と山陽電鉄明石駅から徒歩5分。約400年の歴史を持つ「魚の棚商店街」にある「あかし亭 魚の棚」。明石市で6店舗を運営する株式会社ISCが、明石の郷土料理を提供する「あかし亭」の2号店として2016年3月にオープンした。店から南に徒歩15分ほどの明石浦漁港で水揚げされるアナゴ、タイ、タコなどを売りに、平日は地元のビジネス層、週末は「魚の棚商店街」を訪れる観光客を中心に賑わう。1階はカウンター席とテーブル席、2階は3つの個室を備え、最大30名の宴会まで対応。フリーの観光客は1階席、宴会利用は2階席と使い分けをしている。

カウンターとテーブル席のある1階。カウンターは出張客などに好まれる

 名物の1つであるアナゴ料理は、「伝助穴子」と呼ばれる300グラム以上の大型のアナゴを使用し、「伝助穴子の薄造り」(1,408円)や、「名物 伝助穴子のトロ蒸し」(2,728円)、「穴子の箱寿司」(3,300円)など様々なメニューを用意。「明石浦漁港から近い立地を生かし、獲れたばかりの新鮮なアナゴを提供しています。周辺には生でアナゴを出す店が少なく、お造りが特に好評です」と店長の楠健一氏は話す。タイやタコ料理も生もののニーズが高く、「明石鯛の造り」(1,408円)や「鯛のカルパッチョ」(1,628円)、「明石蛸のマリネ」(1,408円)などが特に人気だ。また、ランチでも「蛸づくし御膳」(2,000円)など地元の食材を使ったメニューをそろえ、ビジネス層のほか、他エリアから訪れる人も取り込んでいる。

 明石ならではのメニューをそろえる一方、明石の郷土料理の代表格である「明石焼き」はあえて提供していない。「明石焼きは専用の機械が必要で、調理場のスペースを大きく取ってしまうこと。また、明石焼きは短時間で食べられる軽食なので、落ち着いて食事をしたい方を主なターゲットにした当店にはそぐわないと判断しました」と、楠氏はその理由を明かす。その代わりに「明石焼きの揚げ出し」(869円)を用意するほか、明石ダコ入りとアナゴ入りから選べる「明石だし巻き」(869円)なども用意して、ニーズに応えている。さらに、アナゴ、タイ、タコの3大名物のほかにも、「オススメの逸品」として旬の魚介料理を豊富に提供。メニューブックでも明石で獲れる魚介を月ごとに紹介し、「旬の魚が食べられる店」として認知を広げている。

明石でも人気の観光地「魚の棚商店街」内に立地。商店街には大漁旗が飾られ、週末は大勢の人が行き来する

 ドリンクも地のものにこだわり、日本酒は明石の地酒を中心に兵庫県産のみをそろえ、地域色を打ち出している。「銘柄は鮮魚に合うものをベースに、お客様の声を聞きながらバランスよく取りそろえています」(楠氏)。カリカリに焼いたアナゴの骨を明石の地酒に入れた「穴子酒」(1,078円)といったオリジナルドリンクも評判だ。

 加えて、テイクアウト商品にも力を入れ、店頭で「たこ飯」(500円)や「たい飯」(500円)、「蒸し穴子の箱寿司」(3,000円)などを販売。観光客が帰りの移動中に食べるために購入したり、お土産として買うビジネス層や女性も多く、好評だという。

 ぐるなびにはオープン時から加盟。ぐるなびの「ネット予約」を利用し、夜は来店客の約7割を予約客が占める。店舗ページでは「明石色を打ち出すことを意識」(楠氏)しており、今後も情報発信に努めていく。

ここがポイント!

明石のタイ、タコ、アナゴが3大名物
明石浦で獲れる明石鯛、伝助穴子、明石ダコが売り。「明石名物三種盛り」(1,078円)をはじめ、様々なメニューで提供して満足度を上げ、集客につなげている。
観光客から大人数の宴会まで対応
明石駅から近く、観光地の「魚の棚商店街」にあり、観光客や宴会など幅広い層に利用されるため、カウンターから座敷席の個室(写真)まで備え、重宝されている。
お土産用の持ち帰り商品も用意
「蒸し穴子の箱寿司」「たい飯」「たこ飯」など持ち帰り商品も販売。買い物客はもちろん、宴会利用のビジネス層がお土産として購入し、売上増につながっている。
名物を盛り込んだ高単価のランチも好評
ランチもタイ、タコ、アナゴメニューを提供。980円(「蛸めし御膳」)からと高単価だが、観光客だけでなく、他のエリアから訪れるビジネス層からも人気が高い。
エリアの特徴
明石駅から南にしばらく歩いた場所にある「魚の棚商店街」は、古くから「うおんたな」の愛称で親しまれ、魚介類を扱う店など100以上の商店が建ち並ぶ。
あかし亭 魚の棚
兵庫県明石市本町1-5-18
https://r.gnavi.co.jp/9gpkcsce0000/
代表取締役 池口 尚児 氏(右)、店長 楠 健一 氏(左)
池口氏は12年前に飲食業を始め、現在は6店舗を経営。楠氏は開店時より店長を務める。