「やきとん」「瞬間焼酎」を軸に幅広い層を獲れる店づくりを追求!
卓上の蛇口から出る焼酎を飲み放題で楽しめる「瞬間焼酎」が話題の「ヤマネ肉店」。経営母体である株式会社サブコンの代表・野田 洋行 氏は、かつて深見 浩一 氏らとともに株式会社PrunZを立ち上げ、いくつもの繁盛店を生み、居酒屋甲子園優勝にも貢献した人物だ。
「現場のオペレーション構築には自信がある」と野田氏は語るが、コロナ禍では大苦戦。そんな中で、「瞬間焼酎」を導入した錦糸町店の出店が突破口となった。飲食業界に入ったきっかけから深見 浩一 氏らとのPrunZ設立、「ヤマネ肉店」の業態開発、そして今後の展望までを伺った。
目次
・独立の最短ルートとして選んだ“プロ店長”の道
・PrunZ成功の裏にある創業メンバー3人の異なる個性
・コロナ禍での苦戦、そして「瞬間焼酎」誕生!
・歌舞伎町出店で見えた「ヤマネ肉店」の勝ちパターン
・FC展開に向けて視界良好。目標は100店舗!
・「リーダー×一問一答」&「COMPANY DATA」
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独立の最短ルートとして選んだ“プロ店長”の道
――飲食業界へ入るきっかけは?
父が脱サラして居酒屋を経営していたのですが、ぼくは高校時代にマクドナルドでのアルバイトをした程度で、当時は飲食の道に進むつもりはありませんでした。
高校卒業後は、数年間フリーターをしていたのですが、徐々に「起業したい」という思いが膨らんできて…。「独立するなら飲食業が一番ハードルが低い」と考えて、飲食業の経営を学べる就職先を探したんです。
そこで出合ったのが、飲食店向けの人材派遣会社である株式会社リンク・ワンでした。当時は飲食業界でフランチャイズが急速に拡大し、店舗展開のスピードに店長の育成が追いつかなくなっていた時代。そこをマネタイズしたのがリンク・ワンで、人材育成のアウトソーシングを担い、自社で育成した「プロ店長」をさまざまな飲食企業に派遣していました。当時23歳で早く独立したかったぼくは、店長としてさまざまな飲食店の運営に携われることに魅力を感じ、入社することにしました。
入社半年で順調にプロ店長になったぼくが最初に派遣されたのが、三重の居酒屋「とりあえず吾平」でした。最初は新規店舗のオープンをサポートし、次に既存店の立て直しを託されました。その店は50坪90席で毎月200万円の赤字を出しており、ぼくのミッションは「店長としてアルバイト30人を率いて黒字化させること」。当初はよそ者の店長に誰もついてきませんでしたが、黙々と働くぼくを見て、徐々に味方になってくれる人が現れ始め、立て直すことに成功しました。
その後もさまざまな飲食企業の店舗運営を経験しました。中でも印象に残っているのは「日高屋」です。それまでリンク・ワンの取引先は兄弟会社である株式会社ベンチャー・リンクの関連起業に限られていました。しかし、日高屋はリンク・ワンとして初めて外部企業からのオファーでした。当時、飛ぶ鳥を落とす勢いの日高屋での店長経験は刺激や学びが多く、とても面白い仕事でした。
リンク・ワンでは、プロ店長たちの成功事例やノウハウが社内に共有される仕組みができており、今振り返っても非常に学びの多い環境だったと思います。
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PrunZ成功の裏にある創業メンバー3人の異なる個性
――2006年、26歳で株式会社PrunZの創業メンバーになります。
リンク・ワンで3年を過ごした頃、直属の上司だった深見さんから「一緒に独立しよう」と誘われ、同じくリンク・ワンにいた武市 竜輔さんと3人で独立しました。深見さんが方向性を示し、武市さんが業態開発を進め、ぼくが現場のオペレーションを構築するという役割分担で店舗を拡大していきました。深見さんはリーダーとしての牽引力があり、武市さんは業態開発に長け、ぼくは現場のオペレーションの効率化・生産性アップが得意でしたから、得意分野が違う3人の個性がうまく機能していたのがPrunZの強みだったと思います。
それが、「いざかや炎丸 亀戸店」(現在は閉業)の第5回居酒屋甲子園優勝(2010年)、深見さんの第7回S1サーバーグランプリ優勝(2012年)につながります。ぼくもQSCの高得点を狙う作戦を実行したり、S1サーバーグランプリでは、決勝大会前日の深見さんの入念な練習をマンツーマンでサポートするなどしました。PrunZには12年間在籍し、今でも深見さんや武市さんとはいい関係が続いています。
コロナ禍での苦戦、そして「瞬間焼酎」誕生!
――2018年、満を持して38歳で独立しましたね。
独立を決めたのは、PrunZで人材が育ったことと、独立への自信がある程度ついたから。独立にあたって「どんな店を出すか」と考えたときに、地元の東京・谷中にあった精肉店「山根肉店」の屋号を使いたいと思いました。「山根肉店」は、昭和5年(1930年)に創業し、平成28年(2016年)まで営業を続けた地元ではよく知られた存在。実家が近かったので、ぼくも子どもの頃はよく遊びに行ってコロッケを食べさせてもらいました。昭和の原風景ともいえる温かい記憶が、閉店とともに失われることに寂しさを感じていました。加えて、ノーブランドの飲食店がどれほど集客に苦労するかを経験していたので、いち経営者として歴史を持つ屋号を継承することでブランディングできるのではという戦略もありました。そこで、引退していた「山根肉店」の2代目に相談したところ継承を快諾していただき、独立1号店の屋号に「ヤマネ肉店」を掲げることになりました。
住吉に出店した「ヤマネ肉店」1号店(現在は閉業)は、鹿児島「桜島美湯豚」を使った「やきとん」を名物に据えた居酒屋で、これまで培ったオペレーションのノウハウを詰め込んだ業態。ただ、軌道に乗りかけたところでコロナ禍が発生。客足が伸び悩むなか、ブレークスルーとなったのは2022年春オープンの錦糸町店でした。
「売りがやきとんだけでは弱いのでは?」と感じて、何か別の集客のフックになる仕掛けが欲しいと深見さんと武市さんに相談したんです。そこでもらったアイデアを基に考えたのが、卓上の蛇口から焼酎をセルフで飲み放題できる「瞬間焼酎」でした。似たサービスを行っている店をベンチマークしたのですが、そこの店は、焼酎のみが飲み放題で、割材や氷は有料でした。「割材や氷もすべて飲み放題の金額に含めた方がお得感を強調できるのでは?」と考え、15~30種類の割材や氷を含め、焼酎が飲み放題になる「瞬間焼酎」(60分1,400円、90分1,700円、延長30分ごとに550円)を設定。卓上サーバーを使った飲み放題を売りにしている店は多いですが、割材や氷まで料金にインクルードしているスタイルは当社が初めてだと思います。
「瞬間焼酎」はお得感のあるサービスであること以外にも特徴があります。その一つが“究極のスマートドリンク”だということ。お客様がそれぞれ自分好みの濃さに調節できますし、割材も飲み放題ですからソフトドリンクとしても利用が可能。お酒に強い人も弱い人も、飲めない人でも同じテーブルで楽しめます。
加えて、オペレーション面でも優秀な仕組みです。ほとんどのお客様が「瞬間焼酎」を注文されるので、ドリンクを作り、提供するオペレーションがかなり削減されます。もともとオペレーションは最大限効率化して1人当たりの生産性を高くしていることもあり、省人化に成功。これを人件費に還元することで、2022年あたりから時給1,500円を実現しており、離職率は低く、リファラルでの採用も多数あり、社員への登用も順調です。
加えて、錦糸町店では立ち飲み席も設けました。コロナ禍以降、居酒屋への来店回数は減少していたので、回数が減るなら客層を広げて、じっくり飲む人だけでなくサクッと飲む人にも間口を広げようと考えたから。立ち飲み席では「瞬間焼酎」の価格を300円安く設定して利用を促しています。また、外から店内が見えるデザインにして、入店しやすくしたのも錦糸町店から。こうしたリニューアルが当たって、客層は20~60代に拡大して女性も増加、売上もアップしました。以降、亀戸、浦安、新宿歌舞伎町、本八幡などに出店。歌舞伎町以外はすべて錦糸町店のモデルを踏襲し、いずれも絶好調です。
歌舞伎町出店で見えた「ヤマネ肉店」の勝ちパターン
――新宿歌舞伎町店だけ立地が異なりますが、位置づけは?
今後のFC展開をにらんで、旗艦店として商圏の大きい新宿に出店しました。今でこそ月商1,000万円超ですが、開店当初はまったく振るわず、「これはやらかしてしまった!」と青くなりました。苦戦の要因は恐らく立地です。さまざまな店が集う東京随一の歓楽街・歌舞伎町で、地下物件なので道路から店内が見えないため、どんな店かわからず入店に二の足を踏む方が多かったのではないかと思います。そこでWebやSNSに注力することで認知を広げ、ようやく軌道に乗せることができました。
歌舞伎町では苦戦しましたが、これによって「ヤマネ肉店」の勝ちパターンが見えてきました。それは、駅近の路面物件を使い、立ち飲み席を設定しつつ、誰でも安心して入店できる間口の広い作りにすること。「やきとん」と「瞬間焼酎」をフードとドリンクの2大名物に据え、入店しやすさを念頭に置いた物件選びと空間づくりをすることで、幅広い層のお客様に来ていただけると考えています。
FC展開に向けて視界良好。目標は100店舗!
――今後はどんな店舗展開を構想していますか?
やきとんの仕込みをアウトソースするスキームが完成したので、直営であと3店舗くらい出店したら本格的にFC展開をスタートできるところまで来ています。理想は100店舗。一方、もっと高単価の業態開発にも挑戦したい。商品・サービス・内装・仕入れなど、「ヤマネ肉店」とは全く異なる店づくりが求められるので、新業態開発のためにも企業としての総合力を高めたいです。
よく言われることですが、飲食業は仕入れ、生産、販売の3工程すべてに関わり、最後はお客様に喜んでもらえる、とても価値のある仕事です。しかも、世界に誇れる日本の食文化の担い手でもあるのですから、こんなに面白い業界はありません。その醍醐味(だいごみ)を感じながら、誇りを持って進んでいきたいと思っています。
リーダー×一問一答
■経営者として一番大切にしていること
誠実・礼儀・礼節
■愛読の雑誌やWebサイト
「月刊食堂」
■日課、習慣
業態開発や商品開発の為の情報収集(テレビ、ネット、雑誌媒体各種)
■今一番興味があること
ゴルフ
■座右の銘
ローマは一日にして成らず
■尊敬している人
坂本龍馬
■最近、注目している店舗名、もしくは業態
客単価5,000円ほどの居酒屋業態。近日中に出店を挑戦したいと思っているため。
■COMPANY DATA
株式会社サブコン
東京都墨田区菊川2-6-16
https://subcon2018.com/
設立:2018年
ブランド数・店舗数:1ブランド、5店舗
従業員数:社員12人、アルバイト40人
(2024年10月末時点)
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