飲食業を夢のある産業にするため、新理事長として目指すもの
2003年に大嶋 啓介 氏が設立し、「てっぺん渋谷男道場」「てっぺん 渋谷 女道場」の居酒屋経営で成長を遂げた株式会社てっぺん。「日本一元気な居酒屋をつくる」「居酒屋から日本を元気にする」のビジョンを掲げ、居酒屋業界全体の変革にも取り組んできた。
2020年に代表取締役社長に就任した和田裕直氏は、22歳の時に偶然入店した「てっぺん」で人が輝いて働くことの重要性を知り、入社を決意。大嶋氏の下で経験を積み、現在では飲食事業のほか、サウナ事業、水産事業、研修事業を通じて、社員の可能性を引き出し、顧客に感動を届けることを追求している。
さらに2025年1月から2年間、居酒屋甲子園の理事長を務める和田氏は「飲食業は夢のある産業だと改めてアピールしたい」と意気込む。和田氏にこれまでの経歴と事業内容、そして居酒屋甲子園にかける思いを伺った。
目次
・てっぺんと出合い、フレンチから居酒屋へ
・経営者としての考え方が変わった社員の一言
・居酒屋甲子園と他団体の連携で社会的インパクトを
・目標は「100人の経営者を育てる」
・「リーダー×一問一答」&「COMPANY DATA」
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てっぺんと出合い、フレンチから居酒屋へ
――株式会社てっぺん入社の経緯を教えてください。
専門学校でフランス料理を学び、現地で1年半修業したのち、帰国して2年ほど恵比寿のレストランで働きました。その店のシェフが独立することになり、一緒についていくことを決め、準備が整うまでの数カ月間はアルバイトをして過ごすことに。その期間に、アルバイト先の友人に誘われて訪れたのが「てっぺん 渋谷男道場」でした。
入店して衝撃を受けました。てっぺんのスタッフは「いらっしゃいませ!!」と元気に声を上げ、めちゃくちゃ楽しそうに働いていたんです。自分がそれまで働いていたフレンチレストランでは、お客様の邪魔にならないようにスタッフの会話は最低限に留め、常にシェフが何を求めているか、ということに気を配って仕事をしていましたが、てっぺんではお客様との会話を楽しみ、生き生きと輝いて働いているように感じました。その姿にいい意味でカルチャーショックを受け、即座に「ここで働きたい」と入社を決意しました。
初めて大嶋大将(大嶋 啓介 氏)に会ったのは、入社が決まった後、大将の講演に同行したときの盛岡駅の改札前です。「おお、お前が和田 裕直か」と初対面で新入社員の私をフルネームで呼んでくれたことに驚き、うれしかったのをよく覚えています。遠くにいても「あそこに大将がいるな」とわかるくらいエネルギーに満ち溢れていて、常に笑顔で朗らかに接してくださる姿に、引き込まれていきました。
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経営者としての考え方が変わった社員の一言
――入社後はどのような仕事に携わったのですか。
総料理長を任せていただき、メニュー開発や店舗運営に携わりました。ただ、その後、会社が財務的に厳しい局面になり、かつ幹部メンバーが相次いで独立することで大きな転換期を迎えたんです。私自身も地元での独立を夢見ていたのですが、そのタイミングで大将から「社長をやってみないか」という言葉をいただき、大将の後を継ぐことを決断しました。
就任後は、何としても売上を立てなければという思いで現場に立ち続け、休みなく働いて店舗の運営に全力を注ぎました。そんな中、経営者として考え方が大きく変わる出来事がありました。ある女性の店長が行っていた提供方法に対して、私は料理人として許せない部分があり、激怒したことがあったんです。
しかしその後、その店長のモチベーションが明らかに下がっていると感じた私は、彼女とじっくり話す時間を設けました。すると、「いくら和田さんが正しいことを言っていても、“怖い”としか感じません」と言われ、「正しいと思っていた厳しさは、スタッフを委縮させるだけ」であることを痛感しましたこの出来事をきっかけに、私はその日から「不機嫌にならない」「感情で当たらない」「常に笑顔でいる」という3つのルールを自分に課しました。
それ以降、社内の雰囲気は徐々に変わっていき、社員が主体的に動く組織へと変化しました。売上は年間6,000万円アップし、コミュニケーションの質や会議のあり方も大きく改善。自分一人が引っ張るのではなく、全員が考えて動く組織づくりができるようになりました。
居酒屋甲子園と他団体の連携で社会的インパクトを
――2025年1月、9代目の居酒屋甲子園の理事長に就任しました。
就任にあたって、私が強く意識したのは「飲食業は夢を持てる職業だ」という点でした。飲食業は3Kと言われることもありますが、実際にはお客様の笑顔や感謝の言葉をダイレクトに受け取れる、非常にやりがいのある仕事です。その本質的な魅力を、業界内外に改めて伝えていきたいという気持ちがありました。
居酒屋甲子園は単なるイベントではなく、全国のネットワークを生かして塾型の勉強会「令和外食塾」やセミナーなども開催しています。2024年1月に能登半島地震が起きた際には、その日のうちに対策本部を立ち上げ、数日以内に支援物資を届ける活動も行いました。「自分たちができること」を常に考える団体だからこそ、社会や地域に貢献できる原動力にもなりうるのだと感じました。
2025年の居酒屋甲子園のテーマは、第1回と同じ「夢」です。他業種や地域との連携を深め、より広い視点で活動を展開していくことを目指しています。また、建築、旅館業界など、他の「○○甲子園」と名のつく活動をしている団体との連携も模索しています。これらの団体と横のつながりをつくることで、より大きな社会的インパクトを生み出せると考えています。
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目標は「100人の経営者を育てる」
――現在の会社の取り組みと、今後の展望を教えてください。
当社は飲食、サウナ、水産、研修の4事業部に分かれ、それぞれに責任者を配置して一任しています。例えばサウナ事業では飲食業で培ったホスピタリティーのノウハウを活かし、利用者の心に寄り添う営業を徹底。水産事業では、豊洲市場の大卸と直接契約し、仕入れの質とコストを大幅に改善。研修事業では明るい空気をつくり、パフォーマンスを上げるノウハウなどを、他業界を含む企業や自治体に提供しています。
現在は、私が一切関与せずに居酒屋の出店を任せる計画も進行中です。これは「100人の経営者を育てたい」という目標の一環であり、誰か一人が会社を背負うのではなく、それぞれがリーダーシップを発揮できる組織を目指しています。
私たちの事業は、「日本を明るく元気にする」ことが原点です。飲食業の枠を超え、働くことの価値を問い直し、誇りを持てる社会を築いていく。「てっぺん」という存在がより多くの人の希望になるように、これからも挑戦を続けていきたいと考えています。
リーダー×一問一答
■経営者として一番大切にしていること
私自身にも言えることですし、社員教育の1番の根幹だと考えてるのが「生命力」を高めることです。生命力=自分で決める力。自分で決めることが弊社でも、弊社から卒業しても、経営としても1番大切だと考えています。
■愛読の雑誌やWebサイト
SNSでの情報発信を良く観るようにしています。
最近のSNS(ショート動画)は時代の変化のスピードを感じますし大変勉強になります。
コンセプトや伝え方一つで成功できるのもこの時代の特徴だと思います。
■日課、習慣
朝1時間ほど湯船に浸かる。
神棚に手を合わせる。
スタッフさんは名前で呼ぶ。
絶対に不機嫌な態度は出さない。
常に明るい自分でいる。
人の悪口を言わない。(マイナスな言葉は使わない)
■今一番興味があること
大型バイクの免許をとりたい。キャンプをしたい。
■座右の銘
色即是空
■尊敬している人
大嶋啓介さん 新渡戸稲造さん 稲盛和夫さん 坂本龍馬さん 宮本武蔵さん
■最近、注目している店舗名、もしくは業態
弊社が魚の仕入れ事業をしているので、インバウンドに受け入れてもらいやすい魚業態を今後展開する予定です。また漁獲量が年々減少していることから今後の魚事情も数年で大きく変化してくると考えています。
■COMPANY DATA
株式会社てっぺん
東京都渋谷区宇田川町2-1 渋谷ホームズ417
https://teppen.co/
設立:2003年
ブランド数・店舗数:4ブランド、4店舗
従業員数:50人(アルバイト含む)
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