2023/09/19 特集

【注目の新業態】ありそうでなかった立ち飲み本格韓国業態で新しいニーズを掘り起こす!「韓国スタンド@(アットマーク)」

本格的な韓国料理を売りにした業態を展開してきた株式会社SOME GET TOWNが、次に打ち出したのが立ち飲み業態「韓国スタンド@」だ。本格韓国料理を小ポーションで気軽に楽しめると評判を集めている。

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 2013年に大阪・福島で「韓国食堂 入ル(イル)」(以下、イル)をオープンして以来、本場韓国のクオリティーをさまざまな切り口で提供してきた株式会社SOME GET TOWN。出店した8店のうち2店がミシュランガイドのビブグルマンに選ばれるなど注目度は抜群だ。そのSOME GET TOWNが、2022年11月4日に東京・学芸大学駅徒歩4分の路地に出店した新業態が「韓国スタンド@(アットマーク)」。本来高級店でしか味わえないような伝統料理などを小ポーションで、しかも立ち飲みで提供するという思い切ったスタイルで、また一つ新たな食シーンを開拓しようとしている。

 オーナーの山崎一氏の母・朴三淳(パク・サムスン)氏は、韓国において一流料理人の証である国家調理技能1級の資格を女性で初めて取得した人物。その偉大な母が大阪・鶴橋で出店した「韓味一」の味を絶やさないために事業を継承。数ある韓国料理の中から蔘鶏湯(サムゲタン)に焦点を絞り、客単価7,000円超の高級店「イル」から、同4,000円の「蔘鶏湯 人ル(ニル)」(以下、ニル)などを開発し、ともに人気店へと成長させてきた。

目次
短時間&気軽に本格韓国料理を楽しめる“立ち飲み”
名物「蔘鶏湯」は4分の1ポーションに
生マッコリや韓国のクラフトビール&焼酎などが充実
13坪で月商350万円。「紳士・淑女の立ち飲み」を目指して

より短時間&気軽に本格的な韓国料理を楽しんでもらうための最適解が“立ち飲み”だった

韓国スタンド@(アットマーク)(東京・学芸大学)
東京都目黒区鷹番3丁目12−3 真田ビル 1F
https://r.gnavi.co.jp/5gv8e30x0000/
https://www.instagram.com/gakudai_korea_stand/
学芸大学駅から徒歩4分の路地に2022年11月にオープン。本格的な韓国料理を立ち飲みスタイル&小ポーションで提供する。本場のクオリティーを気軽に楽しめる。

 そんな山崎氏が、本場の韓国料理をさらに広めるために開発した新業態が「韓国スタンド@」だ。蔘鶏湯をはじめ、本格的な韓国料理をしっかり味わうためには、コースでもアラカルトでも、定食でさえ1時間半か2時間くらいは店に滞在することになる。それだけボリュームと食べ応え、味わいがあるからだが、もっと短時間で、より気軽に蔘鶏湯や韓国料理を味わってもらうことを追求した結果、たどり着いたのが韓国料理の立ち飲み業態だった。

 この業態構想を基に、兼ねてから期待をかけていたスタッフの竹口美穂氏に店長を打診。その後は竹口氏が中心となってメニュー構成や内観・外観のアイデアなどを出し、出店にこぎつけた。


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店長に抜擢された竹口美穂氏が店内デザインを含めて店づくりの中心となった。入り口正面のカウンター下には韓国の焼酎やソフトドリンクなどが並んでいる

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立ち飲み業態用に名物の「蔘鶏湯」は4分の1ポーションに

看板メニューの「蔘鶏湯」(980円)。試行錯誤を重ねて、朴三淳氏直伝の伝統的な味を通常(1羽分)の4分の1サイズで提供可能に。深みのある鳥だしのスープと野菜やもち米が絡む味わい深い一品

 看板料理には姉妹店と同様に「蔘鶏湯」(980円)を据えているが、量は「イル」などで提供しているレギュラーサイズの4分の1ほど。「単純に食材の量を少なくして同じ調理法で作ってもおいしくは作れません。『イル』と同じクオリティーをキープしつつ、小ポーションで提供するために、ベストな調理法を模索しました」と山崎氏。ただ、もともと「ニル」を出店した際に、一人用の蔘鶏湯(2分の1ポーション)を試行錯誤して開発していたこともあり、4分の1ポーションを開発する際もそのときのノウハウが生きたという。

フードは約50種類を用意しており、名物の「蔘鶏湯」のほか、自家製のキムチ・ナムル、韓国のあて、チヂミ、焼肉、デザートなど多彩なメニューがそろい、価格のボリュームゾーンは300~500円

 フードのメニューは約50種。漬け込む前の白菜の歯応えを残した「キムチになる前のキムチ」(380円、竹口氏考案のオリジナル)をはじめとした自家製キムチや自家製ナムル、そして生地は薄く具材はたっぷりの家庭料理「チヂミ」各種(480~980円)、蒸し鶏を塩とタレでいただくシンプルだが奥深い「トンダペクス」(820円)、さらに焼肉各種(580~780円)と〆の「冷麺」(680円)、「玉子スープクッパ」(480円)などがそろう。

「トンダペクス(蒸し鶏)」(820円)。鶏を炊いてうどんのだしを取ったことから生まれた韓国料理で、山崎氏が韓国のうどん店で見つけてメニューに取り込んだ。ホロホロになるまで蒸した鶏を、塩やタレ(チョジャン)とともに食す
  • 「キムチになる前のキムチ」(380円)。キムチの味付けのベースとなる薬念(ヤンニョン)で白菜をさっと和えたもの。漬かる前の白菜のシャキシャキ感とキムチの風味が楽しめる
  • 「海鮮チヂミ」(680円)。エビ、イカ、タマネギ、ニラなどをふんだんに使ったおつまみ感覚のチヂミ。韓国の家庭料理に近づけて、生地を薄く、具材たっぷりに焼き上げる

 「イル」や「ニル」がメニューを絞って蔘鶏湯専門店を打ち出したのとは対照的だが、山崎氏は「どの料理も伝統的な韓国の味がベースにあり、立ち飲みだからと言って調理を簡略化したりはしていません。それができるのが当社の強み。それらを小ポーションにすることで多種類を食べてもらえれば、韓国料理の伝統と真髄を広めることができるはず」と語る。

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生マッコリや韓国のクラフトビール&焼酎などが充実

ドリンクも60種類以上そろえており、マッコリや韓国のクラフトビール・焼酎・ソフトドリンクなどを多彩に用意。ビールやワイン、サワーなども取りそろえて幅広いニーズに応える

 そのほか、ドリンクでは生マッコリをはじめ、韓国のクラフトビールや韓国焼酎、韓国の各種ジュースを常備。1人4~5杯はオーダーし、フードも前菜から〆まで万遍なくオーダーが入って、平均客単価は2,500~3,000円。滞在時間は1~2時間が平均で、中には4時間も楽しむコアな常連客もいるそうだ。

3種類の生マッコリを用意。左から「ボクスンドガ」の赤と白(各グラス680円)、「虎マッコリ」(同580円)。赤は赤米と紅麹、白は白米と米麹が原料。虎は日本で作られている辛口のマッコリ
  • 独特のフレーバーが効いた韓国のアルコールを取りそろえる。左の2本が「バタービール」、真ん中の2本がクラフトビール「クミホ」、右の2本が韓国焼酎
  • ソフトドリンクも韓国から取り寄せた商品を販売している

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13坪で月商350万円。今後は単価アップで「紳士・淑女の立ち飲み」を目指す

 客層の中心は、40代以上の男性客。「平日はお一人様や2人連れが多く、週末はカップルが中心」(竹口氏)だ。13坪で月商350万円をコンスタントに売り上げており、「まずまずの売上だが、余力は十分にあり、ポテンシャルは高い」と山崎氏。2023年9月1日からは、開店時間を4時間早めて正午にオープンしており、昼時や早い時間帯の営業で、女性やシニアの来店増を見込んでいる。

 今後の課題の1つは「立ち飲みのイメージを変えること」と山崎氏。レストランクオリティーの韓国料理を少量ずつ多品目で、アルコールとともに楽しむ、ちょっとおしゃれな「紳士・淑女の立ち飲み」(山崎氏)が理想だ。それによって、客単価のアップと回転数の上昇を展望している。

 さらに、日本ではまだなじみのない韓国料理の一品メニューに注目した新業態を構想中。海外進出も視野に入れて、さらなる成長を目指す。

株式会社SOME GET TOWN 代表取締役 山崎 一 氏
韓国で国家調理技能1級の資格を女性で初めて取得した朴三淳(パク・サムスン)氏を母に持ち、彼女が作る本場の韓国料理を継承するため、商社から飲食業に転身。大阪・京都・東京で9店舗を展開している。

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